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エッセイ書いたんだよ!  作者: 赤井"CRUX"錠之介


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うちのせんせい

 言うまでもないことですが、私にも少年時代がありました。小学生の時は明るく、中学生の時は暗く、高校生の時はおかしな色彩を放っておりましたが……それについては、また別の機会に語るとしましょう。


 以前にも書きましたが、私のいた地域はかなり治安が悪く、貧乏な家庭が多い上に学力レベルも低かったですね。

 そのためかどうかは不明ですが、学校にいた教師たちのレベルもまた異様に低かった記憶があります。もちろん、学力がどうとかいう話ではありません。人間として完全にどうかしている、としか思えないような人物が、教師として子供に勉強を教えていたのです。




 私が小学生の時、音楽の教師をしていたセダン(仮名です)は、すぐに暴力を振るうことで有名でした。敢えて体罰と書かず、暴力と書かせていただきます。

 それも頬をビンタするとか、そういうレベルじゃないんですよ。私は忘れ物をした時、自分のリコーダーで頭をブン殴られました。それも数回です……お陰でリコーダーが壊れ、新しいものを買わなくてはならなくなりました。

 さらに同じクラスのコンタ(仮名です)くんは、セダンにグーでバチバチ殴られて口の中を切り、おまけに鼻血も止まらず保健室へと直行しました。

 他にも、セダンの暴力により鼻血を出したり痣を作ったり歯が折れたりした子は数知れなかったとか。今だったら、確実にワイドショーで報道されているでしょうね。

 このセダンのお陰で、私は音楽というものが大嫌いになりました。未だに、テレビなどで小学生の音楽の授業の映像が流れると、私はたまらなく不愉快になります。正直、このセダンだけは……もし今、会ったとしたら罵詈雑言を浴びせたい気分ですね。それくらい、私たちは理不尽な暴力を受け続けていたのです。

 やがて、セダンは他の学校へと移されることとなりました。度重なる暴力により、教育委員会が動いたという噂です……真相は不明ですが。

 もっとも私の住んでいた地域は下町であり、教師の体罰には寛容な部分があったんですよね。そのため、教師がグーで顔を殴っても、親の「お前が悪いから殴られたんだろ」という一言で終わりなんですよね……普通なら。

 しかし、そんな地域ですら追い出される羽目になるくらい、セダンの暴力はひどかった訳です。

 最後に言っておきますが、セダンは女性です。当時すでに四十を過ぎていたと思われます。にもかかわらず、その暴力は本当に異常でした。精神的に果たして正常だったのか、それすら疑わしい部分があります。




 ベル(仮名です)という教師も、違った意味で狂っていました。

 この男は理科の教師でしたが、チャイムが鳴ると教室に現れます。

 その後は、一方的に喋り黒板に要点を書いていくだけです。「この問題が分かる人は?」といったやり取りは、一切ありません。

 また、授業中に騒いでいる子供がいても、全く注意しません。事実、ベルの授業は全くの無法地帯でした。絵を書いている奴、マンガを読んでる奴、菓子食ってる奴、授業を抜け出す奴……しまいに、隣のクラスで授業していたはずの教師が教室に入って来て「てめえら! るせえぞゴラァ!」と怒鳴り、遊んでいた生徒二人をぶん殴ったことがありました。

 ちなみに、その間ベルが何をしていたのかと言いますと……完全無視です。その時も「カエルは変態する動物……」などと説明していた記憶があります。

 今、当時を振り返ると……ベルは、精神的に普通ではなかったとしか思えません。時間になったら教室に現れ、生徒の反応を無視して一方的に授業をして、時間になったら帰る……これは、もはや人間の対応とは言えないでしょう。




 この他にも、頭がどうかしているとしか思えない教師が数人いました。しかし、いい所で育った人たちにこの話をすると必ず「話を作ってるんでしょ」と言われます。

 もっとも、下町と呼ばれる場所で育った人と話をすると「うちなんか、もっと凄いのいたぜ」と言われます。やはり、地域によって教師のレベルに差があったという事実は否定できないでしょう。

 教育格差なる言葉が登場したのは、いつの頃かは分かりません。ただ、私が幼い頃から存在していたのは間違いないですね。少なくとも、私の音楽の成績は……はっきり言って最悪でしたから。







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