表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

ガチャと乙女ゲーと時々にゃんこ

作者: 巽 玲也
掲載日:2018/09/17

深く考えずに気楽に読んで頂けますと幸いです…

「いやー本当佐奈と琴海がテスター引き受けてくれて助かるー!」


ガチャガチャとVRの装置を準備する優華を見守る私達。

そう、私こと常陸佐奈と神澤琴海は共通の友達の広川優華が作る乙女ゲームをテストすることになったのだ強制的に。

え、どこらへんが強制かって?急にご飯に誘って来たので2人で参加したらありがたいことに奢ってもらえて、美味しい焼肉食べられて幸せー!って思ってたらその代償がこれである。あの時の優華めっちゃ怖かった。お店から出たら私たちの肩掴んで、「食べたよね?私のお金で焼肉食べたよね?じゃあ言うこと聞いてくれるよね?」って真顔ですごい目力発揮しつつ言うんだもの。全力で頷いたよね。どこぞのホラーより怖かった。

そんなわけで今日、私と琴海はVR機器を付け優華の作ったゲームをテストプレイすることになった。

思ったよりVR機器は重く、長時間は首が痛くなりそうだ。今日は湿布貼って寝た方がいいかも。

「酔って気持ち悪くなったら言ってね。すぐ止めるし」

「うん」

じゃあ行ってらっしゃい。そう優しく言い、優華はスタートボタンを押す。

事前に言われていた通りに目を閉じる。乙女ゲームもとうとうバーチャルリアリティーになったんだ。どんな内容なんだろう。学園もの?会社もの?はたまたSFもの?嫌々体験することになったが、初めての経験にドキドキしてきた。結構楽しみ。乙女ゲームはやったことあるけどバーチャルリアリティーの乙女ゲームは初めてだし。楽しめるといいな。

きゅいいいいいんという機械音が鳴り響く。それにつられるように私の意識はゆっくりと消えて言った。


「起きてください」

たしたしと柔らかいなにかが強く頬を叩く。

「な、に?」

寝てたい。昨日も残業だったので寝不足なんだもっと寝たい。起こさないで。

寝たふりを続行して無視しようと思った私の鳩尾に鋭い1発が入った。

「痛い!!」

バーチャルリアリティーなのに痛い!痛みに驚いて飛び起きると、私のお腹の上に1匹の猫?のような生き物がいた。

クリーム色のふわふわした毛にハート型の耳。可愛い。撫でてみようと手を伸ばしたらパシッと小さなおててで弾かれる。

「さわらないでください!」

威嚇しているのか耳と尻尾をぶわりと立たせ、こちらを睨みつける。可愛い。

気にせず頭を撫でる。はー可愛い。正義。

「やめてください!」

「うん、うん」

「聞いてないですよね!?」

気がすむまで頭も体も撫で回してから辺りを見ると知らない部屋にいた。そうだ。バーチャルリアリティー乙女ゲームのテストプレイをやっていたんだ。

「キミが案内役だったりする?」

猫は嫌そうに頷いた。

「不服ですがそうです。貴女は今コンティア学園に居ます。新入生としてこの学校に入学してきました。と言う設定です。」

「なるほど。じゃあ私何から始めればいい?これから行く学校の準備?」

ちらりと時計を見ると8時だ。淡い薄緑のカーテンの隙間から朝日が指しているのでもちろん朝だろう。

「イベントガチャを引いてください。」

「は?」

「ですからガチャ引いてください。はい、コレです。」

猫は尻尾でハートを描いた。すると見慣れたガチャガチャの機体が空中に現れた。

「なんで、ガチャ?」

「いいから早く引いてください。」

「え、いや、え?」

「引け!!」

痛っ!!痺れを切らした猫が私の頬に強烈なにゃんパンチを食らわしてきた。なにこの案内にゃんこ!やんちゃってレベルじゃないんですけど!?

「引きます引きます!」

ガチャのレバーを捻り、出てきたカプセルを手に取る。かぱりと開けると、1枚の紙が入っていた。

<食堂で素敵な出会い>

ちらりと猫は一瞥すると、食堂行きますよ早く支度してくださいと言ってきた。読み終わると紙とカプセルはふわりと煙になって消え、ガチャもなくなっていた。

「え、何に着替えるの?」

まさかアレじゃないよね?と視界に入れないようにしていた制服らしきものを指差した。ボルドーのジャケットに明るい赤のチェックスカート、ピンクの無地のワイシャツ。シャツ以外の裾全てに白や黒のフリルが付いており、極め付きは胸元のでかいリボン。

猫は無言で頷いた。

「いや、アラサーには無理だよあんなの!!」

「乙女ゲーム用ヒロイン制服なので諦めることです。それに安心してください。見た目は15才です。」

「若きゃいいってもんじゃないよ!!精神が許せないよ!もっとマシなのないの!!?」

「仕方ないですね、ありますよ普通の。」

猫はやれやれという感じで立ち上がり、制服が吊ってある壁に歩いて行く。

「にゃおにゃおにゃお」

猫が鳴くと光がふわふわと現れ、やばい制服の紺色バージョン(フリルなし、許容範囲の大きさのリボン)が出てきた。

「にゃんにゃん、魔法使えたのね…」

「魔法じゃないです、魔術です。まあ、これでも魔術にゃんこなので」

「じゃあ、ありがたくこっち着るね」

「せっかく用意したヒロイン用制服だったのに…」

にゃんこは不服そうに寝そべりながら尻尾を揺らめかせた。

「ごめん…でも無理なものは無理だから」

なんとなく後ろを向いた着替えていると猫が話しかけてきた。

「名乗ってませんでしたね。私のことはシーチキンと呼んでください。」

「…もしかしてシーチキン好きなの?」

「とても好きです。シーチキン毎食食べたいくらいです。」

「あー、うん、毎食は身体に良くないんじゃないかな?」

にゃーん

シーチキンは悲しげに鳴いた。どんだけシーチキン好きなのよ。

部屋にあった姿鏡で変なとこがないか確認する。

「うわああお」

鏡に映っていたのは15の私だった。懐かしー!!髪の毛は黒髪でセミロング。今とあまり変わらない。でもめっちゃ若い!肌ツヤが違う!悔しい!

27の私だと浮く制服も、15の私だとすんなり似合っていた。

近くにあった青いゴムで髪を結ぶ。ポニーテールにしてみる。昔はポニーテールが大好きで良くやっていた。だって制服にはポニテ似合うじゃん!!

さて準備オッケー!

「食堂行こうじゃないのシーチキン!」

「シーチキン食べに行きましょう。」

「シーチキンは1日1回だけだからね。」

腕に抱き上げたシーチキンは力なく不貞腐れた。


シーチキンに案内してもらってようやく着いた食堂。

食堂は思ったより混んでおり、美味しそうな匂いに満ちている。

「さて、ガチャです。」

「いや、ご飯でしょ」

言い切った私にシーチキンは何言ってんだお前的な顔をした。この魔法にゃんこ、すごく表情豊かである。

ボンっ

また目の前にガチャが現れた。

「引くまでご飯たべれないんで」

「ちっ」

ガチャリと回してカプセルを開ける。

<上郷要とご飯を食べる>

「まあ、無難ですかね。行きましょう」

シーチキンはご飯を受け取るところを示す。

和食が食べたいな。洋食も好きなんだけどお米食べたい。

「あ、ちょっと待ってください。止まって」

言う通りに止まるとシーチキンは私の腕の中から肩に上がり、マフラーのように私の首にぶら下がった。重い!

「重いんだけど?」

「少しの間です耐えてください。」

「空中に浮くとかできないの?」

「出来ますよ。優秀にゃんこですので。でも面倒です。」

「あ、そう。」

手前の食券売り場で券を発券する。魔術使えるって割に魔法で出すわけじゃないらしい。

「魔術使える人って少ないので。この学校の8割は魔術を使えません。ですので機械に頼ります。」

「なるほど。ってかシーチキンのご飯はどうするの?」

「これだよ」

突如出てきた手が使役獣(猫)というボタンを押した。

「はい」

券を差し出す持ち主を見ると生真面目そうな黒髪に黒縁メガネの男の子がいた。

「ありがとうございます。えっと」

「僕は上郷要。君と同じ新入生なんだ。まあ正確には中等部からの進学だけど。」

「私、常陸佐奈。宜しくお願いします。」

「同級生なんだ。敬語はいらないだろ。あっちで受け取るんだ。行こう」

上郷くんについて行く。お金はどうするんだろうと思ったら学費の中に入っているのでいらないらしい。すごい。

「ここで券を出して受け取って。僕は洋食だから違う受け取り口なんだ。せっかくだし一緒に食べよう。」

先に咳取っておくからゆっくりでいいから。そう言って上郷くんは奥の受け取り口に向かって行った。

握りしめていた券を食堂のおばちゃんに手渡す。

「新入りの子だね、しっかり食べなね!あら、シーチキンちゃんじゃない。やっと飼い主見つかったんだねえ。お祝いだからちょっとだけシーチキン付けておくよ。」

おばちゃんは私達にニコニコ笑いかけてくれた。いい人!

「ってシーチキン、前からこの学校にいたの?」

「訳あって居ました。あ、このシーチキンはノーカンですよね?」

「シーチキンの事しか頭にないんかい!」

おばちゃんが渡してくれた干物定食を受け取り、カトラリーを置いてあるところで箸を取る。

「あれ?おぼんが2枚になってる。」

「2枚でいいんです。その上に乗ってシーチキン食べるんで。小型の使役獣はみんなそうやってます。」

「オーケー。水も持ったし行こうか。」

自分とシーチキンの分の水もゲットし、上郷くんを探す。

「あそこに居ます」

シーチキンの可愛いおてての先に上郷くんが手を振っていた。

上郷くんが座っている窓側の机は人があまり座っておらず、穏やかに食べられそう。彼の向かいに座って、2人で頂きますと食べ始める。

美味しそうなお味噌汁に箸を浸し、いざ干物を一口と思った瞬間頬をたしたしと叩かれる。

「ご飯たべたいです。」

準備しろ。とシーチキン様がお怒りです。慌てて重なっていたおぼんをとり、上に野菜と赤身のお肉そして少量のシーチキンがのったお皿と水の容器を置く。するりとシーチキンはおぼんの上に乗り、綺麗に食べ始めた。

「新入生なのにもう使役獣がいるんだな。」

スクランブルエッグをフォークに乗せながら上郷くんが効いてきた。

「あー、うん、成り行きで」

ゲームの設定として案内役のシーチキンがいると言うだけなので説明なんか出来るわけがない。

自然な感じでここまできたけど、これゲームなのだ。今食べている干物の味も、服を着替える行為も全ていつもと同じようにできるし、いつものように館時られる。でも間違えちゃいけない。これはバーチャルリアリティーのゲームだ。なのになんでこんなに自然になんの違和感もなく過ごせるんだろうか。

ふと考え込んだ私をシーチキンがじっと見つめてくる。

「穏やかでつまんないです。ガチャしましょう」

「ガチャ?ってかお前話せるんだな。」

上郷くんはシーチキンを不思議そうに見る。それよりシーチキン、今このシリアスな雰囲気でガチャしろっておかしいから。空気読んで。回すけど。

ガチャ

<急に口説かれる>

「もう1回回してください」

オレンジ色に変わったガチャの機械を回す。

ガチャ

<クラウス・フィールド>

「これは楽しくなりそうですね」

シーチキンは嬉しそうに尻尾を振った。

「何もない空中で手首捻ってどうしたんだ?」

「え、もしかして」

もしかしてガチャって他人から見えないの!?もう次からは隠れて引くわ!!恥ずかしい!!

「ごめん、聞かなかった方が良かったよな。すまない。」

私の恥ずかしい気持ちを読み取ったのか上郷くんは謝ってくれた。上郷くんめっちゃ良い子だよ!それにひきかえシーチキンは全く!

「あれ、要じゃないか」

突如甘さを含んだ柔らかい声が上郷くんに話しかけた。茶色い柔らかそうなウェーブの髪に白く美しい肌、整った顔に笑みを浮かべる白皙の美青年が私の後ろにいる。

「クラウス先輩、おはようございます。」

「おはよう。あれ、この子は?」

「高等部からの数少ない新入生です。」

「へえ、そうなんだ。可愛いねキミ。」

「ひえっ」

何この茶髪の甘いマスク系イケメンは!?この人がクラウス・フィールド?この人に口説かれるの私!?無理無理無理!

「ね、恋人はいるの?」

グイと顔を近づけてクラウス先輩は私に囁きかける。吐息混じりの声で。

あまりの破壊力に声は何も出ず、顔が赤くなっていることを自覚する。心臓は痛いくらいにドキドキと早く脈打ち、クラウス先輩の事しか考えられなくなる。どうしよう。どう答えたらいいんだろう。

『ガチャです』

頭の中でシーチキンの声が響く。は?この状況でガチャ?何言ってんの??

『こう言う時こそガチャを引くのです。ガチャを引くのをイメージしてください。』

全然空気読まないねこのシーチキン!!仕方ないので目の前にある水色のガチャを引くイメージをする。

<おとといきやがれ!>

いやいやいや、おかしいでしょこの返事!!こんなセリフ言ったら周りですごい表情で私を見てる女の子に何されるかわかんないよ!なし!この回答はなし!

『チッ、仕方ないですね。もう1回引いてください。でも引くたびに右上のポイント減るので気をつけてくださいね』

右上?ガチャの機械の右上を見ると1000pと書いてある。

『これはドキドキポイント略してDKポイントです。貴女がドキドキするたびに溜まっていき、300pで1回引けます。他にもガチャを回せるポイントはあるんですが今は説明しません。』

ってことはあと3回は引けるってことか。よし、引こ。

ガチャり

<私もだいしゅきー!(ハート)>

ハイ次行こう!

ガチャり

<黙れ!>

アウトー!!先輩に対する言葉じゃないよ!!ラスト1回頼む!普通の穏やかな返事来て!お願い!

そう祈りながら回すイメージをする。

ガチャり

「あ、大丈夫です、間に合ってます!」

何言ってんの自分!?ほら見て先輩予想外の返答すぎてポカーンってしてるじゃん!ってかなんでこれだけもう発声して答えてるの!?

『最後なので。今は他にポイント稼ぐ手段もないですし仕方ないです諦めてください。』

まじか!!もう言っちゃったもんしょうがないよね。

で済むかー!!もうどうしよう。逃げた方がいい?もう逃げた方が良くない?逃げる?逃げちゃおうか。

「っあはははははははは!キミ面白いね!気に入ったよ!」

気に入ったの!!??え、まじで??乙女ゲームの世界だから補正でも入った??すごい、意味わかんないけどもういいや考えるだけ無駄な気がする!

「ありがとうございます…?」

「ねえ、なんて名前なの?」

「佐奈って言います…」

「そう、佐奈ちゃんって言う名前なんだね。可愛い。」

「あの、」

クラウス先輩は甘く優しく笑いかけてくる。

「これから仲良くしてね、いろんな意味で」

ちゅっ

私の頬に、柔らかい何かが、綺麗なお顔が目の前に、あっもういろんな意味で無理。

私は食べかけたまま食堂から逃げ出した。


優華、あんたなんてやばい乙女ゲーム作んのよー!!

早よテストプレイ終われー!!

読んで頂き、どうもありがとうございました!

ガチャは罪深いですよね…

続編かけたらURとかSSRとかの概念も入れてみたいです…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ