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Your Song  作者: 松田玉葱
4/54

恋愛初心者

朝起きて、学校に行く。

今まではそれがいつもの日常だった。


でも、この週末を過ごし終わって、

学校に向かって歩くのが憂鬱と言うか、なんで行かなきゃならないんだろ?そんな無気力感に包まれていた。


一緒に仲良く通学しているカッブル。


前までは見もしなかった。

見ても記憶に残るなんて事はなかっただろう。


それがいまは…


「どうやって付き合ったんだろう?」

「メールとかしてるのかな?そりゃするよな」

「どうやって告白?知り合ってどれくらいで告白?」


なんて事をモンモンと考えながら、

結果的とはいえ後をつけるような形になり

「こんなの麻里さんに見られたら嫌われるな…」

とか考えちゃって、自己嫌悪、ため息をつきながら結局学校までストーカー状態だった…




〜〜〜〜〜〜




教室に入ると友達が話しかけてきた。

友達「どうだった?」


本気で意味がわからなかった…


俺「なにが?」

友達「なにが?って 麻里さんだよ」


ドキっとした。また顔に出てた?


友達「…アレンジ持って行ったんだろ?大丈夫だったか?」


何か時間がさかのぼった感覚…

そうか、友達の中じゃそこで止まってるんだもんな。


俺「…大丈夫だったよ。うん。」


友達は何か不思議そうな顔をしてたけど、言葉を続ける。


友達「でな、今月末に麻里さん達がまたライブをやるんだって」


…それは知ってる。


友達「で、先輩がまたビートルズバンドで対バンするんだって」


それは初耳。


友達「で、またお前に出て欲しいらしいんだけど?」


………え?


友達「なんか先輩、麻里さんに初めて話しかけられて、それがお前の事だったんだって」


………そういや聞いたとか言ってたよな、


友達「ぶっちゃけ、お前をだしにして、麻里さんと仲良くなりたいみたいだw」


………へ?


友達「………いやw 断るだろ? そんな事で使われたくないよな?」


………いや、断るけど理由はそれじゃない。

つーか、この流れじゃ言い難いなぁ…



友達「………? まさかOKとか?」


いっか。どっちにせよ対バンなら友達も出るんだし、確実にバレるし…


俺「実は麻里さんのバンドに入った…」


友達「……………は?」

俺「麻里さんのバンドのメンバーになった」


友達「麻里さんのバンドって女の子バンドじゃん」

俺「うん」

友達「それでなんで? サポートメンバーとか?」

俺「いや、ちゃんとメンバーだって言ってくれた」

友達「………もしかしてアレンジのお礼にメンバーに入れてやるとか言われた?」

俺「いや…実はアレンジ自体は作り直しになったし」

友達「今度、メンバーに紹介するとか言われたのを勘違いしたとかじゃないのか?」


コイツ、地味に失礼


俺「普通に新メンバーだよ。次のライブの選曲も、俺と麻里さんで決めたんだし」

友達「マジで? でもバンドって麻里さん以外もいるんだぞ?」

俺「B子さんとD子さんにも会ってるし」

友達「………………マジなの?」

俺「うん」

友達「なんで?」


………なんで?と言われても、そういや結局、俺が選ばれた理由ってわからないな。


俺「いや、理由はわからんけど……」


友達「……………それ、本当なら、次のライブでお前と対バンって事になるよな…」

俺「うん…だから話した」

友達「………先輩になんて言おう?」


…………知らんがな




〜〜〜〜〜〜




昼休みにメールが鳴った。


まさか麻里さん?


B子さんだった…


B子『今週の練習でチケット配るよん。

ワンドリンク付き1200円のとこを格安の1000円!

更にそれを10枚セット!!

1200円で売りつけても良いし、ただで配っても良いし、

ただし私には10000円払えよ♡』


意外と高いですね…


俺『了解しました。料金は今週持って行ったほうがよいですか?』


B子『勿論! 麻里の分も払ってもいいんじゃない?

麻里喜ぶぞ〜w』


俺『そこは麻里さんと相談しますよ。』


B子『わかってないなぁ〜w 黙って払ってやるのが男の甲斐性ってもんよ!

「ありがとう俺君♡大好き♡お返しはワ・タ・シ♡」

ってなるだろw

あ、くれぐれもスタジオじゃやるなよ』


……………返信はしなかった。

チケットが出来るって事は、対バンが確定したって事かな?


じゃ友達と対バン確定か…


しかし、10000円かぁ〜

麻里さん達なら簡単にさばくんだろうな…


けど、俺は売るって言うか、配る相手もいないや…



友達に話してみた。


俺「チケットってどうしてるの?」

友達「…ライブのチケット?もう出来たの?」

俺「さっきB子さんからメール来た。割当10枚だったよ」


友達、なんか複雑な顔して

友達「お前、本当にメンバーになったんだな…」


いや…最初から言ってるじゃん


友達「でも割当少ないわ。前回は俺15枚来たぞ」

俺「そうなの?前回って俺はチケットなかったぞ?」

友達「そりゃギリギリで何とか入ってもらったしな。最初っから数には入って無かったんだ」

俺「そうか…で売りさばいたの?」

友達「いや、流石に他校オンリーじゃ売れないよ」

俺「うーん。どうしよっかなぁ…」

友達「でも最終的にかなりの数を先輩が回収してくれたしな。麻里さんの高校なら簡単に売れるんじゃないの?」


うーん…麻里さんに頼むのは抵抗あるな。男の甲斐性ってわけじゃないけどさ。


友達「逆に宣伝しちゃえば?俺も売りたいし」


…宣伝かぁ、俺、学校でまともに喋ってる相手ってお前だけなんだけどな…知らない人に宣伝とかハードル高い…


俺「…チケット来るのって金曜日だから、そこからまた考えよう」


はい、とりあえず先送り。

チケットの相談で麻里さんにメールするって手もあるか…


いやいや、なんかそれは…

それだったらいっそ、練習のお誘いのほうが…





〜〜〜〜〜〜




翌日………


結局、麻里さんにメール出来ないし、麻里さんからも来なかった。


まあ、当たり前だよな…


何故か麻里さんに気にいられているのは間違いないと思う…

ただ、それは恋愛相手としてなのか?


あぁ…わからないや…


また同じカッブルを追跡しながらの通学になってしまった。



教室に入ると友達が微妙な顔をしていた。


俺「どうしたん?」

友達「どうも先輩フラレたみたいだ…」


…………お? しかしこれでちょっと喜んじゃう自分がなんか嫌だ


俺「麻里さんにコクったのかなぁ?」

友達「いや、狙っても無駄って麻里さんの友人から言われたらしい…」


友人ってB子さんじゃないよな…


俺「…しゃーないと思うけど、」

友達「…対バン確定してるんだぞ。…Oh! Darlingとか歌う予定なんだぞ。…あのテンションで。」

俺「………キツいかも」

友達「一緒にやるほうとしては、おかしいんやら、居た堪れないんやら…」


俺が告白して失敗したら…多分…防音室から出なくなるな…


やべ…メールとか考えるのが怖くなっていった…



昼休み、またしてもB子さんからメールが来た。


B子『あなたの大切な麻里ちゃんを、口説こうとしてた勘違いヤローが友人に駆逐されてたwwwWWWw。


添付画像:今日の麻里ちゃん♡

明らかに隠し撮りな麻里さん画像』


俺『勘違いヤローって今度の対バン相手ですか?』

B子『そそw昨日の帰りにねw

それよりも、おねーさんにお礼の一言も無いの?

麻里ちゃんの写メだよ?貴重だよ?』

俺『ありがとうございます。早速待ち受けにします

m( _ _ )m』

B子『出すもん出したら、もっとハードなのも狙うんだけどなぁ♡』


返信はしなかった。

ハードな写メには心が揺らいだけど…





〜〜〜〜〜〜




またしても麻里さんにメールが出来なかった。


B子さんから貰った、麻里さん画像は当たり前だけど待ち受けにはしなかった。


もし間違って、麻里さんに見られたら…


引きこもりにのうえに変態とか思われるとか考えて…


そもそも構図が斜めだし、正面向いてないし…


じゃあ、正面でしっかりとカメラ目線なら待受にするのか?

それはキモくないか?


でも、そんな画像は正直欲しい。


なんか考え方が病んできている。


ストーカー気質でもあるのかな…


つーか、またカッブルを追跡状態で通学。

もしかして今まで気づいてなかっただけでずっと追跡状態でだったんじゃないか?


そんな事を考えて、少し心に余裕が出来たかも?なんて思ったりもした。

以前の俺は周りにどんな人が居るか無頓着だったし、

だったらいつも同じ時間に家を出て、いつも同じ時間に出会うカッブルは前から居たって考えたほうが自然だ。




友達「先輩に曲目変えるように言ってみるよ」

俺「…言い難いんじゃない?」

友達「そもそもピアノ居ないんだから、Oh! Darling は無いよなw」

俺「結局、四人編成なんだ?」

友達「前と同じだよ。コーラスどうしよだかなぁ?」

俺「うちら5曲だから、ビートルズなら6曲とか?練習するしかないよ」

友達「うちらか………お前、本当に加入したんだな……」



いや、だから最初っから………





また昼休みにメール、B子さん、今度は何?



麻里さんだった………………


麻里『私の写メ、待受にしてるって本当?』





B子さーーーーーーーんっ!!!!!!





いや、落ち着け。

これはチャンスかもしれない。


あんだけメールしようとして出来なかったんだ。

今は、返信って方法をとれるんだ。


しかし内容が……………


どうする?ごまかす?


いや、ごまかすも何も、そもそも待受にしてない。

しかし写メがあるのは事実。


待受にされたほうが嬉しいのか?


やっばり待受にされるのはキモいのか?


麻里さんのメールはシンプル過ぎて、かえって深読みしてしまう。  


もう一回整理する。

・画像は貰った

・待受ににするとも言った

・しかし待受にしてない


よし、シンプルに


俺『確かにB子さんから写メはいただきましたし、待受にするとも返信しましたが、明らかな隠し撮り画像だったので、麻里さんに失礼になると思い、待受にはしませんでした』


これでいこう。嘘は言ってない。




麻里『なんで?』




えーーーー?




なんでってどこにかかってるの?


待受にしてないとこ?


隠し撮りが失礼などこ?


そもそも待受にするとか返信したとこ?


いや、麻里さんシンプルにも程があるだろ?



初心に帰ろう。


俺は麻里さんにはちゃんと話すって決めたはずだ。


俺『B子さんに待受にすると返信したのは、その場の勢いで書いてしまいました。スミマセン。しかし、麻里さんの画像を貰って嬉しかったのは事実です』


麻里『ふーん。放課後にカフェで会おう』



これ?正解だったの?

失敗したの?


嬉しかった云々は書かないほうが良かったの?


でも、勢いだけでとしか書かなかったら、自分の隠し撮りで遊んでるとか思われない?


『でも、隠し撮りじゃなくてちゃんと写した写メだったら待受にしたかもしれません』


あー、こっちの書き方のほうが良かったんじゃない?


あー、かもしれません、だとまた上から目線じゃない?


したと思います   これかな?


どっちにせよ失敗したんだ。

多分、失敗した………


せっかく麻里さんに会えるのに、行きたくない…





〜〜〜〜〜〜




カフェに着いた。


やっばり麻里さんは早かった。


俺を見つけると手をブンブン振ってくれた。


いつもどおり麻里さんの向えに座ると、


麻里「アイスカフェオレ?w」


あれ?怒ってない?


俺「実は他のって飲んだこと無いんです」

麻里「じゃあ今日は新しいのにチャレンジしなきゃ?w」


あっ その笑顔は最初の頃に見せた…


麻里『バナナパフェ2つとイタリアンブレンド1つお願いします」


俺「へっ?」


麻里「ここのバナナパフェは美味しいし、大きいんだよw』

麻里「それにたまにはコーヒーも飲まなきゃねw」

俺「麻里さん、紅茶飲んでますよね?」

麻里「もちろん俺君用w」


…………仕返し?


麻里さん、ニヤッと笑って


麻里「女子高生を隠し撮りするような変態さんを許すには、カフェ奢ってもらう程度じゃ安いかな?w」


いや、ちょっと………隠し撮りしたのはB子さんだから!


麻里「さて、携帯見せてもらおうかな〜w」


なんか、冤罪ってこんなふうに出来るんだな。


俺は素直に携帯を渡した…


麻里「あれ?どこに入ってるの?」

俺「受信メールから探したほうが早いと思います…」

麻里「メール見ていいの?」

俺「データフォルダからだと探しにくいかも…」


麻里さん、少し考えて

麻里「やっばり、人のメールを見るのは良くない!」


…………麻里さんって、基本的に真面目だよな


俺「じゃデータフォルダの画像の部分にあると思います」


麻里さん、んーととか携帯を弄ってる間にバフェが来た。

本当にデカい。しかし携帯と格闘中なので麻里さん手を出さない。


麻里「わかった!ここ!」


なんか目的が変わってないかな?

そして…………


麻里「あーーー!ねこーー!!」


猫? 麻里さん、別なとこ見てない?


俺「猫ですか? あ、これ家の猫です」

麻里「かわいーーー!」

麻里「これは?エレクトーン?」

俺「あー、防音室ですね。次のもそうです。」

麻里「ピアノは?」

俺「まだ入る前で、ピアノの写メは無いですね」

麻里「この人がお父さん?」

俺「そうです。隣にいるのが母です。」

麻里「俺君、お母さん似だねw」

俺「よく言われますw」


明らかに当初の目的を忘れてきてる麻里さん…

バフェを食べながら、俺の写メをポチポチ…


そして、


手が止まった………


麻里「…………この人は?」


こんな写メ覚えがない………しかし、顔は毎日見る…………


俺「…………姉ですね」


麻里「…………なんで自撮り?」


俺「……………多分なんですが、勝手に自撮りしたんじゃないかと」


麻里「…………」

俺「……………多分、嫌がらせかと」


麻里「…………嫌がらせでこの枚数?」

俺「…………逆に人の携帯に30枚も自撮りを入れる事自体、嫌がらせ以外の何物でもないかと」


麻里「……………変わったお姉さんだね」

俺「……………なんとなくですが、B子さんと同じ系統ですね」


麻里さん、ハッとして

麻里「思い出した!!! 私の隠し撮りは?」


麻里さん、声大きいっす………


俺「ここは写メフォルダなんで、こっちの添付フォルダに入ってると…これですね」


麻里「……………隠し撮りだ」


いや、だから隠し撮りだと………


麻里「これを待受に?」

俺「いや、だから待受にしてませんって」


麻里「さっきのお姉さんみたいな自撮りだったら待受にする?」

俺「………麻里さんが、嫌じゃなかったらしますけど?」


麻里さん、少し考え込んで、


麻里「私、写メって好きじゃないんだよねー」


えーーーー、じゃ自撮り云々のくだりは何だったんだ?



麻里さん、パフェをパクパク食べながら、何かを思いついた。


顔が例のイタズラっぽい笑顔になっている……


麻里「やっばり隠し撮りの慰謝料でカフェは安すぎだねw」


だから隠し撮りはB子さんだと……


麻里「さ、早く食べて次行くよw」






〜〜〜〜〜〜





麻里さんに連れて行かれたのはゲーセン。


UFOキャッチャーの前で麻里さんはニヤッと笑った。


麻里「ふふーんw採れるかなぁ?』


とか言いながら、俺に向かって手を広げた…………


麻里「取れたら止めるw」


これ、地味にヤバくない?


取れるまで注ぎ込むとか………?


500円注ぎ込んだ時点で、タイムアウトをお願いした。


俺「俺が取れたら許してもらえません?」


麻里「んーw じゃ、あの猫取れたら良いよw」


うーん、微妙な位置………でも、麻里さんにそのままさせると………




結局、1000円以上注ぎ込んで、やっと取れた。






麻里「じゃこれで許してあげるw せっかく引きこもりから更生したのに盗撮とかしたらダメだよw」




そして…………



麻里「じゃこれは猫のお礼だから、私がおごるねw」



二人でプリクラを撮った。



俺、生まれて初めてのプリクラ。





麻里「これだったら携帯に貼って良いからねw」





その後、麻里さんを家まで送って、明日、一緒に練習する約束をした。








次の日の昼休み




例のごとくB子さんからメールが来た。




B子『麻里の携帯にプリクラ発見!!!!


なんだよー お前らなんだよー


リア充かよー 死ねよー


二人で更生するとか言ってたじゃんかよー


リハビリかよー


なんのリハビリだよー


麻里、携帯見ながらニヤけてんぞー』


添付画像:携帯見ながらニヤける麻里さん


やっばり構図が斜め



当然、返信はしてないが、B子さんには感謝している。












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