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だいすきなわたしへ。

作者: 南丘優

喉元を掴まれた安心感。腹部を抉られる充足感。

行き止まりの道は選択肢を1つにしてくれる。

絶望はとても、優しい。

「もうっ…やだぁ…」

痛みに蹲る。

ほっぺたが、冷たい。

私が泣いてる。

じわりと滲む高揚感。

諦めに膝をつき、苦しさを流す私の声は心地いい。

後ろで足音がした。

私の身体が強張る。それでも慌てて動こうとする。

絶望に身を浸しながら希望を掴んで離そうとしない私は可愛い。

逃げれるわけ、ないのに。

背中に靴の感触。衝撃。

髪を掴まれる。

浮遊感。

右側の壁に近づく。見えなくなる。

空が見える。

お腹に圧迫感。

背中に異物感。浮遊感。

もう一度空が見える。遠くなる。

景色が切れた。


私の啜り泣きが聞こえた。

膝を抱えて顔をうずめる私にゆっくり近づく。

前にしゃがみこんで顔を上げさせようとするけど、首を振り思いの外強い力で拒む。

仕方ないから側に同じように膝を抱えて座る。

「もう、やめてよ…」

嗚咽混じりで、ぐしゃぐしゃの言葉。

きもちいい。

柔らかくて、あったかい。

ふわ、と包み込まれたような満足感。

身を全て預けたくなって、目を閉じる。

ちゃんと聞こえるように顔を私に向けたまま、膝に顎を乗せる。

「いつまで、こんなこと、するの、」

私の声がじゅわりと溶けていく。

耳から快感そのものが入って、中でほどけていくような錯覚。

きもちいい。

ずっと今が続けばいいな。

次第に叫びへと変わっていく私の声は、途切れることなく嘆願を続ける。

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