27話 夢
俺は今電車に乗って教室と教室を移動している。
この学校の教室はそんなに広くないくせに、隣の教室と100万kmも離れてやがる。
だから移動教室の際は530時間くらいかかってしまう。
偶に光線銃を持った鶏や、眼鏡で殴ってくる武装集団も乗り込んでくる時もあり、その際は移動に29年程かかってしまう。
29年って言えば1日の10/9だぞ?こちとら暇じゃないんだからもっとこの電車は改善されても良いと思うんだがな。ハハッ。
・・・なんだか心地よくなってきたな。
まゆで夢を見ているような気分だ。
・・・あれ?夢ってなんだっけ?
「…!?」
俺は突然、目を覚ました。
俺が今寝ていたベッドの周りには白いカーテン?のような仕切りがある。
ああ、此処は保健室だったな。
段々と記憶が鮮明に思い起こされてゆく。
その時、仕切りを掻き分けて白衣を着た男性が入ってきた。
「ああ、おはよう。もうそろそろで3現目の授業が終わるぞ」
えっと・・・この人は保険医の○○先生だな。
「気分はどうだ?良くなったか?」
「はい、一応は」
「そうか、最近は暑いからな。体調管理に気をつけろよ」
「はい。ありがとうございました」
軽くお礼を言い、保健室から退室して自分のクラスへと戻った。
「保健室で変な夢を見たんだ」
昼休み、数人の友人と集まって弁当を食べているとき、俺は不意に夢の事を思い出した。
「ほう、どんな夢だ?」
「まぁ兎に角あり得ない世界でよ!」
「宝くじに当たりまくったとかか!?」
「いや、こいつのことだから女に囲まれてた夢だろうぜ」
話を盗み聞きした友人達が面白がってからかってくる。
「そんなんじゃねーよ!なんていうか、兎に角メチャクチャだったんだけど、そこでは割と普段どおりに過ごしていた・・・っていうかさ」
「へぇ、だったら・・・」
「今みたいなまともな世界も夢だった・・・なんてこともありえるね」
「おいよせよ!そんなの縁起でもないだろ!」
あれ?俺はなんでこんなにムキになってるんだ?
まるで何かを否定しているような・・・
「・・・!!」
俺は布団から飛び起きた。
周りにはあふれかえっているゴミの山と、申し訳無さそうに稼動している扇風機しか無かった。
ぼんやりした頭にどんどん思い起こされてゆく出来事。
思い返せば俺にはあんなに友人は居なかった。
中学でいじめられ、人と関わるのが怖くなって部屋に引きこもり、
動画で見たようなカッコいい男になることを夢見て逃げるように都会へ来て、
夢半ばに倒れて中途半端に生きている。それが俺なんじゃないか。
「いや・・・違う」
湧き出てくる記憶を無理矢理忘れようとする。
「これは夢だ。俺はタチの悪い夢を見ているだけだ」
必死で自分に言い聞かせ、再び布団へ潜り込む。
「俺にはもっと輝かしい未来がある筈なんだ・・・」
男の独り言を聞く者は誰も居なかった。




