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第5話 村に入れた件

「ってなわけよ…。おい、聞いてんのか坊主?」



 「えっ?はい。え~と…何の話でしたっけ?」



 「聞いてなかったのかよ…。」



 僕は気になることがあって門番さんの話を聞いていなかった。



 「はぁ…じゃあもう1回最初から言うぞ?今度はちゃんと聞いておけよ」


 

 「は、はい。すいません。お願いします」



 僕は門番さんに色々なことを聞いていた…。記憶がない設定だし本当に何も知らないからね。



 「まずはここがどこかってことだ…」



 門番さんから聞いたことをまとめると…



 まずこの世界は12の国からなっているそうだ。地球のように丸いかは分からないが…。そして今僕がいるところはアクアリアス王国という国らしい。スポーツをしている時とかによく飲む飲料水みたいな名前だけど…。12の国の中で1番大きいらしい。そしてこの村は王都つまり国の中心から1番遠い場所という話だ。



 「んで、この村はフェブル村ってんだ」



 「な、なるほど」



 「ん?なんだ?気になることでもあるのか?」



 「あっ、いや、別に…」



 「そうか。なんか気になる事があれば俺に聞けよ」



 「はい…。ありがとうございます」



 まぁ気になる事がないわけではない。今、横を通っているこの畑もそうだ。見たことがない種類の野菜?だった。この村の人が食べているんだし食べられないわけではないと思うが…。それとこの門番さんの服装だ。鉄かな?たぶん鉄でできた鎧を着ている。見たことないから思わず凝視してしまった。



 「う~ん、見たことないものばっかだな…。」


 

 「ん?なんか言ったか?」



 「あっ、いえ何も…。ただの独り言です」



 「そうか」



 「?」



 雪希が首を傾げていた。僕の頭にいてよく分からないが…。そんな感じがする。






★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆



 「そういえば、お前の名前聞いてなかったな。あっ、記憶ないんだっけか?」



 「いえ、名前は憶えています」



 「そうか、それは良かったな、じゃあ教えてくれ」


 

 「はい、え~と、僕の名前は如月雪兎といいます」



 「キサラギ?変わった名前だな」


 

 そういえば、異世界の名前って苗字が後だっけ。



 「いえ、名前が雪兎で苗字が如月です」



 「へー、もしかして東の生まれだったのかもな。東の出身の奴は苗字が先に来るって聞いたことがある」



 「もしかしたらそうなのかもしれないですね」



 へ~、東の人は苗字が先に来るのか。東っていえば日本も東にあるからなんか親近感があるな。



 「俺の名前はテツ。テツ・フェブルってんだ。よろしくな」



 「はい、よろしくお願いします」



 (苗字はこの村の名前なんだな)



 「ん?どうした?」



 「え~と、この村の名前と一緒なんだなって思いまして…」


 

 「あ~、それか。この村で生まれた奴は全員村の名前をもらうんだよ。まぁ他のどの村でも村の名前をもらうんだけどな」



 「へ~、そうなんですか」



 「だからもしかしたら、ユキトはキサラギっていう村出身なのかもな。それか、どっかの国の貴族とか」



 「ハハハ、もしかしたらそうなのかもしれませんね。貴族っていうのはちょっと…」



 貴族か…。やっぱりそういう制度あるのか。



 「そうか?俺は結構あると思うけどな。だってお前のその服めちゃくちゃいい素材だしな」



 「ハハハ…」



 (何も言えない…)



 グシグシ



 ずっと頭で退屈そうにしていた雪希が僕の頭を前足で突いてきた。



 (ナイスタイミング!)



 「おい、雪希。どうしたんだ?」



 「おっ、そいつの名前雪希っていうのか。いい名前だな。…もしかしたらそいつ腹が減ってるんじゃないか?もう飯の時間だしな」



 話題を変えられた。危ない危ない。服のことは誤魔化すのが難しいからあんまり聞かれたくなかったんだよな。ナイスだぞ雪希。



 「♪」



 僕は口に出していないが雪希は喜んだ様子だ。






★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


 

 「よしっ!着いたぞ。ここが今日お前らが泊まる場所だ」



 周りにある家はほとんど作りが同じでこの家はその中の1つだ。1つだけ大きな家があるが多分村長の家だろう。あくまで僕の予想だが…。



 「おぉ、立派な家ですね。誰の家なんですか?」



 「俺の家だ。妹と2人で住んでるんだか…、まぁ少し広いから1人や2人増えても大丈夫だ」


 

 (ほぅ、30歳ぐらいだと思っていたから奥さんとかと住んでいると思ったが妹と住んでいるのか)



 「今、失礼な事考えなかったか?」



 「いえ、別に…」



 (鋭いな、この人)






★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆



 「たで~ま~」


 

 「えっ、兄さん?どうしたのですか?」



 「あ~ちょっとな…」



 そう言いながら僕の方を見た。



 「…あれ?その子は?」



 「ああ、こいつはユキト、さっきこの村に来たんだが記憶がないらしくてな」



 嘘をついているみたいでなんか罪悪感があるがしょうがない…。



 「はい。いつの間にか森の中にいて、何かに追いかけられ森を出たら食べるものもないことに気づき、どうにかして人里を探していたらたまたまこの村を見つけまして…」



 ここはありのまま言おう。



 「そして、この白い狐は雪希と言いまして、その探している間にたまたま見つけ、怪我をしていたみたいなので持っていたハンカチで手当てをしたらなついてしまって…」



 「あらあら、それは大変でしたね…」



 「それで泊まるところがねぇみたいだから連れてきたってわけよ」



 「そうでしたか。私は大歓迎ですよ。兄さんはこの時間いつも仕事をしていて1人だったから」



 「…あっ、いけねぇ。仕事ほっぽり出してきたんだ。早く戻らねぇと」



 そう言いながらテツさんは門の方へ走っていった。



 「あっちょっと!…ごめんなさいね、忙しない人で…」



 「いえ、とても優しい方で助かりましたよ」



 「…とりあえず夕ご飯でも食べましょうか。何も食べてないんでしょ?」



 「はい…」



 陰キャにこの状況は辛い。初めましての人と2人っきりなんて。しかも年上の女性は…。



 「そういえば、私の名前まだ言ってなかったですね。私はフェル・フェブルといいます」



 「あっ、どうも。雪兎如月と言います。そして頭にいるのが雪希です」



 「…」



 「…」



 沈黙が辛い…。何か話さないと…。



 「…えっと、フェルさんは夕ご飯食べたんですか?」



 当たり障りのないことを聞いた。



 「いえ、まだですよ。今、作っている途中でしたので…。多分量は足りると思いますから一緒に食べましょうか」



 「手伝いましょうか?」



 「大丈夫ですよ。もうすぐできるところだったので」



 「分かりました。では机に座って待っていますね」



 「♪」



 雪希もすぐ食べられると聞いて喜んでいた。



 そういえばテツさんとフェルさんはよく似ているな。金色の髪に緑色の目。目元は特に似ている。背丈は全然違うが、テツさんが170㎝後半ぐらいでフェルさんは160㎝前半ぐらい。



 この世界の人は美男美女が多いのか?まだ2人しか会ってないけど…。フェルさんは元の世界にいたら絶対に有名になるな、多分20代前半ぐらいだろう。美人過ぎる。テツさんもそうだ。イケメンである。しかも元の世界にはあまりいない金髪翠眼。こういう所はやっぱり異世界っぽいな…。



 別にイケメンが羨ましいってわけじゃないんだからねっ…。…1人で何やってんだか。



 …とりあえず今はご飯を食べるか。朝ご飯を食べてから油揚げを1枚しか食べてないからな。はぁ…。






★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

登場人物が増えてきました。これからもっと増える予定なのでよろしくお願いします。

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