25話 不運
その日、とある男子生徒は機嫌が悪かった。
朝、セットしたはずの目覚ましが鳴らずに学校に遅刻し、弁当を家に忘れて購買でわざわざ昼食を買い、放課後の今は口喧しい教師に捕まってやれ成績がどうたら授業態度がこうたら言われている。
兎に角、男子生徒は朝から不運だった。
教師の説教を真面目に聞くフリをしながら男子生徒は内心で早く終わらないかとソワソワしていた。
「おい○○!真面目に聞いているのか!」
突然に飛んでくる怒鳴り声。
生物の本能からか一瞬ビクッとしたが、次第に苛立ちへと変わっていった。
朝から積もった不運が爆発した。
「うるせえ」
男子生徒はそういうと教師を殴った。
咄嗟の出来事に対応しきれず、教師はそのまま背中から倒れた。
そこに馬乗りになって教師を殴る。
殴る。
何か教師が言っているが、男子生徒は変わらず殴り続けた。
今まで積もり積もっていたストレスが消えてゆく清清しさを感じる。
周りが少し煩くなってきた。
しかし、男子生徒は構わず殴り続ける。
殴る。
教師の顔面は歪み、原型をほぼ留めていない。
虫の息だった。
あと一発殴ればぶっ殺せる。
そう思って振りかぶった。
「やめろ!」
そこで男子生徒は沢山の教師に取り押さえられた。
『○○君はどんな子だったんですか?』
「そうですねぇ、真面目に授業を受けてる良い子でした」
『そうですか、ありがとうございます』
『このように、教師に暴行を加えた○○君は今日、少年院へと送還されるそうです』
『普段比較的大人しい子がこのように暴力を振るうケースは多々考えられますが、専門家のみなさんはどう思いますか?』
『いやー、やっぱりこういう普段大人しく振舞う子に限って中では腹黒い事考えてる傾向にあるんだよねー。で、多分この子は好奇心が勝ってやっちゃった?みたいな?本人は今頃少年院で新しく出来た友達と「暴力振るってやったぜ」みたいなことを言い合ってるんじゃないかな?もちろんこれも傾向だよ傾向。うん』
『なるほどー、やはり最近の若者には思慮が浅いというか、悪い事を悪い事と考えてませんよねー』
『そうそう、我々みたいな先人を敬う気持ちってのが足りてないんだよ。傾向から見ても明らか。ワッハッハッハ』
---プツン




