2/2
女神と天使
『お待ちください!莉都香さま!お待ちください!』
召使いの声が屋敷に響き渡る。
うるさいなあ。放っといてよ。
『お稽古にお戻りください!』
いやだよ、あんな堅苦しい所、もう居たくない。
『お嬢様!』
ああ、もう、爆発する。
「うるさいわね、私はあんなところに居たくないの!いい加減一人にさせて!」
言ってしまった。もう何度目だろうか。なんと言い返されるかは、もう決まっているのに。
『わがままもいい加減になさってください!瑠都香さまはこんなこと無かったというのに...』
ほら、言われた。もうこの言葉は聞き飽きた。昔から、この家の人間と言い合いになる度言われてきた。『ルトカ』という知らない人間と比べられる。誰かも知りたくない。そう避けてきた。
とにかく、今はひとりになりたくて、私は南東の部屋に逃げ込んだ。
部屋の中のベッドに寝転がり、天井の大きな絵を見つめる。どこかの草原で女神が天使と人間を見つめて微笑んでいる、そんな神秘的な絵画だった。
絵の意味はよく分からないけど、なぜか私はその絵に惹き込まれてしまった。
そして、眠りについてしまった。