(3)ふじきあゆむ
「はっ……はっ……はーっ……」
なんでこんな全速力で走ってきちゃったんだろ……。無駄に体力使ったよねコレ。
嗚呼、もう色々疲れちゃったんだわ。毎日がつまんないのと、藤木くんが気になりすぎて。
何回も声掛けよう声掛けようって思ったんだけど気付いたら忽然と消えてるんだよね。
透明人間、って感じかな?
それに、誰かと話してるのなんか見たことないし。声も……聞いたことない、かも。
藤木くんは俺の横の窓際の席に座ってる。藤木くんの方に首を向ければ藤木くんが見れるんだけど
虐められてる時も良く見える。クラスの化粧が濃くて香水臭い女子達が甲高い声を上げて絡んでいた。
その時の藤木くんは猫背のまま顔を下に向けて言葉を一切発さない。
……というより、無視?ガン無視?って感じ。
藤木くんって案外肝が座ってるなって思った。
……そんなこと思ってたらすんごく藤木くんに会いたくなってきたぞ。
あああ会いたい!!!すっげー会いたい!!!でもいない!!!もどかしい!!!
あーあ。こんなトコにひょこっと……ひょこっと出てきてくれたらいいのになぁ。
「……………………。」
来るわけないか!!!知ってたよ!!!((泣))
とりあえず俺は疲れたんだ。すごく。
もう真っ直ぐ家に帰ってゲームして寝るとするか…………。
俺は一息ついて家に向かって歩き出した。
ドンッ
「うわっ」
やっべぇ。ボーッとしてて前見てなかった!
俺は重力に逆らえずその場で盛大に尻餅をついた。相手も同じの様だった。
「なあああ、ごめんよ誰かさっ…………!?」
俺は自分の目を疑ってしまった。目をごしごし擦ったり、瞬きをしまくったりした。
夢かな?いや夢じゃない。ぇ、夢じゃないよね?
だってだって。今俺の目の前には。
お尻を痛そうにさすってる藤木くんがいたから。