33話 時計
青年と少女は歩いていました。
道は綺麗に舗装されています。
ただ、道の先には何も見えません。周りにも何もありません。
果てしなく道が続いているだけです。
けれど二人は歩き続けます。何も言わずに、休む事無く歩き続けます。
「ねぇ、アレ」
少女が青年の服を引っ張り、立ち止まって前を指差します。
「なんか前にも見たような気がするんだけど」
青年は少女が指差してる方向を眼を凝らしてみて見ます。
しかし、なにも見えません。
「なんにも見えないんだが」
「じゃあそういうものなのよ」
「そういうものなのか」
そこで会話は途切れ、二人は再び歩き出しました。
「あれ見ろよ」
今度は青年が立ち止まり前方を指差します。
「さっきもあったよな、アレ」
少女はじっと青年が指差す方向を見てみます。
しかし、何も見えません。
「なんにも見えないわ」
「じゃあそういうものなんだよ」
「そういうものなのね」
そこで会話は途切れ、二人は再び歩き出しました。
「ねぇ、アレ見える?」
あれから暫く歩いた後、歩きながら少女はそう言いました。
「見えるよ」
青年は答えます。
「アレって白い?」
「ああ、白いね」
少女は歩き続けながら質問します。
「何回見た?」
「103万と1467回目」
青年は歩きながら答えます。
「それって本当?」
「割と嘘」
アレのところにたどり着きました。
「100を越えた辺りから数えてないんだ」
「そう」
二人はアレを踏み潰し、再び歩き出しました。
「コレもそういうものなのかしら?」
「そういうものなんだよ、きっと」
そこで会話は途切れました。
道の先には何も見えません。周りにも何もありません。




