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私の“使い魔”さま  作者: 夢見の筆
9/12

魔器の力

疾風のごとく凄まじい速度で迫りくるケイオスの初撃を、男は両手に持ったサーベルをありえないくらいの素早さで振るう。

続けざまに放ったケイオスの追撃も、男はさながら嵐のように、がむしゃらに迎え撃つ。

ケイオスは男との間合いを一定に保ちながら打ち合いを続け、相手が所有している魔器を見定める…


「身体能力の強化と精神異常か…やれやれ…インフィニティ・アーツの所有者が相手とはな…」


ケイオスが所有していた魔器の一つ…インフィニティ・アーツ。

無限に動くもの、という名に相応しく、かの魔器の所有者は超人的な身体能力…音速を超えたスピードでの動きや、鋼鉄をも打ち破る怪力、遥か彼方まで見聞きできる視力や聴力…そういったものを身につけることができる。

しかし、魔器にせよ、アーティファクトにせよ、装具に宿る力を解放するには、魔力が必要となる。

今回、インフィニティ・アーツはスラム街の一中年男性から魔力を得て、その力を発揮している。

特に何の魔術鍛練の経験も無いようなこの男性の魔力量を考えれば、魔器の力を発現し続けているだけで魔力を永続的に吸い上げられ、その魔力が尽き果てるまでにはあまり長い日数はかからない。

ただ、魔力の全てを奪われたとしても、魂が枯れ果てるまで魔器に魔力を吸い上げられてしまうため、命果てる時まで意識を持たない殺人鬼としてさまようことになる。


「このオッサン…あまり長くは持たないだろうが…ここで仕留めておかないと、どこで何するか分からないからな…」


ケイオスは再び剣を構え直し、男と向かい合う。

尋常ではない殺気は、ある意味、この男の生への執着…死にたくないという、無意識での暴走なのかもしれない。


「抵抗しないでくれれば、すぐ楽にしてやるんだがな…行くぞ…!」


再度ケイオスが男に切り込んでいく。

下段からの振り抜きを思わせるケイオスの構えに対し、男は受け流すことも考えずに、上段からただ首を狙って剛速の一撃を放つ。

傍から見れば男の狙い方は荒く、構えも何もない胴ががら空きの状態…

ある程度武術の心得がある者なら、迷わず胴を狙うところだが、ケイオスは無防備な男の胴に切り掛かることはせず、横っ飛びに男の狙いから逃れる。


「おおおぉっ!!」


地を震わせるような咆哮を上げながら、男の持つサーベルは目にも留まらぬ速さで、風切り音を響かせながらケイオスの首がほんの数秒前まであった空間を切り裂く。

もし、ここで男の胴を狙って懐に切り込んで行っていれば、今頃ケイオスの頭と体は、離れ離れになっていただろう。


「魔器による高速化…治安部隊がやられたのは、おそらくこいつが原因だろうが…」


ケイオスは男の斜め横に飛び退いた反動を利用し、そのまま男の後ろに回り込んでいた。


「俺に挑むなら、もっと剣の腕を上げることだな…!」


男がケイオスに気づいて振り向くより早く、ケイオスの振り抜いた剣閃は男の両足を水平に断ち切っていた…


「ぐおおっ!!」


魔器インフィニティ・アーツは足に着ける装具…

両足を切断された男は魔器の力から解放され、地面に倒れ伏せると、静かに息を引き取った。


「悪く思わないでくれよ…オッサン…」


ケイオスは魔器に手を伸ばし…インフィニティ・アーツを回収した…

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