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グランストリアMaledictio  作者: ミナセ ヒカリ
第2章 【異世界からの侵略者】
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第2章9 【生かすか殺すか】

「しかし、お宅の自警団は人が少ねえな」


 ライオスはクロムの隣を並走しながら、言う。


「うちは軍備に殆ど金を使っていない。加えて言うなら、これは、俺の自警団だ。あんたらギルドと同じようなもんだ」


「ほう、お宅の国は平和主義の国か」


「それは姉さんが国王になってからだ。俺の親父が国王をやっていた時はもっと酷かった」


 クロムはどこか悲しげな感じで言う。


「聖王大戦か......」


 ライオスはボソッと呟く。


「あぁ」


 クロムは相槌を打つだけだった。


「あの時、俺はガキだったからあまり知らないが、確か発端は......」


「俺の親父だ。平和の為とか言って当時休戦状態にあったラグナロクに攻め入った。いつしかそれは、周りの国も巻き込んでの大戦になったな」


 クロムは空を見上げながら言う。


「しかも、そっから龍王戦争にも繋がったんだよな?」


「そうだ。血で血を洗う戦場は地獄のようになっていた。これはお前も知っているだろう?」


「俺が18歳の時だったからな。よく覚えてる」


「まあ、それで、色々と重なってうちは軍事に金を極力使わないようにしている。ギルドなんてもんも無いから俺達自警団は少ない資金で切り盛りしてるって話だ」


「なるほどな。それで、話が変わるんだが、ヒカリはどうやって倒すんだ?」


「ーー正直あの鍾乳洞で戦うのは厳しい。外に誘い出して、そこで待機させた仲間に一網打尽にするのが手っ取り早いな」


「外に出す?なんでだ?」


「あの鍾乳洞はそろそろ崩れるかどうかって場所なんだ。きっとあいつはそれも利用する気だろうな」


「それで、外に出すということか......」


ーー正面からやるよりもそっちの方が確実だなただ、ヒカリが大人しく外に向かってくれるもんかね?ーー


「ーーできることなら、あいつは殺さず人質にでもしたいところだ」


 しばらく何かを考えていたクロムがライオスの方を見て言う。


「それで、あいつらは攻撃を弱めるってか?言っとくがそんなことには絶対ならない。これだけは確かだ」


「なら、ヒカリから情報を吐き出させることは......」


「あいつが大人しく何でもかんでも言うわけがない。結局捉えるって案は却下だ」


 ライオスはハエでも追い払うように手を振る。


「殺すしかないのか......」


「お前も諦めがつかねえのか?あいつは敵なんだ。それ以上でもそれ以下でもない」


「それは分かっているはずなんだが......」


 そう言うとクロムは黙り込んだ。


「こいつらも、あんたと同じようだな......」


 ライオスは荷台の方を除き、言う。


ーーこれから戦いだってのに、誰一人としてそれを自覚してないような顔してやがる。そんなに、ヒカリを殺したくねえのかーー


 そう思いはしたが口には出さなかった。

 言ったところで余計空気が悪くだけだと思ったからである。


 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


「ここか、例の鍾乳洞か......」


 グリードは鍾乳洞の入口から中を見ながら言う。


「あぁ、ここがリヴィア鍾乳洞だ」


 クロムが答える。


「しっかし、随分とでけえな」


「鍾乳洞は、年々雨水や、ここだったら上流にある水とかが浸水して広がっていく。そして、ある程度の大きさに達したら崩れる。人の一生と同じだ」


「それで、これはもう崩れる寸前といったところか......」


ーーこんな所に呼び出すとは、閉じ込めて鍾乳洞を崩れさせて殺すっといった感じだなーー


「中には最低限の人数で入る。お前らはここで待機。俺達が中からヒカリを誘い出す。そして、外に出たところを一網打尽にしてくれ」


 クロムが自警団員に指示をする。


「ほう、危険な役目は俺達がやるというわけか」


「すまないが、うちには魔導師がいないんでな。出来ればお前らに頼みたいのだが」


「元々それを承知の上で来たんだ。俺達に任せとけ」


「そうか。なら全員準備は出来ているな?」


 クロムの言葉にこの場にいる全員が頷く。


「よし、それでは出撃だ!」


 そう言ってクロムが先陣を切って鍾乳洞に入る。


「お前も行くのか!?」


 ヴェルドが驚いたように言う。


「あの爺さんと約束したからな。お前らを守るのは俺の仕事だ」


 そう言うとクロムは再び走り出す。


 その後をフウロ、ヴァルが続く。


「ヴェルド様も、早く」


 シアラがヴェルドの背中を押す。


「ライオスさん。まさかビビってませんよね?」


 デンがライオスに言う。


「そんな訳ねえだろ!行くぞお前ら!」


 ライオスと自称ライオス護衛隊の三バカも鍾乳洞に入る。


 本当にこんなメンバーで大丈夫か?


 グリードはそう思い、エフィとセリカに目を向ける。


「お前らはここで待っていてもいいんだぞ」


 グリードは独り言のように言う。


「ーーそんな訳にはいかない。ちゃんとヒカリと話をしないと......」


「私もヒカリさんと話をするために来たんですから、外で待つという訳には行きません」


 セリカとエフィがそれぞれ覚悟を決める。


「なら、あいつらに倒される前に早く行かねえとな」


 グリードは唇の橋を上げてニヒッと笑う。


「立ち止まる理由なんてねえ!俺達も行くぞ!」


 グリードがそう叫ぶと同時にセリカとエフィは鍾乳洞の中に入った。


 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


「しっかし、中は随分と広いんだな」


 ヴァルは鍾乳洞の中のあちこちを見渡しながら言う。


「正直走ってきたのは間違いだったかもな。体力を余計に使うだけだったな」


 クロムが言う。


「こんなに中が入り組んでるとは思わなかったからな」


 5分は走って10分程歩いているが、最奥までは、後どれくらいかかるかが分からない。

 これじゃあ、外に誘い出して一網打尽になんてできない。


「全員連れてくるべきだったか......」


 クロムが今更のようなことを言う。


「ーーなあ、本当に殺さないといけねえのか?」


 ヴァルはクロムに問いかける。


「それに関しては色々と考えたが、情報を吐かせるにしても、人質として使うにしても、両方効果が期待できない。わざわざ危険を冒してまで捕らえる必要はないということになった」


「そうか......」


 ヴァルは正直、奇跡でも起きないかと思っていた。


「ヒカリが仲間になってくれるってことはないのかな」


 ヴァルは思い描いていた奇跡をクロムに言ってみる。


「絶対に無いだろうな。その可能性は」


 クロムがキッパリと否定した。


「やっぱりか......」


 ヴァルは落胆して肩を落とした。


「仕方の無いことだ。ーーあれは......」


 クロムが立ち止まり前方を確認する。

 ハッキリとは見えないが、その先には空間ができていることが確認できる。


「そろそろ最奥地か......」


「ヒカリが待っている場所か......」


「よし、気を引き締めて行くぞ。幸い、ここまでに罠は無かったが、この先に何も仕掛けられていないとは限らないからな」


 クロムが大声で指示する。


「...........」


 ヴァルとクロムはそれぞれ、中を覗く。

 奥の池だろうと思われる場所にヒカリが座っているのが見えた。



「随分と早かったじゃない」


 ヒカリがこっちを見もせずに言う。


「約束通り来てやったぞ」


 ヴァルは中に足を踏み入れ言う。


「変ね。呼んだのはセリカだけだったはずだけど......まあ、想定内だしいっか」


 そう言ってヒカリは座っていた岩から飛び降り、こちらにやってくる。


「そんなに警戒しなくても大丈夫よ。ここには罠も何も仕掛けてない。居るのは私一人」


「本当にお前一人とは思えないがな」


 クロムが鞘から剣を抜き、ヒカリに突きつけるように構える。


「随分と信用されてないみたいね。まあ、当たり前か」


 そう言うとヒカリは銃を抜き出し構える。


「言葉では通じないようだから、こうするしかないよね」


 ヒカリがそう言うとさっき通ってきたはずの入口に結界が貼られた。


「逃がすつもりは無いということか」


 フウロも剣を構える。


「言っとくけど、これは私の独断でやっていること。ここであんた達が死んでも、私が死んでも何も影響はない。あいつらはこの世界を侵略する。止めたければ、私を倒しなさい」


 そう言うとヒカリは発砲してきた。


「錬成!」


 素早くエフィが壁を作り出す。


「全員攻撃開始!」


 フウロがそう叫び、ヒカリに向かって斬り裂き攻撃をする。


「ウォタルブレード」


 ヒカリが昨日の水魔法を使ってきた


「火炎砲!」


 ヴァルは水の弧に向かって炎のブレスを当てる。

 そして、ヒカリの放った水の弧は蒸発して消えた。


「対策はしっかりと整えてある。昨日のようにはいかねえ!」


 ヴァルはヒカリに向かって拳を突き出す。

 更に、クロムもヴァルの隣から剣を差し出す。


「エレキフィールド」


 足元に電流が走る。

 そして、それはヴァル達の体に当たり、痺れを起こさせる。


「これなら、動けないでしょ?メテオストーム」


 ヒカリは痺れで動けなくなったヴァル達に向かって容赦なく攻撃を続ける。


「エレキチャージ!」


 ライオスが足元の電流を全て体に取り込んだ。


「暴風剣!」


 再び動けるようになり、フウロがいち早くヒカリに攻撃を当てる。


「雷魔法は俺には通じない」


 ライオスが腕組をして構える。


「雷雨!」


 ヒカリの頭に雷雲が現れ、雷がヒカリに直撃する。


「チッ」


 ヒカリは舌打ちをして再び銃を構える。


「どうやら、本当に仲間は居ねえらしいな」


 ヒカリの足元に忍び寄っていたグリードが攻撃する。


「最初にそう言ったでしょ!」


 ヒカリがグリードに照準を当てるが、それよりも先にグリードが攻撃をする。


「んぁ!」


 ヒカリの体が後方に吹っ飛ぶ。

 しかし、ヒカリは受け身をとり、コートからグランメモリを出す。


「やっぱりお前も持っていたか」


 クロムがそう言いながらヒカリに向かって攻撃をする。


「残念だが、それを使わせる暇は与えない」


 フウロもヒカリが逃げた先で構えていた。

 見事なコンビネーションだ。とても、昨日出会ったばかりとは思えない。


「残念なのはあなたよ。これは体に突き挿して使うものじゃないの」


 ヒカリはフウロに焦点を当て。銃の形状を変え、現れた差し口にグランメモリを挿す。


「なっ......」


 フウロは逃げ出そうとしたが遅かった。


「グランアタック、フレイム」


 ヒカリは銃の引き金を引く。

 そして、ヒカリが放った銃弾は大きな火の玉を作り、フウロに直撃した。

 大きな爆発音が響き渡る。


「まだ、負けてやるわけにはいかない」


 ヒカリは口元の血を拭いながら言う。


「大人しく負けろ!侵略者!」


 フウロが煙の中からヒカリに向かって攻撃をする。


 確かに直撃したように見えたが、フウロはギリギリで直撃を免れたようだ。ただ、左肩から血が溢れだしている。


「グランアタック、エレキ!」


 ヒカリは別のグランメモリを出してフウロに攻撃するが、それをライオスが防いだ。


「電撃は効かないって言っただろ?」


「グランドクエイク!」

「アイスグラウンド!」

「ウォータースパイラル!」


 グリード、ヴェルド、シアラがここぞとばかりに総攻撃を仕掛ける。


 そして、その攻撃は見事ヒカリに直撃し、ヒカリの手から銃と魔導書が離れた。


「うおぉぉぉ!」


 クロムがヒカリに向かって突進する。


「ダメっ!」


 クロムがヒカリに攻撃を当てる手前、緑色の髪をした女の子がクロムとヒカリの間に割って入った。

人物紹介

グリード・ジオラル

性別:男 所属ギルド:グランメモリーズ 年齢18歳

好きな食べ物:レバー 嫌いな食べ物:冷たい食べ物

誕生日:5月5日 身長:177cm

趣味:家庭菜園

見た目特徴:ギザギザとした黒髪で、後は特にこれといって特徴が無い


主に地属性魔法を使う龍殺し(ドラゴンスレイヤー)レバーが好物だが、他人から『レバーが好きな人なんて気持ち悪ぃ〜』などという発言を聞くと問答無用でそいつに食べさせに行くという、すごく地味な嫌がらせ?をしてくる。


次回予告

第2章10 【友】

あれ?今回の戦闘シーン三バカとセリカ居た?

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