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終焉の魔女  作者: 芥文学
2/7

不吉な記憶

 とある寮の一室に、警報音が鳴り響く。


 「何があったのッ!?」


 ただ事ではない事態に、慌てた寮母のテゴーが、勢いよく部屋の扉を開けた。


 「エマちゃん!大丈夫?!」


 しかし、部屋は何事もなく、代わりにベッドの上で爆睡する見目麗しい少女がいた。


 「エマちゃん...?」

 「ん〜?あ、大丈夫...これ目覚ましだから...」


 警報音の正体は、エマと言う少女の目覚ましだった。


 「この警報器は、何処で手に入れたの?」

 「あーこれは...学校の旧校舎に使われてない警報器があったから貰って来たんだ。」


 平然と答える様子からして、本人は、悪い事をしているとは本気で思っていない様子だった。


 「エマちゃん、あの警報器は今日中に元の場所に返して来てね。じゃないと、また先生方に怒られてしまうわよ?」

 「えっ?せっかく見つけたのに...?」


 エマの問い掛けに、テゴーは頷いた。

 

 「はあ...分かったよ...。どうせ、あれじゃ起きれなかったし、他に使いたい人がいるかも知れないから返してくるよ。」

 「う〜ん、警報器を目覚まし代わりにするのは、エマちゃんだけだと思うわよ。」


 寮母のテゴーは、エマが赤ん坊の時からお世話をしている為、エマの馬鹿さは重々承知していたが、流石に警報器を目覚まし代わりにするとまでは思っていなかったらしく、苦笑いしていた。


 その後、朝食と学校の支度を済ませたエマは、部屋に立て掛けてある箒を手に取って玄関へ向かった。


 「エマちゃん!忘れてるわよ(汗)」


 外へ出ようとした時、エマの弁当を持ったテゴーが、慌てて呼び止めた。


 「あ、本当だ!危なかった〜(汗)テゴーさん、ありがとう。」


 エマは、テゴーから弁当を受け取ると、玄関のドアを開けた。


 「ごめん〜お待たせ〜!」

 「も〜う...遅いよ。待ち合わせ時間とっくに過ぎてるんだからね。」

 

 ぶつぶつと小言を言いながらも、エマを律儀に待っていたのは、友人のアルバ・ニコルだ。


 「ごめん、ごめん...明日は間に合うようにするから許して。」

 「信用できると思う?これで何百回目だと思ってるの?」


 エマは遅刻の常習犯だった。


 「ところで、その手に持ってる物は何なの?」 


 エマが待っているものに気付いたアルバは、その物を指差して質問した。


 「警報器だよ。」

 「なんだ〜ただの警報器か...ってなるか!!何処から盗んで来たの?」

 

 アルバが質問すると、エマは満面の笑みで答えた。


 「旧校舎だよ。」

 「いや、何で警報器を盗むのよ...警報以外に使い道ないでしょ。」

 「いや、目覚まし時計の代わりになると思ったんだけど、意外と音が小さくて...アルバも使ってみる?」

 「使わないわよ!早く返して来なさい。」


 エマの底知れない馬鹿さに、アルバは恐怖を感じた。


 「まぁ、それは置いといて...ちゃんと受験勉強してるの?あんたは馬鹿なんだから、凡人の何千倍も勉強しないと、第一希望のクレプスクロ魔術学園には受からないわよ。」


 エマが住む国では、魔術を使った職業に就く場合、魔術師の資格が必要であり、魔術学園は、そんな魔術師としての知識と技術を身に付ける為の場所だ。


 エマの国にも幾つか存在しているが、そんな数ある魔術学園の中で、代々優秀な魔術師を輩出して来たのが、超名門校と呼ばれるクレプスクロ魔術学園だった。


 「当たり前だよ。昨日は掛け算を覚えたんだから。」

 「あんた、本当に受かる気ある?魔術ばかり練習しても、試験は実技だけじゃなくて筆記もあるのよ?」

 「筆記が駄目なら、実技で取れば良いんだよ。」

 「想像以上の馬鹿ね...実技で満点を取ろうと、筆記が0点なら不合格よ。」


 初めて聞かされた事実に、エマはその場で落胆した。


 「エマ...大丈夫よ。まだ試験まで時間はあるし、これから勉強すれば、間に合うかも知れないでしょ?それに、私もついてるんだし、分からない問題があれば教えるわ。」 

 「アルバ...ありがとう!なら、この割り算の公式教えて。」 


 アルバはため息を吐くと、思い切りエマの頭を殴った。


 「痛いッ!アルバ酷いよ〜(泣)教えるって言ってくれたじゃん。」

 「あんたには教える事があり過ぎるのよ...!」


 アルバは、エマに勉強を教えると言ってしまった事を強く後悔した。


 その後、2人は旧校舎の警報器を返し、急ぎ足で教室へ向かった。


 「はぁ...あんたのせいで、危うく遅刻しかけたんだからね。」

 「え〜?でも、旧校舎まで着いて来たのはアルバでしょ?」

 「はぁ〜?!大体は、あんたが警報器なんて盗まなきゃ良かった話でしょ!」 


 二人の喧嘩はヒートアップし、胸ぐらの掴み合いになった。

 

 「責任を押し付けないでくれる...?ついて来てなんて頼んでないよね。」

 「そもそも、あんたが寝坊しなきゃ良いだけの話し...」

 「キャァァー!!」


 しかし、突然廊下から聞こえて来た叫び声によって、二人の喧嘩は中断された。


 「...何かしら?」

 

 慌てて様子を確かめに行った二人は、目の前の光景に驚愕した。


 「何これ...」


 叫び声が聞こえた廊下には、恐ろしい量の呪文が、床や壁、天井にまで刻まれていたのだ。


 「この文字、よく見たら彫られてるわ...」

 「それだけじゃない...これは死の呪文だよ。」

 「闇呪術ね...」


 この世には、魔術の他に(まじな)いと呼ばれる力が存在した。呪いは、魔術には属さないが、その正体は魔力が源になっている。周りに及ぼす影響はかなり大きく、呪いをかけた本人にしか解けないと言う暗黒のルールが存在する為、禁忌とされていた。

 中でも、闇呪術は最も危険視されており、命を脅かす危険が高い。

 

 そこで、エマが重要な事を思い出した。


 「さっきの叫び声は...?」

 

 二人が廊下へ駆けつけた時には、既に誰もいなかった。 


 「そう言えば...今日はやけに静かね。」

 

 奇妙な程に静かな校舎は、まるで別の世界に迷い込んだような感覚にさせた。

内容に矛盾があったので、変更しましたm(__)m

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