#1 涼風さんと冬木くん
新作です。よろしくお願いします。
放課後の図書室に二人の生徒がいた。二人は向かいあってそれぞれ自分の持ってきた本を読んでいる。
左のイスに座っているのは、涼風美穂。2年生。
右のイスに座っているのは、冬木彰吾。2年生
最初は二人とも静かに小説を読んでいるが、しばらくすると……
「今日は何読んでるの?」
「ミステリーの新作、そっちは?」
「恋愛小説」
「好きだねぇー……」
「今年映画にもなるそうだぞ」
そんな感じで二人の会話は始まる。
「それにしても……」
冬木は図書室の周りを見渡す。
「今日も俺ら以外いないですねぇ」
「毎日来てるのは私たちくらいだろう……」
涼風は本を読みながらしみじみと答える。
「涼風さんはバイトとかしてないの?」
「してるよ」
「してるの?」と冬木は少し驚く。
「何やってんの?」
「駅前の本屋、今日も6時からそこでバイト」
「そうなんだ……」
「そういうお前は……」と涼風さんは読んでいた小説から目を離し、その目は冬木の方を見る。
「バイトしてるのか?」
「まぁ、一応……」
「何やってるんだ?」
「本屋」
「うん?」と涼風は聞き返す。
「あのー、ウチから徒歩5分の所に本屋があってさ 高1の時からね」
「お前も本屋なのか……」
「俺たちってめっちゃ本好きだな……」
「そうだな……」
二人の会話はまだまだ続く……。
この小説は不定期投稿です。