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託されたこの世界に奇跡あれ  作者: オリタ ソラヨシ
第1章 灼熱の戦姫編
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第6話 それは嵐の前触れ その2

ハルカ達は森の中を颯爽と駆け抜けていた。


「ハルカ!かなりハイペースだけど大丈夫かい?そうだ!おぶってあげよう!」


「うっさい!いちいち話しかけないで!余計疲れる!」


途中、何回かハルカがブチ切れてセドリックに殴りかかっていた。何だかんだ作戦の方向性が決まり、慎重に森の中を進む筈だったのだが…。


ワォーーーーン!!!


残念な事にファング達と見事に鉢合わせしまい、2人は全速力で逃げていたのだった。


ハルカは後ろを振り返ると、鉢合わせ時よりもファングの数は明らかに増えていた。


「あ〜もう!!知ってました!振り切れるわけないわ!ごめん、セドリック!」


「了〜解お姫様!!」


セドリックは走るのをやめ、くるりと後ろ振り向いて叫ぶ。


「スタンバイ オン!」


セドリックの声に反応して、コアユニットから勢いよく装甲が展開され体を覆っていく。


〝オベリスク コード 008 装着完了。パイロット認識確認。西宮セドリック二等兵。スーツの損傷率 28% 安全圏内です。〟


〝オラァァ!〟


セドリックは襲いかかってきたファングの顔面に渾身の拳をお見舞いする。


その一撃でファングのメインモニターの破壊に成功する。すぐさま、セドリックは畳み掛けるように背中のバックパックからバトルアックスを取り出すと、動けなくなっているファングの胸元にあるコアに振り下ろす。


(流石はセドリック…。荒々しい戦い方してるくせに正確に敵を殲滅出来る辺り…。はぁ、やっぱ私じゃ叶わないなぁ…。)


ハルカは草むらに隠れながら一人で自己嫌悪に陥っていた。


セドリックのオベリスクはハルカのオベリスクとは違い、全体的に装甲に厚みのある強襲型オベリスク〈ランページ〉である 。攻防に優れ、通常のオベリスクの二倍の出力が出る。その為扱いが非常に難しく、新人で与えられたのは彼一人だけだった。


セドリックは華麗にファングの攻撃を左腕の小型バックラーで受け流すと、その手でファングの首を掴み地面に叩きつけ、コアを破壊していく。


〝オラオラオラァ!!こんなもんかぁ!〟


セドリックは暴れる闘牛の如く襲いかかってくるファングを駆逐していく。その時だった。ハルカが隠れている草むらの後方にファングが現れる。


「え?やば!」


ハルカが気付いた時にはもうファングは飛び上がり彼女の首元を噛みちぎろうとする。


〝てめぇ!舐めた真似してくれるなぁ!〟


それを見ていたセドリックは右手もつバトルアックスをそのファングに向かって投擲する。投擲されたバトルアックスは綺麗な弧を描きながらそのファングの胸元に突き刺さる。


すると、セドリックは物凄い勢いでそのファングに向かって走り出す。途中、セドリックを殺そうとするファングが襲い掛かるのだが、空中首元と体を掴まれ、次々と引き千切られていく。


〝てめぇ…俺の姫に何て真似してくれてんだぁぁぁ!!!!!〟


そして瀕死状態のファングに近づくと、セドリックは渾身の拳でコアを圧殺する。


結果、数分足らずで彼はファングの群れを全滅させるのだった。


〝ふぅ…片付いた片付いた。ハルカもう出てきてもいいよ!僕たちの勝利だ!〟


「流石脳筋…。いつも頼りにしてます…。」


そういうと、ハルカは両手を合わせと拝み始める。


「何だいハルカ?妙な動きをして。ま、それはそれとしてやはり早めに殲滅しておくべきだったろ?僕的には自身の勇姿を見せつけてられたと言う事で大満足かな!」


こんな光景を見せられて普通でいられる訳がない筈なのだが、それに気付かないセドリックはフルウェイスマスクを解除し、笑いながらそう言うのだった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ファングとの戦闘終了後、2人は再び森の探索を開始する。先程の失敗をしないように、ハルカはスキャンシステムを使用する。


ハルカのオベリスクは近接型オベリスク〈ソルジャー〉という。


性能に関しては、近接戦闘から中距離、200メートル前後の遠距離射撃まで幅広く対応できるバランスの良いオベリスクである。他にも際ほど使用した索敵機能を駆使し、敵を見つけることが出来る。新兵のほとんどはこのオベリスクが支給されるのだ。


「よし…この先一帯に敵反応は無いと。セドリック、オベリスクのエネルギーゲージとの方大丈夫?それと損傷箇所の報告もあれば言って。」


「ああ。損傷箇所だが幸いあれから酷くなっては無い。エネルギーゲージだが残り50%ほど。ランページには40%を切った瞬間背中のバックパックにある予備が補充されるからそこに関しては心配しなくても平気さ。」


「なら良いけど。んじゃ、先に急ぎましょうか。スキャンシステムの範囲内では反応は無かったけどその先に行ったら反応があるかもしれないし。」


「ああ、そうだね急ごうか。」


ハルカ達は再び森の奥へと走り出すのだった。

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