1話 プロローグ
ある初夏のこと。友人と旅行へ行くことにした。
俺は「山田」43歳で独身のガチムチ。
悪友1は「鈴木」38歳で既婚者のスリムなイケメン。
悪友2は「佐藤」37歳の独身でぽっちゃり。
数か月前からこの旅行を計画していた。今回の目的はマカオでカジノを初体験すること。関西空港を出発して今は飛行機の中だ。今回、旅行会社の格安パックツアーに申し込んだのでLCCとなり座席が非常に狭い。
お小遣いを節約して軍資金を貯めた。出発前にカジノの下調べやカジノバーに行ってバカラの練習もしてきた。勝てるとは思っていないけど、アッサリと資金が尽き「話のネタにもならない」状況になるのは避けたかった。
現在のマカオはラスベガスより売り上げが多いらしい。俺達が宿泊するホテルも日本では考えられない規模の大きさだった。総客室が4000室。他に端から端まで1km以上もあるホテルも存在する。ネットで事前に調べた情報を見てはマカオの規模に驚いた。
あと2時間ほどでマカオへ到着する。少し時間があるので自己紹介をしたい。
関西出身で高卒。高校時代は成績が悪く担任にお情けで卒業をさせてもらった。そんな学生時代だったので、社会人になってからは大変だった。良い仕事にも就けない。それを理由にフラフラと遊んでばかりいた。
それから親の勧めで建築系会社の正社員になった。真面目に勤務をして国家資格を何個か取得することができた。その後、色々とあり、今は零細だが設備会社を経営している。
鈴木と佐藤は起業当時から色々と協力してくれてた取引先の社員。もちろん仕事を評価した上での協力だ。今回、今までのお礼に彼らを自費でマカオへ招待した。
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そろそろ、マカオに到着するかもしれないが少し仮眠をすることにする。
ガタ…ガタ… ガタガタ
乱気流か?機体が揺れるな。シートベルトをするか。
ガタガタガタガタ!!!!
その時、飛行機が大きく上下に揺れ、機内の乗客が騒ぎ出した。
「キャーーー」
「おい!やばいんじゃなのか!」
周囲から悲鳴が聞こえる。機内は騒然となり客室乗務員がアナウンスを流す。
「大丈夫です。皆様落ち着いてください。乱気流により機体が揺れておりますので、シートベルトをしてご着席願います。」
一部の乗客が慌てて着席してシートベルトを締める。稀にだが飛行機は乱気流により大きな揺れが生じることもあるらしい。
とそのとき…
【ボーーーン!!】
「「「え!」」」
エンジン付近から大きな爆発音が聞こえ、機内に煙が流入する。
天井から酸素マスクが下りて、照明が消え、警報音が鳴動する。
【ビー!、ビー!、ビー!】
「緊急事態です!腕を交差させて前の座席を掴み、前傾姿勢を取って下さい。」
客室乗務員が必死に叫ぶ。
俺は「ヤバイ、これは死ぬ… 」と身の危険を感じ絶望した。
大きな揺れと煙で視界が閉ざされる寸前に「 みんな、スマン… 」人は死ぬ寸前、こんな程度しか思いが浮かばなかった。