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終焉の魔女  作者: 芥文学
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黄昏の魔女

 辺りが静まり返り、淡い月明かりが際立つ真夜中、ある建物の一室に蝋燭(ろうそく)の灯りがついていた。


 その部屋には、黒フードを被った人物が揺り椅子に座っており、古い書を黙々と読んでいる。


 コンッコンッ...


 するとそこへ、もう一人の人物が部屋に入って来た。


 「受験生の名簿をお持ちしました。」

 「ありがとう。」


 そう言って名簿を渡す人物の首には、鈴の首輪がつけられていた。


 「今年は、どんな子が試験に合格するのか楽しみね。貴方もそう思わない?」


 黒フードの人物は、名簿を受け取ると、鈴の人物に問い掛けた。


 「そうでしょうか...この3年間、魔術師と呼べるような優秀な生徒は、未だ出ておりません。」

 「今年は特別よ。何せ、黄昏(たそがれ)の魔女の魔力を受け継いだ者が、16歳になるんだから。」


  鈴をつけた人物は、首を傾げた。


 「黄昏の魔術師が誕生するのは不定期です。それに、誰が魔術師なのかも分かりません。何故、黄昏の魔術師が16歳だと断言されるのですか?」

 「貴方や他の人には分からなくても、私には分かるの。」


 黄昏の魔女...それは、古くから伝わる伝説の魔女の事であり、この大陸の繁栄に大きく貢献した人物だった。


 沈黙が続いた後、鈴をつけた人物が質問した。


 「ずっと気になっていたのですが、黄昏の魔術師の能力は、遺伝なのでしょうか?」

 「いいえ、能力は遺伝しないわ。誰に与えられるかは、本人とその親だけしか知らないでしょうね。」

 

 黒フードの人物はそう言うと、受け取った名簿を火炙りにした。


 「何故...」

 「残念だけど、この名簿の中に黄昏の魔術師はいない...学園同士の存続争いの渦中、何としてでも、この学園に黄昏の魔術師を入学させるのよ。」


 眠りについた街を、淡い月明かりが照らす。


 その月明かりは、夜闇を彷徨う者を優しく照らしているのか、はたまた、眠った者を起こそうとしているのか...それは、偉大な功績を残した黄昏の魔女にすら、知る事は不可能だった。

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