29話 人生
「あ・・・当たった!」
2億円の宝くじが当たったのだ。
先々月は前から入りたかった大手の会社に採用され、
先月は好きだった女性に告白された。
もはや俺自身にとっては人生のピークと言ってもいいんじゃないだろうか
「もう死んでも良い位嬉しい!」
換金した帰り道、岐路の途中で呟く。
自分はまるで世界一の幸福者のような気分だった。
「なら死ね」
急に角から薄汚いホームレスが現れ、ナイフで刺された。
当たった場所が悪かったのか、激しい痛みに加えて意識がぼんやりとしてきた。
俺の懐から宝くじを盗み、歓喜しているホームレスを呪いながら俺は死んだ。
「やったああ」
俺は人生でツイてない事ばかりを経験し、ホームレスになった。
自暴自棄になって適当な奴をぶっ殺して金を盗ろうと思い、実行に移したが一人めで2億円の宝くじを当てた奴を殺せるなんて・・・
「俺はツイている」
俺はそう確信した。
この2億で夢のような生活を送ってやる。
女を買って旨いもんをたらふく食べ、毎日遊んで暮らしてやる。
そう思いながら道の曲がり角を曲がると、目の前に車が迫ってきていた。
「え」
デカイクラクションを聞きながら、俺の体は宙を舞った。




