記憶に残るラスボス
ラスボスとは……今さら説明の必要もないでしょう。読んで字のごとくラストに控えているボスのことです。
ゲームや映画などでは、このラスボスを倒せばエンディングを迎えるものがほとんどですね。まあ最近のRPGでは、ラスボスより強い裏ボスがいるのがお約束のようですが。
さて、私はこれまでに様々な映画を観てきました。その中には、印象深いラスボスが登場した作品もあります。
そんな訳で今回は、アクション映画に登場し強烈なインパクトを残してくれたラスボスについて語ります。いつもと違うゆるさですが、お口直しにどうぞ。
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『プロジェクトA』より、ロー・サン
このプロジェクトAは、一九八三年に公開された香港映画です。主演はジャッキー・チェン。共演はユン・ピョウ、サモハン・キンポーなどなど。
ストーリーはというと、二十世紀初頭の香港にて、海賊と倒すため海上警察と陸上警察とが手を組み、さらに海賊の宝を狙う盗賊をも巻き込みながら、海賊の壊滅を目的としたA計画が発動する……という内容です。
この作品のラスボスはロー・サンといいまして、海賊の頭領なんですが……まあ強い。どのくらい強いのかと言いますと、ジャッキー・チェン演じるドラゴン、ユン・ピョウ演じるジャガー、サモハン演じるフェイの三人がかりでも歯が立たない……という怪物なんですよ。
ドラゴンにしろジャガーにしろ、作中における強さは尋常ではありません。ドラゴンはフェイと共に、数十人を相手に大立ち回りを演じております。ジャガーは、そのドラゴンとほぼ互角に闘っていました。この三人は、全員が人間凶器と言っても過言ではないんですよ。
その三人を同時に敵に回し、互角の闘いを演じてのけたサン……この戦闘シーンは本当に圧巻です。タイガーマスクVSタイガー・ザ・グレート、あるいは剣桃太郎VS伊達臣人の闘いをも上回る名勝負ですね(知らない方すみません)。
ちなみに、サンを演じているディック・ウェイはテコンドーや散打という格闘技の大会で優勝している、ぶっちぎりの武闘派俳優です。ジャッキーらを向こうに回しての闘いぶりは、本当に見事としか言い様がないですね。
そんなロー・サン、激闘の末に最後は絨毯でぐるぐる巻きにされ、手榴弾で吹っ飛ばされるというちょっと残念な死に方でしたが、この男だけはそのまま『ワン○ース』に登場してもおかしくない強さでしたね。
ちなみに『プロジェクトA』には続編もあります。一度、ちゃんと観たはずなのですが……全く内容を覚えていないのは何故でしょうか。
一つだけ覚えているのは、ロー・サンに匹敵するような強者は出てなかった、ということです。
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『サイボーグ』より、フェンダー
この映画は一九八九年に公開された、ジャン・クロード・ヴァンダム主演のB級アクション作品です。ネットで調べていただくと分かるのですが、まあ九割の方が酷評してますね。
そのストーリーはというと、文明が崩壊した世界で帝王になろうとする男と、それを止めようとする戦士の死闘を描いた近未来アクションです。某世紀末救世主伝説に近いものがありますね。
この作品、私は大好きですが……B級アクション好きでない人が観ても、時間を無駄にするだけでしょう。と、ここで終わらせては話になりません。
この映画の見所の一つは、ラスボスのフェンダーです。ヴィンセント・クラインが演じているこのキャラクター、私の中では映画史上ベスト3に入るくらいに怖い顔なんですよ。
どんな顔かと言いますと、アニメ『イナズマデリバリー』に登場するサメ型エイリアンのバイザウェイと俳優の遠藤憲一さんを合わせた感じ……などと言うと、さらに分かりづらいですね。こればかりは、実際に見てもらうしかないです。
カラーコンタクトとメイクのお陰もあるでしょうが、このフェンダーの顔は、異相としか言いようがないんですよ。特に映画のラストにて、大雨の降る中でヴァンダム演じる主人公との一対一のド突き合いをしていますが……この時のフェンダーの姿は、一見の価値がありますね。オーガーの血をひくマッチョなキ○ガイが刃物を手に暴れてる、としか表現のしようがありません。もっとも、こればかりは是非とも自身の目で確かめてみてください。下手なホラーより怖いです。
ちなみに、このヴィンセント・クラインという俳優はアルバート・ピュン監督の作品には、ほぼ必ず出ています。ただし、このフェンダー以上のインパクトを、観ている者に与える役はないですね。
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『リベリオン』より、???
この作品のみ、ネタバレになるので敢えてラスボスの名前は伏せます。
映画の舞台は、これまた近未来なのですが……今度は『サイボーグ』とは真逆の、高度に管理された世界の物語です。
全ての市民が、感情を抑制する薬の注入を義務付けられているリブリアという都市にて、治安を守る役割の特別捜査官であるジョン・プレストン。彼はある日、誤って薬のカプセルを割ってしまい、結果的に薬の注入を怠ってしまいます。すると、ジョンの感情が目覚めていき……という、いわゆるディストピアもののSF映画です。
この作品の見所は、なんといっても「ガンカタ」を用いたバトルシーンでしょう。
ここで、ガンカタについて説明しますと……膨大な戦闘データに基づいて相手の撃ってくる弾丸の軌道を予測し、回避と同時に攻撃を行うという攻防一体の戦闘術です。
さらにガンカタでは、武術と銃の組み合わせにより、超近距離での銃を用いた戦闘を可能にしています。卓越した武術により相手の銃口を逸らしつつ攻撃するなどといったテクニックも出てきます。
ラスト近くで覚醒したプレストンは、ガンカタによる超人的な強さで、敵を次々と倒していきます……このガンカタによるバトルシーンは、一度は見ておくべきでしょうね。その後の映画におけるアクションシーンに大きな影響を与えた、と言っても過言ではないかと思われます。
さて、肝心のラスボスですが……実のところ、けっこう呆気なく倒されます。が、その直前におけるプレストンの無双ぶりを見ていると、逆に「よく粘ったな」と誉めてやりたくなるのは私だけでしょうか。
このラスボス、見た目はアメリカのとっちゃん坊やという感じですね。ネタバレになるので名前は伏せます。実のところ、伏せても意味はないかな……という気もしますが。
ややぽっちゃり気味の体とお坊ちゃん風の顔つきでありながら、無双モードにあるプレストン相手にガンカタによるタイマン勝負を挑み、そこそこ粘ってます。それだけでも、評価してあげていいんじゃないかな……と。




