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45話 自分の景色を他人に押し付けてはならない

「いてっ」


人参を切っている最中、指を切った。


「…」


幸いにも深くは切らなかったので、絆創膏を貼ったり消毒する必要はなさそうだった。


それにしても、目の錯覚だろうか。


傷口からは青色の液体が流れている。


「ご飯まだなの?」


妻の声で我にかえる。


「まだ作り始めたばっかりだよ」


僕は不安になって妻に尋ねた。


「ねぇ、血の色は何色だと思う?」


「赤色以外に何があるっていうのよ」


妻は視線をテレビから少しも動かさずに答える。


「そうか、そうに決まってるよな」


僕は安心して夕飯の支度を再開した。


止血も兼ねて青い液体ごと指を舐めてみた。


甘い。



「本当に血は赤いのかな?」


夕食中、僕はまた不安になったので、再び妻に尋ねた。


指から液体は流れなくなったが、どうも傷口が以前より濃青色になった気がする。


「当たり前だって言ってるでしょ!」


妻は急に怒鳴り声を上げて、立ち上がった。


「そんなに気になるならそこの包丁で切って確かめればいいじゃない!」


妻はまな板の上にある包丁を指さして、更に声高に叫ぶ。


「ご、ごめんよ」


「気分が悪くなったから外で食べてくるわ」


「えっ、でもご飯はもう…」


「こんなまっずい料理我慢しながら食べてるってのに、そんな話まで聞かされたら嫌になるって言ってんの!」


妻はそう言うとテーブルの上を払い除けた。


料理が皿ごと次々と床に落ち、散乱する。


ああ、せっかく彼女のために作ったのに。


「ほんっと、給料も少ないし料理も下手なくせに気は効かないなんて、とんだクズと結婚しちゃったわ」


彼女は愚痴を吐きながら化粧をし始めた。


ただ外に食べに行くだけなのになんで化粧をするんだろう。


そんなことより、血は本当に赤いのだろうか。


僕の頭の中はその事だけでいっぱいになっていた。


「そのゴミは私が帰ってくるまでに片付けておきなさいよ」


「わかった」


僕はまな板の上にある包丁を手に取り、化粧をしている最中の妻の背中に突き刺した。


「あえっ」


変な声を上げて、妻は化粧台に突っ伏すように倒れた。


彼女の体からどんどん青い液体が溢れ出してくる。


なんだ、やっぱり血は赤じゃなかったんだな。

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