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15話 境界線

・・・・・・ピリリリリ


軽い頭痛がする。


距離は5cmほどか?なら大丈夫だ。


まだボーダーは越えていない。まだ近づけられる筈だ。


・・・・・・ピリリリリリリリ


心臓が少しずつ、鼓動が早くなっていくのを感じる。


それに目の奥がヒリヒリと痛くなってきた。


距離はおよそ3cmか?


此処がボーダーなのかもしれない。こんな事はもう止めてしまおう。


いやでも、前はもう少し行けた気がするぞ。


大丈夫、まだ近づけられる。


・・・・・・ピリリリリリリリリリリリ


警告音が頭の中で鳴り響く。


睫毛に触れて、少しくすぐったい。


距離は1cmほどか?まだ行けるのか?


いや無理だろ。もう1cmを切りかけているんだ。


いやでもまだいけそうだぞそれに多少当たったってすぐ失明するわけじゃないし大丈夫だもうちょい行ける此処はボーダーじゃないぞボーダーは越えてないぞでも越えたい越えてみたいいや止めろ越えるなでもいけるぞああああああああああ


・・・・・・ピリリリリリリリリリリリリリリリ


煩い。


もう少しで目に当たりそうああこんな事するんじゃなかったいいのか失明するぞいやでもそれも楽しそうだなによりも目に突っ込みたいぞぐちゃぐちゃかき混ぜて痛い痛そうでも面白そうだ面白いんだおもしろいボーダーを越えたい越えれるもう眼球と触れそう触れろ触れろふれろおおおおおおおお


「先生!鈴木先生!」


背後から聞こえる生徒の呼びかけで、私はハッと我に返った。


私は右手に持っていたボールペンを自分の机の上に置き、振り返る。


「どうした?」


「数学の問題で解らないところがあったので、質問しにきました」


そうかと私は言い、生徒が持ってきた問題集を見てアドバイスをする。


この生徒のおかげで、今日も越える事は出来なかったという喜びと、悔しさの念を入り混ぜながら。

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