沈みゆく日に
世界の終わりは、ある日突然。
明日、世界が終わるなら何をしようか。
ありきたりで、面白くもない質問だ。世界が終わったって、私は私のまま変わらないし。
里奈は、雑誌の質問コーナーを眺めて、そんな感想を持った。
里奈が思うよりも、世界の終わりは、身近にあった様だった。里奈の会社が不祥事により倒産したのだ。
世界が終わったら、明日の生活について考えなくていいかな。
里奈には、頼れる家族も行くあても無い。部屋でボーっとしながら、やる気の無さを責めて、世界の終わりを妄想する日々。
死のうとした…訳ではないが、しつこく生きていのが現状の日々。
人間は、終わりを見たくない性なのに、こういう時だけは、終わりを切望する。本当に嫌になる。
何も考えたくなくて、ベッドに潜り込んだ。
………
「…と言う事で、今週末に世界が終わります」
明日の天気を告げる様に、世界の終わりを伝えられた。なんでも、観測に引っ掛からなかった星が、凄いスピードで地球に向かっていて、今週末にぶつかるらしい。
里奈の頭は、すぐに結論を出した。
これは夢だ。それか、追い詰められたが故の妄想だ。
日は沈んでいて、良い子は寝る時間だ。取り敢えず、もう一度寝ようとベッドに入った。
そういえば、何で周りは静かなんだろう。いつもは五月蝿いサイレンも子供の声も聞こえない。
少年と少女が、学校の屋上でこんな話をしていた。
「世界の終わりを予想出来た人は居るのか」
「居るでしょ」
「何でそう思う」
「あのねぇ…世界にはたくさんの人がいるの。一人くらい、願いが叶ってても良いでしょ」
「そういうものか」
「そうなの。大多数が望まなくても、一人も望んでない結末なんてないわ」