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エッセイ書いたんだよ!  作者: 赤井"CRUX"錠之介


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知人がニュースで報道される時

 テレビがオワコンだ……といわれて久しいですが、今の若い人はテレビなど観ないのでしょうか。

 私はといえば、未だに仕事から帰るとテレビをつけます。何が放送されているか……などいちいちチェックしたりはしません。結果、思わぬ拾い物をすることもあります。深夜番組の名作などを発見できた時は、本当に得した気分になれました。


 さて、テレビをつけっぱなしにしていると……ごくたまに、想定外のニュースが飛び込んで来ることがあります。有名人の訃報などが代表例ですが、私の場合は知人が逮捕された事実をニュース番組で知らされたことがあります。それも、覚えているだけで三回……何か切ないものを感じますね。




 今から十年以上前の話ですが、私は自宅に帰りテレビをつけました。確か夜の十時頃だったと記憶しています。

 テレビでは、ニュースが放送されていました。女性キャスターが、重々しい口調で原稿を読んでいます。私は半分以上を聞き流して着替えていましたが、いきなり聞き覚えのある名前が耳に飛び込んできたのでした。


「逮捕されたテル容疑者(もちろん仮名です。ちゃんとフルネームでした)は……」


 えっ? と思い、私は顔を上げました。すると、テレビには手錠をかけられた男の姿があります。

 多少ふっくらし、また老けてもいましたが……そこに映っていたのは、まぎれもなくかつての同級生であったテルでした。


 テルは、私と同じ高校にいた男です。私とは、さほど仲が良かったわけではありませんが、それでも付き合いはありました。

 実のところ、このテルという男は学年でもトップクラスの凶暴な男だったのです。喧嘩をやらせたら、勝てる者はいなかったと記憶しております。もちろん、私など相手になりません。

 さらに、テルの父親はヤクザだったという噂も聞いていました。そのため、私は関わらないようにしつつも……同時に敵対しないようにも気を配っていたのです。

 ただ、テルという男はさほど付き合いづらい人物ではなかったです。適当に話を合わせていれば、まあまあ無害な奴……当時の私は、そんな風な認識でした。

 そのテルが、詐欺で逮捕……私は唖然となりながら、テレビの画面を見つめていたのです。


「逮捕されたテル容疑者は、父親のA容疑者と共に、ねずみ講を運営しており……」


 アナウンサーは淡々とニュースを読み上げ、すぐに次のニュースへと移っていきました。

 しかし、私は動けませんでした。確かにテルはヤンキーでしたが、まさか父親と一緒にねずみ講とは……どうやら、この男の噂は本当だったようです。

 ちなみに、私のいた高校からは、もう一人ニュースになった男がいました。この男は名前こそ出ませんでしたが、電車に飛び込み自殺し結構な数の人に迷惑をかけました。

 ついでに言いますと、この男は覚醒剤の依存症でした。覚醒剤のやり過ぎにより精神を病んでしまい、最後は電車に飛び込んだ……と聞いております。その顛末を知った時、やるせない気分になりましたね。この人物に関しては、いずれ詳しく書く予定です。




 これまた、私が仕事から帰って来た時のことです。何気なくテレビをつけたところ、とんでもないニュースが飛び込んできたのでした。


「婦女暴行の容疑により、サンセイ(仮名)が逮捕されました……」


 えっ? と思い、私はニュースを注視しました。しかし、直後に話題は変わってしまい、確かめることは出来なかったのです。

 そこで私は、サンセイのことをネットで調べてみました。すると、まあ驚きましたね。


 サンセイは、なんと婦女暴行で三回も逮捕されていたのです。しかも最後の事件は……いい年齢になってから若い女性の家に押し入りました。抵抗されたため逃げたそうですが、残されていた体液のDNA鑑定により逮捕されたようです。

 このサンセイ、二十代の頃は私とよくつるんでいました。身長は百七十七くらいで体型もすらりとしており、はっきり言うとイケメンの部類に入る男でした。少なくとも、私よりは女性にモテていたのは確かですね。

 そんなサンセイですが、しばらくして連絡が取れなくなりました。そこで実家に電話したところ、サンセイの母親から「あなた何なの? どこの人? どういう関係?」などとしつこく聞かれたため、うっとおしくなって適当に電話を切り上げました。

 以来、十年ほど連絡が取れなくなっていたのですが……その時に、ようやく謎が解けました。

 サンセイは、性犯罪の常習犯だったのです。連絡が取れなかったのも、彼が刑務所にいたからなんですね。正直、サンセイの異常な性癖に、私は全く気づいていませんでした。こうなると、もはや一種の病気なのでしょうね。




 知人が逮捕された、というニュースをテレビで観る……これは、本当に悲しいです。私がついつい犯罪者に同情的な視点で書いているのも、そこに理由があるのかもしれません。この感覚だけは、説明しても理解してもらえないでしょう。








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