中世ヨーロッパ、行きたいですか?
今回の話は、とても汚いです。苦手な人は、ここでブラウザバックをオススメします。
念のため、もう一度書いておきます。今回は汚いネタ満載の回です。しかも伏せ字にせず書いております。苦手な人、お食事中の人は読まないことをオススメします。
今さら言うまでもないことですが、なろうは中世ヨーロッパ風の異世界にチート能力をもらって転移もしくは転生するストーリーが人気です。
まあ、これに関してはとやかく言うつもりはありません。私は「現実は夢も希望もない。だから異世界チーレムが好きなんだ」という紋切り型の言い訳めいた言葉を錦の御旗のように振りかざす態度は嫌いですが、異世界チーレムそのものを否定するつもりは全くありません。理由なんか無い! 好きなんだから好きなんだよ! と、胸を張って宣言して欲しいです。
ただ、中世ヨーロッパ風の異世界という舞台設定については一言ありますね。本気で、あんなところに行きたい人がいるのだろうか……と。
いきなりですが、中世ヨーロッパ風の異世界にはトイレットペーパーがありません。ではウンコをした後、どうやって拭いてるんでしょうか? 恐らくは布切れで拭くか、もしくはそのまま……ですよね。この時点で、私はギブアップです。ちょっと耐えられる自信がありません。
ちなみに知人の話によれば、刑務所ではトイレットペーパー(チリシ、と呼んでいたそうです)の枚数が決められており、足りなくなるとトイレの水と自身の指を用いて拭いていたそうです……。
かつて日本は、汲み取り式のトイレを使っておりました。私が小学生の時、確か山梨県の施設に泊まった時は……そこのトイレが汲み取り式でした。下には、ぽっかりと空いた穴。中に見えるは排泄物の山。さらに、白い物が大量に蠢いているのも見えます。そう、ウジ虫がわいているのです。あの光景は、なかなかのものでしたね。
さらに、聞いた話によると……中世のフランスでは窓から通りに糞尿を捨てており、道路のあちこちに糞尿が撒かれていたとか。その匂いを誤魔化すために香水が発達し、糞尿を踏まないためにハイヒールが発明された……という話も聞きます。
いずれにせよ、今どきの日本で育ったような若者が、そんな環境で耐えられるとは思えないんですよ。電車の吊革にすら触れず、除菌シートを常に持ち歩き、外の便座には腰を落ち着けられない……そんな潔癖症かつ滅菌状態の若者が、ワイルドな異世界に耐えられるとは思えないですね。まず、トイレ問題の時点でギブアップでしょう。まあ、チート能力で解決なのかもしれませんが。
別の問題もあります。たまにアフリカなどの映像で、少年の顔の周りを大量のハエが飛び回っていますが……虫は怖い生き物です。例えば、我々の身近にいるハエでも危険な病原菌を運んできます。さらに海外には、人間に寄生し卵を産み付けるハエもいるとか。眼球や脳にウジが涌いてしまうケースもあるそうです。
しかも、危険なのはハエだけではありません。様々な病気を運ぶ蚊もいます。さらに、ハチやアブやアリや毒グモなどなど……数えあげれば、本当にキリがありません。
虫だけではありません。野生動物の中には、狂犬病のウイルスを持つものもいます。狂犬病は本当に危険ですからね……発症するまでは、特に自覚症状がありません。自覚症状が出ると、もはや百パーセント手遅れらしいです。
まあ、それ以前に「虫なんか無理」という人たちが、ダンジョン探索なんか出来るんでしょうか。ダンジョンにはゴキブリや三十センチクラスのムカデ、さらにぴょんぴょん跳ねるカマドウマなんかが当たり前のように出ます。
ゴキブリが出ただけで悲鳴を上げるような現代人では、ダンジョン探索は無理だろ、とは思いますね。
それよりも、もっとキツいことがあります。今の日本に生まれた若者と、中世ヨーロッパ風異世界に生まれた人たちでは……知的レベルも価値観もまるで違うという事実です。例えるなら、侍とペキン原人が意思の疎通をするくらい難しいでしょう。
異世界、特に村で育ったような人間は地球が丸いことを知りません。字が読めず、簡単な算数さえ出来ない者もいます。彼らの知的レベルは、我々と比べてかなり低いと考えた方がいいでしょう。
実際、ヨーロッパの探検家が未開の土地に住んでいた原住民に肖像画を見せたところ、原住民はそれが人の顔であると認識できなかったそうです。
どういうことかと言いますと、原住民の目には肖像画が様々な色と線の固まりにしか見えなかったのです。我々は、その様々な色と線を見て「人間の顔が描かれている」という判断を無意識レベルでしているのですよ。
つまり絵を見て、それが人の顔だと認識するには……知識と知恵が必要だというです。それもIQとかではなく、文化面での知識と知恵ですね。
我々は絵や本やテレビやゲームやネットなどから膨大な知識を得ており、それらを上手く活用する知恵もあります。これらは、文明社会で生まれ育つ過程で、自然に身に付いてきたものですね。
そんな我々と、地球が丸いことすら認識できない……それどころか、肉の両面を焼いただけで称賛されるような人種とでは、最初から話が合わないでしょう。
ある有名な漫画家は、自伝的エッセイの中で「田舎の同級生とは全く話が合わず、いつもイライラしていた。都会は自分とセンスの合う人が大勢いるのだろう、という憧れを抱いていた」などと書いていました。同じ日本人ですら、この始末です。まして現代日本人と異世界人とでは、生まれ育った環境があまりにも違い過ぎるんですよ。
しかも、異世界作品の主人公はチート持ちです。全てにおいて劣って見える相手を人間として認識できなくなり、挙げ句にイライラして皆殺し……これは、起きてもおかしくないんですよ。
はっきり言って、異世界人と現代日本人がわかりあうのは不可能に近いでしょうね。
最後に、誤解されては困るので付け加えますが……私は異世界作品において「ウンコや虫に関する描写がない! けしからん!」などと言っているわけではありません。創作において、そういった部分を省くのは当然です。
さらにおまけですが、私は中世ヨーロッパ風の異世界など、チート能力をもらっても絶対に行きたくありません。神様に頼んで、出来るだけ現代の日本に近いような異世界にチート持ちで送ってもらいます。




