第一章 進路
「ねえ、明子はなんで神経内科にしたの?」
「何となく自分に合ってる気がして。ひとみはなんで精神科選んだの?」
「私も何となく手技が少なそうで、QOLの高そうな科に行きたいと思って。」
二人は笑い合った。2年間の初期研修が終わろうとしている3月の日。天気は穏やかな春の陽気だったが、二人は初めて別々の進路を選んだので心の中は不安と緊張で曇っていた。
「お互い頑張ろうね。」
「そうだね、大変そうだけど、頑張ろう。」
「今日はカラオケでも行こうか!」
「いいね!」
こんな風に気が合う二人は小学校からの親友だった。
ひとみは内気だが優しい性格だった。明子は知的で努力家だった。
「今日は春歌メドレーね!」
「オッケー、何歌おうかな~。」
ひとみには隼人という彼氏がいて、明子には章吾という彼氏がいた。
四人はよく一緒に夜ご飯に行ったりした。
隼人と章吾は同じ外科に入局していた。
「4月からみんな忙しいね。」
「まあ初期研修の時も忙しかったけど。」
「ボチボチ頑張ろう。」
「暇な時があったらまた四人で遊びに行こう。」
こんな感じで仲の良い四人だった。