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グランストリアMaledictio  作者: ミナセ ヒカリ
第6章 【龍の涙】
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第6章31 【地龍・光龍】

「俺の名前はランドヴレア。今から数えて5000年前には、地属性最強のドラゴンって言われてたんだぜ」


 だからなんだと言うのだ。


 地属性最強。だが、地属性は錬金術の劣化版と呼ばれている。


レイヴン「俺の名はレイヴン。怨龍の龍殺し(ドラゴンスレイヤー)だ」


「怨龍......なるほどな」


 この龍は、四足歩行型で翼のないタイプの龍。地龍の名の通り、空は飛ばないと言ったところか。


 相性的には良いとも悪いとも言えない。たまたま、この龍がいたところに俺達、コールドミラーとトゥインクルアスタロトが固まっていただけだ。


ノア「レイヴン様、サポートは私達にお任せください」


エスメラルダ「そうよ。私達のギルドは、あんたの支援しか出来ないからね」


 ここに、リアムがいてくれたらどれだけ楽な戦いに出来ただろうか。


 試合が終わってから、あいつの姿を見ていない。多分、どこかで俺と同じように龍と対峙しているとは思うのだが......


レイヴン「怨龍の咆哮」


「......なるほど。ならば、地龍の咆哮」


ソアラ「シールド展開!」

カスミ「援護します!ディフェンスライズ!」

ノア「氷神の守護」


 3人がかりの防御でも、凄まじい威力で吹き飛ばされる。


 龍を殺すための魔法、滅龍魔法。だが、その威力は本物の龍に比べると遥に劣っている。


 最強を目指した俺達の力でも、龍1体を相手にできるかどうかの瀬戸際。


カルマ「サンドラクリエイト・雷牢!」


 地龍相手に、雷の牢を張っても無駄だ。


 電気が、奴の体を伝って地に流れていく。拘束力なんて何もない。


レイヴン「カルマ、奴に雷は効かない。氷で攻めろ」


カルマ「分かった」


レイヴン「怨龍の蹴撃」


「地龍の斬撃」


レイヴン「グッ......!?」


 相殺するような形で出されたはずなのに、こちらが一方的に攻撃を喰らう形になった。


シズク「ヒーリア!」


レイヴン「すまない」


エスメラルダ「次の攻撃が来るよ!全員構えて!」


 地龍が大きく腕を上げている。


ノア「氷神の守護!」

カルマ「アイスクリエイト・氷盾(ひょうじゅん)!」

ソアラ「シールド展開!」

エスメラルダ「双剣乱舞!」

ディーネ「水氷バリア!」


 5人がかりでの相殺。だが、それでも衝撃波がこちらにまで伝ってくる。


エスメラルダ「なんて威力なの......」


ソアラ「5人でもダメってどうなってんの!?」


シズク「皆さん警戒を!次が来ます!」


 全員、体勢が整っていない。


レイヴン「怨龍の咆哮!」


「地龍の咆哮」


 龍の力には龍の力。だが、本物の龍の方が勝っている。相殺するのがやっと。いや、相殺して、威力を弱めてから喰らうのがやっとだ。


 やはり、何度やっても俺の滅龍魔法は効かない。いや、効かないのではない。力が足りないんだ。


 大会中にも感じた実力不足。まさか、ここでも痛感する羽目になるとは......


「怨龍。貴様の力は、その程度か。大したことないな」


レイヴン「クソっ......」


ノア「レイヴン様、諦めるには早すぎます!次の体勢を整えてください!」


 ......ダメだ。いくら龍を殺すための魔法でも、こいつには勝つことが出来ない。


 所詮、人が使う龍の力。本物の龍相手に適うわけがないんだ。


ノア「レイヴン様!立ってください!っ......氷神の守護!」


 全員、俺を守るためだけに身を投げ出している。なのに、俺は勝手に絶望して膝をついている。


 ......リアムなら、無理でも、それを理解せずに突き進むだろう。俺は、あいつほど物分りが悪いやつじゃない。だが、諦めはあいつより早くはない。


 どうして、俺だけが膝をついている?皆、俺を守るためだけに身を投げ出しているというのに。


 立て、怨龍。お前の力は、これしきで絶望を味わうほど闇は深くない。


レイヴン「怨龍憑依」


 溢れんばかりの負の力が、俺の全身を駆け巡る。


 本来ならば、光で制御しなければならない力を、闇の力だけで満たしている。


 暴走する危険性はある。だが、そうでもしないとこいつを殺すことは出来ない。


「ほう......負の力を解放したか」


レイヴン「怨龍の咆哮!」


「地龍の咆哮!」


 まだ足りない。まだ、俺の方が劣っている。


ノア「氷神の舞!」

エスメラルダ「双剣乱舞!」

ソアラ「ソード構えよーし!行っけー!」

ディーネ&シズク「「 大海原の舞! 」」

カルマ「アイスクリエイト・氷河!」


 他の面々が、龍の息吹に向かって攻撃する。息吹の威力が若干弱くなって、俺の攻撃が押し切った。


 龍自体にダメージを入れられなくても、龍の攻撃を相殺することは出来る。これは、良い情報を得られた。


レイヴン「みんな!奴が攻撃する度に、威力を落としてくれ!」


エスメラルダ「サポートは任せてって言ったでしょ!」


ノア「レイヴン様、全力でやってください!」


 ああ。分かってる......


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


シオン「貴様、見たところ、光の龍のようじゃが、名をなんと言う?」


「私の名はグランネルヴァ。あなたの言うように、光の龍です」


シオン「丁寧な龍じゃのう。その丁寧さに免じて、ここは大人しくやられてはくれんか?」


「残念ですが、私は龍王様の命に従わなければなりません。あなた達を殺したくないのは、私の気持ちですが、その気持ちを押し殺してでも、私はあなた達を殺します」


 二足歩行型の白き龍。腕に刃のようなものがついている。その腕を利用した素早い攻撃をしてきそうだ。


 光の龍とだけあって、優しき慈悲の心は持っている。だが、その龍王とやらがいる限り、我はこの龍と戦わなければならない。


 こんな、いかにも優しさを形にしたような龍を殺したくはないが、それでもやらねばならない。それが、今の私の使命。


シオン「ブラッド、レクト、ピアナ、レイガ。援護を頼む」


レイガ「任せてろ」


ピアナ「全力でサポートするから、シオンは全力で戦ってね!全力で回復してあげるから」


ブラッド「......龍の血......この手で嗅いでみたいものだ」


レクト「ブラッド、あまり変なことを考えるな」


ブラッド「......」


 回復役がピアナ1人。他は、防御と言うよりも攻撃寄り。サポートとしてはやや不安が残る。他にも、シェミスターライトの面々がいるが、どれもこれも不安しか残らない面子。


 役に立つのは、大会にも出た私を含む5人のみ。


「光龍の咆哮」


シオン「闇龍の咆哮」


 闇属性と光属性。お互いに相性が良く、同時に撃てば相殺されるはず。だが、私の方が弱い。


 龍自体がとてつもない強さを秘めている存在。私のような人間が勝てる相手ではないのだ。


レクト「シオンをサポートしろ!怨闇(おんやみ)の霧」


 あたりに、闇と怨念を込めた霧が立ち上る。相手の攻撃力を下げる算段だ。


ピアナ「アタックライズ!」

レイガ「アイスクリエイト・ドラゴン!タイガー!」

ブラッド「ブラッディレイン」


 全員で光龍の咆哮を弱めていく。これなら、私の咆哮で押し切れる。


「なるほど。仲間との連携がしっかりとしていますね。ならば、これを耐えることはできますか?」


 大きな羽を広げて、光の刃が構えられる。


 雨のように降らして、私達を全滅させる算段か。


ブラッド「任せろ。アンブラドレイン」


 血で出来た腕で、全ての攻撃を受け止めるつもりか......


「私の攻撃は、負の属性を浄化しますよ」


 あの光の刃は、ブラッドが作り出した腕を消し去ってから、こちらに降り注いでくる。


シオン「くっ......」


 守るものは何もない。全てを喰らう形となる。


ピアナ「ふ、フルヒーリア!」


 ピアナの回復魔法によって、再び立ち上がれるようにはなる。


「回復魔法......ですか......」


シオン「闇龍の斬撃!」


「光龍の斬撃」


 デカデカとした図体なのに、腕を降るのは早い。


 人間の腕力と、龍の腕力。どちらが強いかなんて、比べるまでもない。


シオン「う"っ......」


 簡単に押し負ける。こんなの、本当に私で勝てる相手なのか?


ピアナ「ひ、ヒーリアラ!」


 回復魔法もあまり効いてる感じがしない。負ったダメージよりも回復量が少ないからだ。


「光龍の斬撃」


ブラッド「アンブラインパクト」

レクト「怨念の波動」

レイガ「アイスクリエイト・タートル!」


 防御の構え。でも、奴の攻撃は防ぎきれない。


シオン「闇龍の咆哮!」


 これでどうだ......


「......なるほど。それが、絆の力。私の攻撃を防ぎきるとは、やりますね」


 防ぎきった......。だが、みんな体力の限界が来ている......


シオン「闇龍の斬撃」


「......もう、滅龍の力も残っていないようですね」


 この光龍に一切のダメージを与えられていない。なのに、この体に限界が来ている......どうすれば......


ピアナ「フルヒーリアラ!」


「光龍の咆哮」


ピアナ「いやぁっ!」


レイガ「ピアナっ!」


 回復役のピアナが吹き飛ばされる。


 1番失ってはいけない役を、守ることが出来なかった。


 私には、龍を倒すほどの力がない......何のための滅龍魔法......龍を殺すための魔法なのに、仲間を守ることすら出来ない......


 この世界に、神様がいるのなら、この状況をどうにかしてほしい。龍がいなくなるのでも、私が強くなるのでも、何でもいい。


「所詮、人の子の実力はここまでのようですね」


 ......


 ......


 ......


レクト「諦めるな!シオン!お前が諦めたら、誰がこのドラゴンを倒すんだ!」


 無茶を言わないでくれ。


 魔法の使いすぎで、私の体は立ち上がることさえ出来ない......。このまま、この慈悲深き龍に殺されるのだろう。


レクト「立て!シオン!お前のサポートは、俺達がするって言ってるだろ!だから、立て!」


シオン「......」


 諦めていたのは、私だけだったようだ。みんな、こんな状況でも、目に光が灯っている。まだ諦めていない証だ。


シオン「......闇の......閃光」


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


「我が名はラグナロクシエル。無を操りし龍」


ミーニャ「うぅわぁぁ、でっけぇドラゴンさんだー!」


サリア「ミーニャ、相手は本物のドラゴン。気を抜かないの」


 ラグナロク......神殺しの名を持つドラゴン......


 ラグナロクの名前には、嫌な記憶が残っている。


 ラグナロク帝国......。かつて、ネイを苦しめた国。


ネメシス「まずいな......ここに集まったヤツらの中に龍殺し(ドラゴンスレイヤー)がいねぇ」


フェイ「どうすんだよ父ちゃん!ドラゴンスレイヤーじゃなきゃ、本物のドラゴンは倒せねえんだろ!?」


ネメシス「落ち着けフェイ!ここには、マジックアルケミストと、グランメモリーズの一部が集まってる。爺ちゃんも一緒だ!」


ヴァハト「あまり期待をするでない。儂には、龍を殺せるほどの力はない」


 不安しか残らないメンバー。龍殺し(ドラゴンスレイヤー)がいないだけで、苦戦は容易に想像出来る。


「神殺しの咆哮」


ヴァハト「全員構えろ!記憶の盾」


ネメシス「フェイ!合わせろ!」


フェイ「任せろ父ちゃん!」


ネメシス&フェイ「「 闇の炎撃!! 」」


サリア「みんな行くよ!アースクエイク!」


ミーニャ「風猫!」

トーリヤ「豪雨!」

ハイルン「絶対封鎖!」


アルテミス「フェイト・グラン・アロウズ」


 全員で龍の咆哮に攻撃をぶつける。


「それしきで止められると思うな」


 まずい。私達の攻撃を全て跳ね返して、こちらに攻撃がやってくる。


ネメシス「フェイ!」


 ネメシスがフェイを覆いかぶさって、フェイに当たるはずだった攻撃から身を守る。


ミーニャ「うわうわうわ!こっちにも来るよー!」


サリア「落ち着いて!ミーニャ!」


トーリヤ&ハイルン「「 ぐわぁぁぁぁ!! 」」


アルテミス「う"っ......!」


 たったの一撃。なのに、とてつもないダメージ。


「所詮、龍殺し(ドラゴンスレイヤー)でなければこれほどまでか。やり甲斐のない相手だな」


 龍は、私達を無視して、さっさと街の破壊活動に入る。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 どこからともなく、少女の叫び声が聞こえた。


「......?」


 龍も、気になるのか動きが止まる。


 ......あれは......ネイ?


ネイ「......痛ったた......」


 落下時にとんでもない音がしたが、ネイがピンと立っていた。


「......貴様、邪龍か」


ネイ「はい?」


「貴様、邪龍かと聞いている」


ネイ「......まあ、そうじゃないと言えば嘘になりますけど」


「......面白い。貴様、我と戦え」


ネイ「え!?戦えって言われても、私は上にいるやつのところに戻らないとーー」


アルテミス「お願い!ネイ!そいつを倒して!私達じゃ無理だから!」


ネイ「わ、私任せですか......」


 ネイは、品定めをするかのような目と顔の動きで無属性の龍を見ている。


ネイ「......分かりました。私がこいつの相手をします」

人物紹介

フセイ

性別:男 所属ギルド:ダークソウル

好きな物:不明 嫌いな物:不明

誕生日:不明 身長:177cm 歳:不明

見た目特徴:黒いコートに身を包んでおり、その容姿を見ることはできない。


 ダークソウルの斧使い。それ以外の情報はない。

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