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異世界転生桃太郎 オレに侯爵令嬢なんて無理だから婚約破棄上等! それより鬼退治だ!  作者: 柊遊馬


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第51話、桃太郎、ドワーフに呆れる


 女にだらしないとは聞いていたが、ドワーフってのはとんだスケベェどもだ。

 ドワーフの作る武具は、天下一品って前評判だから、武器や防具屋を除いてみたが、まあ店主ドワーフが揃いも揃ってセクハラかましてくるでやんの。


『商品触らせてもいいけど、胸揉んでいい?』


 はっ倒すぞ、てめぇ! まあ、これはまだ序の口。


『お目が高い。この剣はミスリル製の上物だ。本当なら白金貨ウン十枚相当なんだけど……一晩、ヤらせてくれたら、タダであげちゃうよ。どう?』


 冗談じゃねえ!――と、普通なら突っぱねるところなんだけど、ここへ来る客層、つまり上物武器が欲しい層となると話が変わってくる。


 ドワーフが作る超一流武具が、一晩エロドワーフとエッチぃことするだけで、タダで貰えるというのだ。数年節約して超稼いでようやく買える代物を、たった一夜肉体を重ねるだけで。


 あれだな。一晩ヤらせてくれたら、数億のダイヤモンドをあげるよ、って言われるようなもんだ。

 オレはお断りだけど、金欲しさに体を売るような奴なら、まあ寝るんだろうなぁ……。


 ドワーフってのは、女の物欲をよくご存じということだ。

 そういや、北欧神話のとある女神がドワーフの作った黄金の首飾りがどうしても欲しくて、売ってくれと頼んだら、作ったドワーフ四人組は、一人一晩、抱かせてくれたらあげるという条件を出した。んで、その女神はドワーフたちとエッチぃことをして、首飾りを手に入れましたとさ……おしまい。


 結局、買い物はしなかったんだけど、所々で聞こえる女の喘ぎ声の正体がわかって、ゲンナリした。


 お盛んなことで。まあ、個人の都合があるだろうから、一概に悪いとは言えないけどさ。自分で選んだんなら、文句は言わねえ。


「――まあ、ここはそういうところなんだ。普段は勤勉で働き者なんだけどね」


 立ち寄った旅人用の酒場で、ドワーフのマスターは言った。


「ちなみにドワーフの酒は強烈だ。人間の酒豪でも火を噴いて失神しちまうレベルさ。それでも美味いなんだけどね。……どうだろうか? 人間でも飲める特上があるんだが……その立派なお胸をお触りさせてくれたら、タダで奢るよ?」

「お前もかっ!」


 とまあ、ドワーフなんて、どいつもこいつも似たような感じだ。周りは周りで、セクハラなんて当たり前。ガハハと大笑いしてやがる。


 ちなみにヘタに勝負事を挑むと、ドワーフたちは徒党を組んであたり、それで相手、とくに女を負かすとお持ち帰りするんだそうだ。


 カグヤからは、『お願いだから、いつぞやのように腕倒しなんてやらないで。街中のドワーフと勝負させられて、どこかで負けるから』などと言われた。そんでヤられるって、普通にアウトだろ! 会話できるだけマシだが、ゴブリンと変わんねえじゃねーか! ……っと、これは禁句だったな。


 背は低く、女のオレから見ても小さいが、横幅はあって、腕は丸太のように太い。マッスルマン……。あれで腕倒しは、確かにやる気なくなるわ。


 さてさて、大変子供の教育によろしくない場所ってのがわかったところで、ダンジョン『ドヴェルグの宝物殿』を目指そう。


 鍛冶をしているドワーフは、まさに職人って顔で一心不乱に取り組んでいるから、エロいのは商売やってるドワーフだけなんじゃないかと思ってしまう。落差が激しいんだよな。



  ・  ・  ・



 ドワーフ集落をさらに下、つまり地下渓谷の底へと下りていく。うわー、暗い。


 早速お鶴さんが魔石ランタンを出して、周囲を照らす。そしてサルもその目がライトになっているらしく前方を照らした。


「うへぇ、高ぇなぁ」


 見上げると、上にあるドワーフ集落が小さく見える。前世のグランドキャニオンみたい。スケールデカすぎてバグるが、上から下へ行くまで結構時間がかかるの。


 ようやく谷底へ到着し、傾斜に沿って下りていく。もぞもぞ、と気味の悪いワームが這い出してきた。


「さっそくのお出ましか……!」


 銀丸、抜剣! 敵は複数!


「サル、中間、頼むぞ! 太郎、お前は戦場をよく見ておけ。可能ならオレらの邪魔をしないように援護。――イッヌ、行くぞ!」


 オレとイッヌは先陣を切る。カグヤとお鶴さんには指示は出さない。今回のような雑魚レベルなら、各自好きなように動いてもらって構わない。前衛の裏に敵が回っても、サルという番人がいるからな。


 巨大ミミズ、ミミズの化け物のようなモンスター、それがワームだ。こいつは土や岩を抉り、地中を進む。でかい口には無数の牙のような歯。個体によっては酸を飛ばしてくる。なお見た目、ヌルヌルのブヨブヨだ。


 力が足りないと、刃物でも両断するのは難儀なのだが、オレの大力と組み合わせた技で、ズバッと真っ二つよ!


 イッヌも爪の一撃で、ワームを仕留める。悪食のイッヌさんも、ミミズは好き嫌いか?


 普通なら苦戦するようなモンスターだが、オレとイッヌには余裕だったな。久しぶりにダンジョンにやってきたエサとばかりに姿を現したのだろうが、相手が悪かったな。


 おら、ドンドン行くぜ!


 そんなこんなで、三回ほどワーム集団と交戦、撃退したのち、オレたちは巨大な壁に突き当たった。


「……これが、ドヴェルグの宝物殿?」

「その入り口よ。……たぶんね」


 壁には、大昔に彫られたと思われる紋様が描かれていた。自然の代物ではない。誰かが作ったのは一目瞭然だ。


「で、どこから入るんだ?」

「それがわかれば、誰も苦労してないわよ」

「だろうな」


 何せ入り口すら見つかってない、だったか? ……おや。


「これ、入り口じゃないのか?」

「まさか、壁? でも出ているのはここだけなのよね」


 カグヤが腕を組んだ。


「聞いた話だと、ドワーフたちもこの辺りを掘って、宝物殿の全体を露わにしようとしたようだけど――」

「ドワーフが露わとか、卑猥」

「冗談はやめて。……で、周りの岩、ここ以外は撤去できなかったそうよ。そこらの岩も何か特別なもので、現代の技術、ドワーフの力をもってしても剥がせないって」

「そりゃ、大変だなあ」


 俺は、サルを見た。


「どうだ、お前のストーンハンマーで、この壁ぶち壊してみっか?」

「桃ちゃん、それが通じるなら、もう誰かがとっくに開けてるって」


 カグヤは目を細めた。


「神すら驚かせるモノを作り出したとされるドヴェルグ。その技術の粋が込められた場所よ。力業は通用しない。きっと、何か仕掛けがあるのよ」

「じゃ、その仕掛けとやらをまず探すってことだな」


 つっても、その仕掛けもすでに先駆者たちが探したんじゃないの? ま、ここに来たからには、オレたちもやってみないとな。

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