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エッセイ書いたんだよ!  作者: 赤井"CRUX"錠之介


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放火は重い罪です

 私の通っていた高校は、都内でも屈指のバカな工業高校でして……半年に一度くらい、バカなことをやらかしては退学になる生徒がいました。

 もっとも、ヤンキー漫画に登場するような本格的なバカは、たいがい一年生のうちに消えてしまいますが。底辺の高校について大げさに言ったり書いたりする輩がいますが、実際には大したことはありません。

 少なくとも平成に入ってからは、都内のかなりの数の底辺高校が『都立高校改革推進計画』なるプロジェクトにより、廃校もしくは他の高校に統合されました。私の母校も、私が卒業した数年後には廃校となっております。そんな状況でしたので、学校側も退学させることに容赦はありませんでした。


 さて、私が一年生の時のことです。数人の二年生が騒ぎを起こし、うち一人が退学となる事件がありました。

 件の二年生が何をしたかと言いますと、学校帰りにファミレスにて雑談していたら警察に通報されたらしいのですが……彼らの行動が、非常にマズかったらしいのです。

 まず、二年生のうち誰かがタバコを吸い始めたとか。もっとも、当時は喫煙に対し社会全体がおおらかでした。未成年者の喫煙に対しても、見て見ぬふりをするケースがほとんどだったようですね。

 しかし、うち一人の行動が非常にマズかったのです。彼は、持っていたライターでティッシュなどに火をつけ、燃やしていたとか。店側は、その行動を見て通報したらしいのです。

 結果、彼は放火で逮捕されたとか……挙げ句、退学となりました。




 放火という罪は、意外と身近なところで引っ掛かります。子供時代の、文字通りの「火遊び」が原因で火がつき、家が全焼したりします。

 しかも、連続放火犯というのは一種の病気のようなものらしく、火をつけては燃え上がる場面を見物に来るとか。

 かつて刑務所に行っていた知人が言っておりましたが、放火犯というのはちょっと変わり者が多かったそうです……多かった、というと語弊があるかもしれませんが。

 基本的に、犯罪というのは金が目当てです。ところが放火の場合、火をつけても一文の得にもなりません。まあ、保険金詐欺と放火とが重なることはありますが……。

 ニュースなどで報道される放火犯の場合、大半は「むしゃくしゃしてやった」などというのが動機ということになっております。しかし、普通の人はむしゃくしゃしたからといって放火したりしません。つまり、放火犯の大半は何らかの心の病を抱えているのです。

 故・中島らもさんの『僕に踏まれた町と僕が踏まれた町』という自伝的エッセイには、火つけのイナダなる人物が登場します。

 この火つけのイナダ氏、とにかく物を燃やしたり爆発させたりするのが大好きな少年でして、らもさんは「思想がないのに事を起こす奴が一番怖い」と件の少年を評しておりました。実際、放火という罪は性犯罪と同じく、心の病が生み出すものなのかもしれませんね。




 これから書くのは、私が幼い頃に聞いた話です。

 私の近所には、コトリさん(もちろん仮名です)という人がいました。コトリさんは大工であり、乱暴かつ荒い気性でしたが、基本的には真面目で優しい人でした。また自宅にて鶏を飼っており、朝になると鳴き声が聞こえていたのです。

 ところが……ある日、コトリさんの家が全焼してしまいました。夜中に火をつけられ、あっという間に燃え広がり、消防車が来た時には手遅れでした。

 それだけでも幼い私には衝撃でしたが、両親や学校の友人から、さらに恐ろしい話を聞かされます。

 放火したのは、なんとコトリさん本人だったのです……とは言っても、コトリさんに放火する趣味があったわけではありません。

 事の発端は、コトリさんが酔っ払って夜中に帰ったことでした。家で待っていた奥さんと言い合いになり、コトリさんは散々に罵られたのです。しかも、鶏のこともネチネチと言われたとか。

 奥さんの言葉にコトリさんはブチギレて、しまいには鶏小屋に灯油を撒いて火をつけたのです。ところが火は瞬く間に燃え広がり、古い木造の母屋まで焼きつくしてしまいました。もちろん飼っていた鶏は焼け死にましたが、コトリさんと奥さんにケガは無かったそうです。


 自宅を全焼させてしまったコトリさんは、懲役五年の刑に処せられたそうです。悲惨としかいいようのない話ですよね。もっとも死者が出なかったのが、不幸中の幸い……と言っていいかは難しいところですが。

 そんなわけですので、皆さんも火の扱いにはくれぐれも気をつけて下さい。放火で逮捕されたらシャレになりませんので。








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