30話 運命の人
今日、素敵な人に出会った。
いや、運命の人と言っても良いのかもしれない。
澄んだ瞳に長くて綺麗な黒髪、真っ白な肌。
そして何よりも、いつも一人でカフェテリアに居た僕に話しかけてくれた。
そう思った瞬間、僕は彼女の事が好きなんだと気付いた。
「ねぇ、貴方って何で嫌われてるの?」
「言えないよ。言ったら君も僕のことを嫌いになるだろうから」
そう言いながら、心の中では彼女になら僕の秘密をさらけ出しても良いかもしれないと思った。
「大丈夫、絶対に嫌いになったりしないよ」
「そこまで言うなら・・・」
そう言うと僕は顔の皮を剥がし始めた。
ビチビチと引きちぎるような嫌な音が出たが、ものの数秒で無事剥がれた
所々接着剤でくっ付けてあったのを無理矢理剥がしたからか、自分の肉も少しくっついてる。
「・・・」
彼女は絶句していた。
文字通りあんぐりと口を開き、僕の顔を凝視している。
「これが僕の素顔なんだ」
「・・・気持ち悪い」
ああ、またか。
やっぱり君もあいつ等と同じだったのか。
容易に彼女の視界は想像できた。
筋肉の筋を剥き出しにしてこっちに話しかけている化け物。
きっと今はそういう風にしか見えてないだろう。
「じゃあ君も同じになれば気持ち悪くないよね」
そう言うと僕は左手で彼女の首を絞め、右手で彼女の顔の肉をつまむ。
爪が力強く食い込み、血が出た。
本人は必死でもがき、何か喋ろうとしている。
段々顔が赤くなってゆく。
力が無くなってゆくのを感じた後、僕は力を込めて右腕を引いた。
「またやっちゃった」
彼女の顔は僕と同じになっていた。
白い肌も、黒い髪も無い。
唯一つ違うとしたら、彼女の首が真後ろを向いている事だけ。
流石に死体を放置しておいてはまずい。
僕は溜息を一つ吐くと、彼女の死体を抱えた。
「また山に埋めてこないと」
また明日から一人だが、まぁ大丈夫だろう。
いつか僕を受け入れてくれる運命の人を、あのカフェテリアで待ち続けよう。




