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異世界転生桃太郎 オレに侯爵令嬢なんて無理だから婚約破棄上等! それより鬼退治だ!  作者: 柊遊馬


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第115話、桃太郎、五色の鬼と戦う


 前世の昔話を辿ると、鬼というとその筆頭は赤鬼って印象が強い。こいつは、基本的に人の悪い心、そのものという印象のせいだろう。


 絵本なんかだと赤鬼の次に青鬼を見るパターン。他の色はほとんど見かけないんじゃないだろうか。

 前々世で実際に戦ったことがあるけど、確かに今にして思えば、カラフルだったよな。


 さて、目の前に現れたガキのような鬼たち。前々世の時とそのままそっくりだが、こいつらも転生組か?


「よう、お前ら。そのツラ見るのも実に久しぶりだが、オレのことは覚えているか?」


 試しに問い掛けて、反応を見る。


「おやおや、オレたちと会っているというのかな?」


 赤鬼は、どこまでもふてぶてしい。余裕たっぷりというか、ガキに近い容姿だからまあ生意気なんだ。

 んで、青鬼だろう。


「気安い! 人間如きが我々のことを知っているだとォ! 許せん!」


 こいつは何でこう攻撃的なんだ。赤鬼と比べると青鬼って小物感がするんだよな。


「こんなお胸の大きなおねーさんは見たら覚えてるんだけどなぁ」


 のんきな黄鬼。何気に揉むように手を動かすな。キメェ。


「覚えてねえな。つか、覚えてもらえると思うな、人間のカスが」


 緑鬼は実に辛辣だった。働いたら負けと思ってる奴だから、人間のためにその脳味噌を使いたくないんだろう。


「怪しい……。この女、怪しすぎまずそぉー! 我らを謀ろうとしておるに違いない」


 黒鬼は、終始他人を疑っている。そのくせ、意見は出せど他人が解決してくれるのを待っている卑しさも持っている。疑問があるなら自分で聞け。


「なんだ、わからない? オレのこと。鬼の記憶力って大したことねえなー」


 煽ってみるが、前々世と今世じゃ姿も違うし、見ただけじゃわからないよな。


「オレだよ。桃太郎だよ。鬼ヶ島以来だなぁっ!」


 銀丸を構えて、加速する。鬼たちの顔も豹変した。


「桃太郎!? 桃太郎だとー!」

「殺す! コロス! 桃太郎ころすーっ!」

「ひぇぇ、桃太郎だぁーっ!」

「はあ? なんでお前いるの?」

「桃太郎!? 何で桃太郎がここに!? 嘘をついているのですぞーっ!?」


 カラフル鬼たちの反応は、まあそれぞれ。一番速かったのは青鬼。瞬時に両手に一本ずつの金棒を出して、飛びかかってきた。

 右、そして左の金棒コンビネーション。


「それ前々世で見たわ」


 一撃を掻い潜った時点で、青鬼の首を跳ね飛ばし、浮いたところを左手で掴み、投げつける。


「ひぇぇっ!?」


 黄鬼が、飛んできた青鬼ヘッドをキャッチして悲鳴を上げている。それで遊んでろ。


 青の次は、意外にも怠惰な緑鬼がこちらも二刀流で突っ込んできていた。わかるぜ――


「「面倒くさいから、さっさと終わらせる」」

「――!?」


 オレの緑鬼の言葉が重なり、奴はハッとなった。その隙に、緑鬼を一刀両断。


 鬼は人間より力もスピードも上だが、残念だな緑鬼。お前はもう少し他の鬼並に普段から体を動かすべきだった。基本怠け者だから、頭はともかく体がついていかないのよ。

 んで、たぶん緑鬼の裏に、黒いるだろ?


 ヌンっと黒い影蠢く。ひっかくような爪を躱し、カウンターでその腕を切り落とす!


「黒鬼よ。普段から声がでかくて目立つ奴だが、小賢しいのは相変わらずだな」

「ぐぬっ、桃太郎っ!」

「桃ちゃん!」


 カグヤの声。あいよ、阿吽の呼吸ってやつだ。オレが瞬時に飛び退くと、地獄の業火もかくやの圧倒的熱量が鬼たちに襲いかかった。


「ギャッ!?」


 黒鬼がその影もろとも炎に包まれ、赤鬼、黄鬼も巻き込む。イッヌのファイアーブレスだ。フェンリルのブレスは、そこらのドラゴンも目じゃない。


「何故ェ、何故ぇ――」


 塵と消える黒鬼。赤と黄は――


「いやはや、これは熱いねぇ」

「焦げた! 焦げたぁ、赤鬼兄ちゃん!」


 とりあえず生きていた。鬼って基本熱いのには耐性があるからな。黒鬼は影成分強めだから、熱というより光にやられたみたいだけど。


「青鬼兄ちゃんの頭が――!」

「甘えんな! やるぞ、黄鬼!」


 赤が動き、青鬼ヘッドを置いた黄色も向かってきた。


「ここで会ったが100年目ェー!」


 赤鬼が狂喜し、あからさまに注意を引かせる。こいつらの戦い方は前々世の通りなら、この隙に――


 ひゅんと、赤鬼が横へ飛んだ。それを目線で追うと、黄鬼の攻撃を見逃すか、先手を許す。


 黄鬼が布――蜘蛛の糸のような粘着性の塊を飛ばしてくる。これに捕まると身動きできなくなる代物だ。


「烈火! 刀身!」


 銀丸に炎を宿し、高熱の剣と化す。普通の剣でやると寿命縮めるからあんまりやりたくないけど。

 黄鬼の拘束布が、熱を持った剣ですっと裂かれ、オレはそのまま黄鬼へと駆ける。


「ひぃえぇぇー! 何でェ!?」

「学習しろよ、馬鹿!」

「赤鬼兄ちゃぁあん!」


 その赤鬼は、カグヤの魔法とイッヌの飛びつきで回避を強いられている。言わずと連携して敵を押さえてくれているあたり、パーティーの完成度が高いな。


「っと、よそ見してる場合じゃねぇ!」


 黄鬼の体が風船の如く膨らみ始める。防御形態になろうってやつだが、そうはいかねえ。


 斬! 黄鬼を両断!


「誰かを頼りにすることばかり考えてるか、判断が遅いんだよ!」


 四体目! 残るは赤鬼のみ!


「よくも……よくもぉぉ!」


 赤鬼の体が肥大、いや巨大化した。ようやく本気モードかい。だがこいつは、ここからが強いんだよな。


「お前は少しは成長しているんだろうな?」


 オレは呼吸を整えて、赤鬼に向けて剣先を向けた。


「せっかく転生したのに、やり直しでチートはないのか? んん?」


 まあ、オレも前々世の頃より新しい何かが目覚めたとかはないんだけど。強いのは前々世からですが、それが何か?

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