表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

私の部屋の扉の隙間から、そっと覗き込んでいるオジサン。

作者: 七瀬








私はどうやら? 事故物件に住んでしまったらしい。

正直忙しくて、不動屋さんに行くなり適当に決めた部屋。

不動屋さんも、私が選んだ部屋が“事故物件”だとは一言も言わなかった。

私は慌ただしく、住み慣れた前の部屋からこの部屋に引っ越しきた。

引っ越し屋さんに全て頼んで、私は仕事の都合で新しい部屋には居ない!

その代わり、私の妹に部屋の鍵を渡して引っ越し屋さんを待ってくれていた。

マンションの近くに引っ越し屋さんの車が止まる。

妹はそれに気づいた。

数分後、【ピーポーン】と部屋のチャイムが鳴る。


『引っ越し屋です!』

『あぁ、どうぞ! 中に入ってください!』

『ありがとうございます!』




引っ越し屋の車から、私の荷物が次々と下ろされていく。

妹はただ、それを見ていただけ。

次から次へと私の荷物が新しい部屋に運ばれていく。

気が付けば、2時間ほどですべての私の荷物が部屋に運ばれた。



『ありがとうございました、これで全部です!』

『お疲れ様です。』



妹は私のかわりに引っ越し屋さんにお礼を言ってくれた。

そして一人で、私の荷物を妹が片付けている時に見たらしいのだ!

私の部屋の扉の隙間から、そっと覗き込んでいるオジサンを!?

妹は思わず叫んでしまったが、次に同じ場所を見ると? オジサン

はもう居なくなっていたらしい。

妹は、仕事で疲れて帰って来た私にそう話してくれた。



『あのね、お姉ちゃん? ここヤバいんじゃないの?』

『えぇ!? どういう事?』

『見たのよ! “幽霊”』

『えぇ!? 見間違いじゃないの?』

『・・・うーん、そうかも、』

『見たんでしょ! 見間違いって?』

『一瞬だったから、もう分からない!』

『じゃあ、疲れてそう見えたんじゃないの?』

『・・・そうかもね!』




妹の話は、最後には笑い話になって終わった。

本当に妹は? “幽霊”を見たのか?

妹は、話すだけ話してサッサと一人で実家に帰ってしまった。

晩ごはんでも、一緒に食べて帰れば良かったのに、、、。

私はそう思いながらも、一人で簡単なご飯を作りお風呂に入って

直ぐに寝た。

疲れていたせいもあって私は直ぐに眠りにつく。

でも? 引っ越してきたこの日。

私は変な時間に目を覚ます。

“誰かに見られているような感覚。”

これは一体何なのか?

私はふと扉の方へ目線をやったら? 確かに扉の隙間から変なオジサン

が私の方をじっと見ていた。

3センチほどしかない隙間から覗き込むように私の方を見ている。

私は金縛りにあって、声が出なかった。

扉の隙間から覗いていたオジサンが少しづつ私に近づいている感じがした。

私は思わず怖くて目を瞑る。

そっと私が目を開けると? もうそのオジサンは居なかった。

あれは、何だったのだろう?






 *





・・・この日を境に、私の部屋の扉の隙間からそっと覗き込んでいる

オジサンは、毎日出てくるようになった。

何かしてくる訳じゃない!ただただ、隙間から覗き込んで私をジッと

見ているだけ。

でも、それが私は怖い!



その事を、不動屋さんに行って聞くと? 私にこの部屋をすすめて

きた男性は? 3日前に交通事故で亡くなったらしい。

しかも? 事故の遭い方がおかしかったと言うのだ。

何の変哲もないところで、男性は亡くなった。

運転手も、勝手にスピードが出てブレーキが利かなかったと言ったらしい。

警察の検証結果は? 車はどこも故障してなかった。

不可思議な事故に、警察もおかしいと思っていたらしいが...。

人を殺した事には間違いないと運転手を捕まえる。





私は同じ不不動屋さんで、違う場所にかえてほしいと言ったが

それは無理だと言われた。

今は、この部屋しか空いてないと、、、。

私は少しノイローゼ気味になりながらも、この部屋で1年も住み続けた。

今でも、ちょくちょく扉の隙間からオジサンが私を見ているが気にしな

いようにしている。

気にしだすとずっと気になるからだ!

オジサンは、私に何もしない事は分かっている。

ただただ、私を見ているだけ。

それなら、気にしないで生活するようにした方が私も楽だと気づく。

慣れとは怖いモノだ!

今では、オジサンが完全に気にならなくなった。

ここに住み続けて3年。

私はもう、この部屋を出る気がなくなってしまった!



最後までお読みいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ