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第7話 魔法を習得した件

 次の日の朝。



 「知らない天井だ…」



 定番のセリフを言ってみた。人生で一度は言ってみたかったんだよね。



 横を向いてみると雪希が寝ていた。



 いつの間にこっちに来たんだ?まあ、可愛いからいいか…。ていうか今何時だろう…。



 気になって制服のポケットに入れていたスマホで見た。



 「まだ5時なのか…」



 僕は元の世界では夜型だったのでこんなに早く起きたのは久しぶりだ。



 「テツさんはともかくフェルさんもまだ寝ているのかな…」



 まだ寝ていた雪希を起こさないように部屋を出た。



 「あっ、ユキトさんおはようございます!」



 「おはようございます、フェルさん。もう朝ごはんの準備をしてるんですね」



 フェルさんは僕に挨拶をしながらご飯を作っていた。



 「はい!いつもこの時間には準備を始めているんです」



 テツさんはやっぱり寝てるのか。しょうがないか僕たちが寝ている間に帰ってきたんだもんな…。



 そんなことを考えていると玄関の扉が開いた。



 「よう、ユキトちゃんと眠れたか?」



 そう言いながら汗びっしょりのテツさんが入ってきた。



 「あれ?テツさん今帰りですか?」


 

 テツさんは寝ているものだと思っていたので、まだ帰ってなかったのかと思った。



 「なわけねぇだろ。朝の鍛錬を終えたところだ」



 「寝てないんですか?」



 「いや?しっかりと寝たぜ」



 …化け物か。何時間睡眠なんだ?3時間ぐらいか?それで門番もそして鍛錬もしているだなんて…。この世界では当たり前なのか?



 「眠たくないんですか?」



 「おう?しっかり寝たからな」



 テツさんは僕をどうしたんだ?みたいな目で見てきた。まさかフェルさんもか?



 「あ、あの…フェルさんはいつ起きたんですか?」



 「私ですか?え~と、私は空が明るくなる前ぐらいですかね」



 「あっ、そうですか」



 この世界の人は皆ショートスリーパーなのか…。僕には合わない世界だ…。



 だって僕は最低9時間寝ないと生きていけないからだ。時間を無駄にしてるのは分かっているんだけど寝ちゃうんだよね。まあそんなことより…



 「そういえば、昨日すごく汗をかいてしまって体中がベタベタ何ですけど…。お風呂とかってありますか?」



 お風呂は貴族のものってわかっているけど日本人として聞かずにはいられなった。もしあったとしたら入りたいし…。



 「風呂?こんな村にあるわけないだろう?あれはお偉い貴族様しか持ってねえよ」



 「そうですか…」



 やっぱりないのか…。分かっていたけどね…うん。



 「体を拭きたいならフェルに水を出してもらえ、俺は魔法が使えないからな」



 「フェルさん、お願いしてもいいですか?」



 「分かりました」



 そう言ってフェルさんは魔法で水を出した。



 (うわ~、本物の魔法だ!すごい…)



 「では、この水と布を持って着替えてきてください」



 「分かりました」



 寝室にも戻った時、雪希はまだ寝ていた。



 「お~い、起きろ~雪希。朝だぞ~」



 雪希はあくびをしながら起きた。



 「よし、着替えるか…」



 体を拭いて僕は制服に着替えた。そして部屋を出た。



 「朝ご飯出来ましたよ~」



 フェルさんがそう言ったので僕は椅子に座った。



 「これは、美味しそうですね」



 朝ご飯はパンとスープにサラダそして卵のようなものを使った料理だった。



 「そうか?いつも通り普通だけどな」



 「兄さんは黙ってて」



 そう言えばテツさんは食に関心がなかったんだっけ。それにしても仲のいい兄妹だな。



 「仲が良くて羨ましいです」



 僕は1人っ子なので羨ましかった。



 「普通ですよ、ふ・つ・う」



 フェルさんはそう言った。



 「ん?なんか言ったか?」



 テツさんは話を聞いていなかった。



 「いえ、別に…」



 フェルさんは拗ねている様子だった。



 「あ、そ、そういえば、テツさんは魔法が使えないって言ってましたが何でですか?」



 「俺か?俺は魔力量が少ないから魔法が使えないんだ。それに比べ、フェルは魔力量は人より少し多いからな」



 僕の魔力量は大丈夫かな。よしっ!



 「ぼ、僕も魔法が使いたいのですが教えてもらってもいいですか?」



 「いいけどよ、先に食べてからな」



 「はい、分かりました」






★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆



 「では、魔法の練習を始めましょうか」



 「はい!」



 魔法はフェルさんに教えてもらえることになった。


 

 「まずは、ユキトさんがどれくらいの魔力を持っているのか調べてみましょうか」


 

 「それはどうやってですか?」



 魔力量はそう簡単に分かるものなのかな?



 「詳しい量は分からないですが、大体は分かりますから」



 そう言ってフェルさんは僕の手を掴んだ。



 「ふ、フェルさん?どうしたんですか?」



 女の子と手も繋いだ事も無い僕はフェルさんのように綺麗な人に手を掴まれすごく動揺した。



 「これで大体の魔力量を確かめるのですよ」



 「わ、分かりました」



 「…」



 「…」



 なんだ?何をしているんだ?



 「うおっ」



 フェルさんの手から何かが流れてきた。



 (もしかして、これが魔力か?)



 …今のセリフ、どう考えても中二病だよな。でも本当のことだからしょうがない。



 「こ、これは…」



 フェルさんが驚いた様子で僕の方を見た。


 

 「これは驚きました。ユキトさんみたいな人初めてです」



 「えっと、何がです?」



 「あっ、すみませんね。え~とですね、魔力の量ですが私には分かりませんでした」



 「えっ、もしかして魔力ないんですか?僕」


 

 ないのかやっぱり…。違う世界から来たから…。



 「いえ、ユキトさんにも魔力はありますよ、と言いますかあり過ぎるのですよ」



 「へっ?」



 今なんて?



 「ユキトさんの魔力量が多過ぎて私には分からなかったのです」



 「マジですか?」



 「本当です」



 マジか…。もしかして僕はすごいのか?チートなのか?



 「だから私の魔力量よりは多いのは確実なので魔法は使えますよ」



 「よ、良かったです!」 

 


 「この魔力量の確認は量の近い人同士でやると大体分かるので。だからユキトさんの場合は王都に行って魔法道具で調べてもらってくださいね」



 「はい!」



 王都に行けば分かるのか…。なるほど、まずは王都に行かないと何も始まらないか…。



 「では、魔力が十分あったので魔法の練習をしましょうか」



 「お願いします!」






★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆



 「昨日も言った通り魔法を使うにはイメージが大切です、ただ魔法の威力…つまり初級、中級、上級になると詠唱が必要になると聞いたことがあります」



 「私たちのような平民は初級魔法などは使えません。その代わり生活魔法といわれる攻撃力が全くない魔法を使います。これはある程度の魔力を持っていれば誰にでも使えます」



 「初級魔法を使うならどうすればいいんですか?」



 「それはですね、魔法学校に行くか冒険者になって習得するしかありません」



 「ただ、冒険者になっても初級までしか習得できないので上級まで魔法を学びたいというなら魔法学校に行けば習得できます。魔力量次第ですが」


 

 「ただし、魔法学校は貴族の人が通う所なので普通の人は行けませんが、才能のある人は平民でも通えるのでもしかしたらユキトさんは通うことができるかもしれませんね」



 「な、なるほど」



 冒険者に魔法学校…。やっぱりあるのか。どっちも行きたいな…。まあ、戦う才能も魔法の才能もないと駄目だから今は魔法の練習だな。



 「ではまずは水を出してみましょうか」



 フェルさんがそう言ったので僕は水を出そうとした。



 「………あれ?出ないな」



 「ユキトさん、水を出すイメージはできていますか?」



 「あっ、そうでした」



 僕はもう一度やってみた。



 「おっ、水が出た!」



 手から水が出ていて変な感じだ。



 「2回目で成功しましたね。私はもう少し時間がかかったので、もしかしてユキトさんは才能があるのかもしれませんね」



 「それなら、いいのですが」



 それからフェルさんと生活魔法の練習をした。






★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆



 「これで、最後ですね」



 僕はフェルさんが使える生活魔法を全て教えてもらった。



 「やはり、ユキトさんは魔法の才能がありますよ。最初の魔法以外すべて1回でできましたから」



 「そ、そうですかね?」



 「はい!そうですよ!それに魔力量も多いですし」



 まあ、魔法をイメージすることに関しては僕は昔からしてきたからね…。



 でもイメージしやすい魔法ばかりだったな。例えば、火を出すとか光とか。まあ、覚えておいて損はないよね。使えないものもあるが…。



 「ありがとうございました、フェルさん!」



 「いえいえ、ただの生活魔法ですから」


 

 「それでもです!」



 「そうですか、なんだか照れくさいですね…」



 「あっ、と、とりあえず家に戻りましょうか。今後について話しておきたいので」



 「分かりました」



 僕たちは家に戻った。






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