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【物語】竜の巫女 剣の皇子 1 はじまり
天輪神がアルテ・ハルモニアというひとつの世界をお創りになり、そこに『生きよ』と人を配した。
人は暮らすことを始めたが、争いも始めた。
争いの中、ひとりの巫女とひとりの武人が天に慈悲を請うた。
長い祈りの末に、天輪神はふたりの願いを聞き入れた。
ふたりの前に、天から青と白の四翼を持つ天女が降り立ち、赤い二本の角とたてがみ、 五指五爪四肢、白い躯と二翼の竜を一体与えた。
「これは天輪神が『秩序』に形を与えたものだ。これをそなたらの慈しみの魂をもって使え」天女は伝えた。
竜はこの世界において最上の力と知恵を持っていた。
ふたりは竜の力を借りて、争いをおさめた。
竜は巫女と武人が御守りすることにし、その地をアーサラードラとした。
天女は地上に残り、人と共に暮らした。
後に国は再び分かれ、歴史となる。
これはこのアルテ・ハルモニアの物語である。
(つづく)