自主的に自首する人
先日、こんな話を聞きました。タクシーに紙袋を忘れた女性が、警察に届け出たのですが……なんと、その紙袋の中には覚醒剤が入っていたのです。
しかも、その女性は覚醒剤が自分の物であることを認め、警察に逮捕されたそうです。この事件(?)、報道された当時はコメンテーターがいろいろと言っておりました。要約すると「薬のやり過ぎでマトモな判断力が失われていた」というのが大方の意見のようです。
確かに、その意見は否定できません。覚醒剤のやり過ぎで、おかしくなる可能性はありますから。ただし、別の見方もあります。
皆さんも、自首という言葉を聞いたことがあるでしょう。この自首ですが、成立させるのは意外と難しいんですよ。
まず、指名手配されていた者や脱獄した囚人が最寄りの交番に自ら「私がやりました」と言って出頭したとします。これは自首には当たりません。
自首に該当するケースとは、まだ捜査の段階で容疑者を絞り込めていない時に真犯人が「私がやりました」と言って出頭することです。この場合、刑はぐっと軽くなります。本来の量刑の半分以下になるケースもあるとか。また、執行猶予が言い渡される可能性も上がります。
つまり自首を成立させるには、スピードと決断力が命となるわけですね。
「このままだと、絶対に逃げきれない。いずれは俺が容疑者として浮上し、全国に指名手配される。逮捕されるのも時間の問題だ。ならば、さっさと警察に行って自首を成立させよう」
犯罪者の中には、こんな計算をして自首する者もいるようです。
もっとも、たとえ自首の扱いにならなくても、自ら警察署や交番などに出頭した場合、刑は少しは軽くなるようですが。
ここから先は、私の想像による部分が大半です。
冒頭の事件ですが、出頭した女性は、過去に逮捕された経験があるのではないかと思われます。その経験から、自首した場合のメリットを知っており、それゆえ自ら出頭したのではないかと。
一度でも逮捕されれば、警察には指紋の記録が残っています。逮捕された経験のある方ならご存知でしょうが、黒い朱肉みたいなもので指紋を採取されるんですよ。これは正直、かなり不快ですね。指は汚れるし、刑事の態度は居丈高だし、体験しないにこしたことはありません。
不快さはともかくとして、採取された指紋は警察のデータに残ります。これは一生消えないでしょう。したがって、何か悪さをして現場に指紋を残せば、すぐに指名手配されます。
なので、覚醒剤の入った紙袋をタクシーに忘れた……などというケースの場合、紙袋を調べられれば、一瞬にして指名手配にされてしまう可能性が高いわけです。しかも、最近のタクシーはカメラが搭載されていますね。ですから、自分の映像もまた撮影されているわけです。
それならば、むしろ早いうちに自分から出頭して自首扱いにしてもらい、罪を軽くしよう……こんな計算をしたとしても不思議ではありませんね。少なくとも、私ならそうします。
ちなみに、覚醒剤をやっていて自分から警察に自首するケースは少なからずあるそうです。ポン中という人種にも様々なタイプがいるようでして、覚醒剤を射ったとたんに罪悪感に苛まれる者もいるようです。
覚醒剤を射った直後に、「またやってしまった……このままだと、俺は一生ポン中のままだ」などというマイナスの考えが湧いてきて、やがて耐えきれなくなり自首してしまう……というような人もいるとか。大麻と違い、覚醒剤は使用だけで有罪となりますので、尿検査をして反応が出れば即逮捕です。
このケース、本人が勝手に出頭して逮捕されるなら構わないだろ……と思うかもしれませんが、周囲の人間にしてみれば大迷惑なんですよ。特に、スネに傷持つ身の人からすれば「あの野郎、勝手に自首してんじゃねえよ」ということになります。一人が逮捕されれば、芋づる式に捜査されるからなんですよ。
よくアクション映画などで、悪人の側にいながら改心するキャラがいます。ただ、そういうキャラは映画の中盤ないし終盤で死ぬパターンが多いですよね。
現実でも、改心した悪人というのは苦労するようです。改心するとなると、警察に協力することになります。そうなると、かつての仲間からの恨みは買いやすいですね。B級アクション映画にありがちな設定ですが、現実にも意外とある話のようです。
つまりは、初めからそういう道に足を踏み入れない……それが正解ですね。こんな結論で、今回は終わります。上手くまとまらずすみません。




