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異世界転生桃太郎 オレに侯爵令嬢なんて無理だから婚約破棄上等! それより鬼退治だ!  作者: 柊遊馬


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第90話、桃太郎、ダンジョン踏破中


 カブトムシとクワガタの化け物を撃退した。1階層から出てくるタイプじゃないと思うの前世のゲームとかマンガの影響だな。


 スライムとか、ゴブリンとか、そういうのを連想してしまったのがよくないんだろう。……そういうのも出てくるって、盗賊町のギルドでは聞いたんだけどな。


 と思っていたら、狼系のモンスターが出現!


「イッヌのお仲間かしら?」

「カグヤ、そういう冗談は、イッヌが傷つくからやめなー」


 明らかにフェンリルより格下の魔獣なんだからさ。というか、フェンリルのお仲間って、フェンリルってことで、そんな化け物級なのが1階層からゴロゴロしていたら、ダンジョン突破なんて先が思いやられるってもんだ。


 オレもだけど、イッヌも遠慮なくウルフタイプを蹴散らした。順当。どこか、こんな雑魚と一緒にするなって言っているようだった。

 太郎が首をかしげた。


「このダンジョンのモンスターって、ああいうものなのかな?」

「というと?」

「色んなモンスターがいるって話は知っているけど、こういう塔型のダンジョンって生態系どうなっているのかなって」


 ああ、天然型ダンジョンだと、普通に野生生物がいるのと変わらないもんな。ちょー、と凶暴な連中が多いってだけでさ。

 だがここは違う。


「こういう人工型ダンジョンの生態系なんて、気にしても無駄だぞ。ダンジョンのモンスターは、ガーディアンって扱いだから、別の種族だからって争ったりしないって話だ。オレたちみたいな侵入者を攻撃してくるってのは共通しているがな」


 だから時々、別種類のモンスターなのに連携したりしてくる。幻想塔ダンジョンじゃ、よくあることらしい。

 オレたちは1階層の魔法陣のある部屋にきた。石造りのよくある部屋だが、床に大きな魔法陣が描かれている。二十人くらい、余裕で入れそう。


「モンスターの気配は……なさそうですね」


 お鶴さんが、罠や敵などがないかキョロキョロと見回す。魔法陣部屋にトラップは普通はないもんだが、あるとしたら、やっぱ盗賊冒険者たちがするんだろうな。もう片付けてしまったけど。


「これ、どうやって使うの?」


 太郎が聞けば、カグヤが言った。


「その魔法陣の中に立って、階層を言えば、中にいた人全員が転移するって仕掛けよ。……だったわよね?」


 ギルドで一緒に聞いていたはずの彼女が、オレに確認してきた。そうそう。音声対応っていう、魔法に詳しくなくても、字が読めなくても使えるお優しい魔法陣だ。


「44階って言ったら、直通できねえかな?」

「それで行ければ、わざわざ41階の魔法陣から行け、なんて言われないでしょ?」


 カグヤにやんわり言われる。へいへい。


「それじゃ、行きますよってな。――サル、乗ったな?」


 イッヌと太郎は、オレのそばにいて魔法陣の上だ。全員入るのは余裕だけど、置いてけぼりはよろしくないからな。


「よーし、じゃあ行くぜ。44階!」


 しーん、と静まり返る。魔法陣は、ウンともスンとも言わない。お鶴さんやカグヤが、白けたような目を向けてくる。


「桃ちゃん?」

「わかってるよ。でも、ギルドの情報が間違っていて、もしかしたら44階へ跳べるかもしれないじゃん。……わーったから、そんな目すんな」


 41階! 改めて言えば、魔法陣が発光して、白い光が部屋中を包み込んだ。



  ・  ・  ・



「まぶし……っ。と、着いたか?」


 魔法陣の光は消えたけど、さっきと部屋と内装があまり変わってないんだが。お鶴さんが、入り口の上を指さした。


「たぶん、着いたと思いますよ。ほら、入り口のところ、書いてありますよ」


 41、ってか。先に入った冒険者たちがダンジョンを開拓しながら残していったんだろうな。


 盗賊町ができるまでは、そういう冒険者たちがダンジョンに挑戦し、時に名誉と財を得て、時に命を落としたんだろうな……。


「ほら、桃ちゃん、ぼうっとしてないで。行くわよ」


 カグヤが、さっさと先に行こうとする。つか、オレが突っ立てるだけなんだけどな。


「カグヤさんよ、もう少し情緒ってもんがさ、なくね?」

「あいにくと、ダンジョンに思いを馳せる感情は持ち合わせていないのよ、私は」

「どうだかなぁ。……おい、太郎。今の覚えておけ。どこかのダンジョン探索中に、カグヤが思いを馳せてたら言ってやれ」


 うん、と太郎は頷いた。そういうのはいいから、とたしなめるカグヤ。

 それはそれとして、41階層、行ってみよう。


「と、遺跡の中っぽい内装だな」


 例によって例のごとく、床や壁などは石材でできていて、遺跡感マシマシ。ただ、1階が如何にも屋内って雰囲気だったが、41階層は広くて、遺跡なんだけど、洞窟感があった。

 確かに、1階とは別ものだな。


「これのどの辺りが幻想なのかしら?」


 カグヤが鼻をならした。

 それな。これじゃただの遺跡型ダンジョン。現実から離れた実感はまるでない。


「どこかの階は、ちゃんと幻想してるのかな?」


 道なりに進む。下っているな……。カグヤが口を開いた。


「こっちの道であってる?」

「他に道があったか?」


 魔法陣の部屋からメインのルートに出るまでは一本道。で地図によると、合流した右手の方へ行けば、次の42階層へ移動する魔法陣がある。

 なおこの魔法陣は、41階層と42階層の間しか使えないやつ。


「本当、下ってばっかね」

「そういう階なんだろう」


 そこでイッヌが何かを嗅ぎ取った。ダンジョンモンスターのお出ましか!

 オレは銀丸を構える。正面を注視していると、暗がりの中、複数の何かが動いているのが見えた。そして、どんでもない死臭が漂ってきた。


「ゾンビか。それとも食人鬼(グール)か?」


 どっちにしても敵だけどな。こいつらは人を腐らせるヤバいものを持ってるから、あまり近接戦はしたくないのよね。


「イッヌ、汚染は消毒だー!」


 フェンリルのファイアブレス。その業火は、死肉さえ炭に変える!

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