続・私の中学時代
前回に続き、今回も私の中学時代についてお話しします。
さて、いじめの魔の手から逃れることが出来た私ですが……代わりに、少々厄介な立場へと足を踏み入れます。
当時は、同級生の一人が○○会系(広域暴力団です)と関わるようになって学校から姿を消し、その穴を埋めるような形で私はヤンキー連中とつるむようになっていきました。
そこで思ったことは……「こいつら、どうしようもないな」でした。正直、やっていることがしょうもないんですよ。
例えば学校の帰り道、学生服のままタバコをスパスパ吸いながら歩きます。道中、明らかに自分より弱そうな少年たちとすれ違い、ちらりと目が合っただけで――
「お前ら、何ガンくれてんだよ!」
などと因縁を付け、ひとけの無い場所へと連れて行きます。そこでネチネチと、クンロク(脅迫のような説教です)を入れますが、機嫌の悪い時にはさらに殴りつけて帰らせます。
さらに、公園でたむろしていた時はもっと酷かったです。タバコを吸いながら、たまたま通りかかった真面目そうな中学生に因縁を付け、散々いたぶってから帰す……ということをやっていました。
その時、私は何をしていたかと言いますと……知らん顔してタバコ吸ってました。まあはっきり言うなら、その場にいて止めなかった私も同罪です。
その他にも、友人のヤンキーたちはあちこちで悪さをしていました。私はそんな姿を間近で見ていて、ヤンキーというものの実態がどれだけ酷いのかを悟れましたね。
そんなわけで、私の中からヤンキーに対する幻想はなくなりました。もっとも、内心では軽蔑しながらもツルんでいたりしたわけですが。
その後、高校に入った私はヤンキーとは別種の、さらにおかしな連中とツルむようになっていくのですが……それはまた別の機会に書くとします。
中学生の当時を振り返ってみると、この時に私という人間を押さえるタガが緩んでしまったように思いますね。周りの影響からタバコを吸うようになり、次いで学校をサボることに何の抵抗もなくなりました。さらには、犯罪につながるようなことにも……。
大抵の場合、人間は一気に悪くなる……ということはありません。つい昨日まで品行方正だった学生が、いきなり覚醒剤を射つということはあり得ないですし、犯罪には何らかの予兆というか入口のような部分はあると思うんですよね。
私の場合、その入口に当たるのが中学時代でした。中学生の時、タバコを吸ったり学校をサボったり……そうした行動は非常に小さなものですが、私の中から犯罪と呼ばれるものに対するタブー意識を少しずつ取り除いていった気はしますね。
それがさらに進んでいくと、ドラッグにはまったり裏の連中との関係でがんじ絡めになってしまったり……とにかく、この時期に人生を左右する出来事が待っていた、という人は少なくないでしょう。
学園ドラマなどで優等生と不良とが付き合うと、「あんな育ちの悪い子と付き合っちゃいけません!」などという教育ママが悪役として登場したりします。
まあ、あれはドラマならではの極端な例ですが……あの教育方針は一概に全て間違ってる、とは私には言い切れないですね。悪い連中とツルんでいると、知らないうちにとんでもない事件に巻き込まれたりしますからね。
かといって、無菌状態のまま大人になると……今度は、いい歳をして薬物や悪い女にハマったりするような大人になってしまうケースもあります。若いうちに、こうした連中からの誘いを上手く断るテクニックを身に付けるのも、とても大事ですね。
この「上手く断る」というスキルは、大人になってからも重要な意味を持ってきます。もっとも、こればかりは万人向けのやり方というのが無いので……自分に合ったやり方を発見し、身につけていくしかないでしょうね。
とりとめのないことを書き連ねてきましたが、要は中学生になってから……私という人間のタガは、凄まじい勢いで緩んでいったということです。
この時期に、私はタバコを覚え学校をサボることに抵抗がなくなり、さらにしょうもないことも色々やりました。
仮にこの時期、普通に過ごしていたなら……私の人生ももう少し普通になっていたことでしょう。子供を持つ親御さんなら分かっていると思いますが、この時期は大変ですし、また大切な時期でもあります。
かといって、私には何もアドバイスできないのが悲しいところですが。気をつけてください、としか言い様がないです。
誤解されては困るので補足しておきますが、私はヤンキーではなかったですし、基本的にヤンキーは嫌いです。
また「俺も昔、ヤンチャしててよう……」などというつもりで、これを書いたわけでもありません。むしろ私は、ヤンキーという人種の嫌な面をたっぷり見てきました。ですから、ヤンキーという人種を擁護するつもりは一切ありません。
また、何度も書いていますが……かつてヤンキーだった、というオッサンの昔話は九割方は盛っています。仕方ないので、適当に聞いてあげましょう。




