6話 権力社会
僕の目の前にあるお椀の中には佐藤君と鈴木君とチカちゃんがいる。
「いただきます」
僕はそう言うと勢いよくかきこんで、3人を食べた。
佐藤君は空気が読めないし、鈴木君は根暗だし、チカちゃんに至っては常に涎を垂らしているから、何を考えているのかすらわからない。
だから、彼らは食べたって構わないのだ。おそらく、他の皆も3人を食べているに違いない。
3人を食べ終わって一息ついた。
その後周りを見渡すと、人が4,5人居た。
なぜこいつらが此処に、そう思う間もなく、僕等の視界は赤に覆われた。
纏わりつくような粘液が気持ち悪い。それに生暖かい。
ちくしょう、此処はどこだ・・・
たった今、飯島君と中橋君と田口さんと徳夫君を食べた。
彼等は所謂オタクと呼ばれるグループで、なんとなく気に食わないから食った。
おそらく皆も同じ考えだろう、僕だけじゃない。
そう、皆食べてるんだ。
ピー助もタロマルもメカちんも皆食べてるんだ。そう、僕は悪くないぞ。
そう思っていると、僕の目の前が急に赤に染まった。
ああ、なんだこれは。ネトネトして気持ち悪いぞ。
ああ、この服はお気に入りなのに、畜生目・・・
たった今、斉藤君と石岡さんと目黒さんと羽田君を・・・