32話 遺産
『実は私は1億を残してしまった。お前たち3人で何とか分けてくれ・・・それは金庫の中に入っている』
「おい、1億だってよ!どうする!?」
自殺した父の遺書を、父の机の中から次男が見つけ、大騒ぎしている。
「なんだって!?1億だと?」
1億という途方もない数字からか、長男もテンションが上がり、騒ぎ出す。
「・・・でも、俺が長男だから、少し多く貰っても良いよな?」
「おい、3人で山分けって書いてあるじゃないか」
抜け駆けを許すまいと、三男は即座に反応する。
「えー・・・でも3人で1億だろ?誰かが1円多くなるぞ?」
「おい次男、1円くらいどうでも良いだろ?」
「そうだよ、一番上の兄さんの言うとおりさ」
「それもそうだな・・・でも、今日はもう遅いし、明日また決めようぜ」
深夜、三男の部屋をノックして長男が入ってきた。
「おい、三男」
「どうしたの?一番上の兄さん」
「馬鹿の次男を殺してやろうぜ・・・俺らで5000万山分けしよう」
「・・・それは良い考えだね。あの馬鹿な兄さんが無駄遣いするよりも、僕らがより良く使ってあげた方がお金も喜ぶだろうし」
二人は意地の悪い笑みを浮かべる。
「自殺に見せかけて殺してやろうぜ」
「そうだね・・・じゃあ早速行動しよう」
「ああ、俺が今もって来たナイフでやってやるよ」
「後処理は任せて」
長男はその言葉を聞き、少し顔を顰めた。
「・・・その後処理の方法ってやらを教えてくれないか?」
「え?どうして?」
「お前の計画で馬鹿を殺した事がばれたらヤバイだろ」
「大丈夫だよ。僕は兄さんたちとは違って頭良いから」
その言葉に長男は少し不満な顔をしたが、執拗に食い下がった。
三男はうんざりしながらも、長男に後処理の方法を説明した。
「なるほど・・・確かにそれならばれないな」
「だから言ったでしょう?・・・じゃあ、早速準備してくるね」
「わかった。死ね」
長男は椅子から立ち上がった三男の心臓を目掛けて突き刺した。
「1億は俺のものだ」
三男が死んだ事を確認すると、次男を殺しに部屋へと向かった。
翌日、一人しか居ない家で目を覚ます。
後処理が終わるのが明け方までかかったので、寝るのが遅くなってしまい、もう既に日は高く上っている。
起きて早速父の遺書を見て、父の部屋に置いてあった金庫へと向かう。
遺書に書かれてあるとおりにダイヤルを合わせ、金庫を開けた。
「これで俺は大金持ちだ!」
だが、金庫の中には金は無かった。
「・・・なんだコレ?リスト?」
紙には沢山の人の名前が書いてあった。
数十秒後、彼は最後のページにある借金の文字を見る事になる。




