ゆめちゃん
休み時間、大夢は親友のヒロシと話をしていた。
「なぁ、大夢。なんで勉強もろくにしてないのにテストであんな良い点数取れるんだ?」
「そんなのわかんないよ。普通に学校の授業で聞いたことを素直に答えるだけでしょ。」
「良いなぁ。天才じゃん。大夢なら絶対高崎高校受かるよ!」
大夢はもちろんその高校へ入るつもりはなかった。
「俺、高崎商業に行く、親父もそうだったし。野球部のコーチも薦めてくれるし挑戦してみたいんだ。」
「そうなんだ。申し訳ないだろうなぁ、行きたくても学力足りなくて行けない人に。例えば俺とか。」
「なんだそれ、構ってほしいのかぁ(笑)」
「うっせぇやい!いいから勉強教えてくれ~」
数学に関しては申し分なかったが、苦手な英語を教えてもらうことで合意した。
文化祭の時期が来た。
大夢はテンションが下がっていた。
それもそのはず、演劇でやりたくないもない役をやらされることになったのだから。
なんで俺が女装しなくちゃならないんだよ、と。
妹に代わってもらいと思い、話もしたが、
「私は元々女の子なので女装しても何にも面白くありませーん♡」
と却下されたのだ。
まぁそもそも学年もクラスも違うからその時点で問題だが。
大夢はかろうじて練習の間はジャージ姿でもオッケーだった。
もう、とにかく恥ずかしかったのだ。
一方箕郷中でも恒輝は次のステージを見据えていた。
父親は榛名中でコーチをしているので大夢の様子も知ってたりする。
「今週の土日、珍しく何もないだろう。榛名中では文化祭やるぞ。」
「本当!?俺久々に大夢と話がしたいよ!」
「どうやら大夢君、舞台劇で面白い役をやるらしいぞ。」
「そうなんだ、楽しみにしてる!」
文化祭当日。
「よう、大夢、元気してた?」
「あー、恒輝!久しぶり!びっくりしたー(笑)」
久々に会って握手を交わした。
「かなり、振り込んでるようだな」
「大夢こそ、受験勉強お疲れ様」
恒輝は観察眼が鋭い。大夢のペンだこも握手しただけでわかるくらいだから。
「ちっ、ばれたか(笑) 今のうちに勉強しといて高校上がって資格取るための貯金にしておきたいからね。担任に志望高校は余裕って言われているくらいだし。」
「そうか、それはよかったな。基礎学力が出来て高校へつなげるってのは大したもんだ。俺も高校行ったら即戦力しか考えてないから今のうちに体力作っているよ。もちろん受験もおろそかにできないけどね。」
「まぁな。さすが恒輝だ。若駒杯では一緒にバッテリー組もうな!」
ここで、若駒杯とは、
毎年群馬県に高校球児1年生に該当する選手が参加する野球大会のことである。
「あぁ、まさか大夢の口からそう出るとは(笑)」
「なんだよー、別にいいじゃんかー」
「大夢がその気持ちなら俺はその10倍バッテリー組みたいと思ってるよ!」
「あはは、それなら俺はその50倍だ!」
「なんの、倍返しで1000倍だ!」
久々とは言え、最高のノリで会話していた。
「あっ、関口さんだ、そろそろこの辺で失礼するよ」
「なになに、大夢の彼女?」
「うっせーよ(笑)」
「冗談だよ(笑)」
「それじゃまたな!」
「おう!」
女装役の大夢は男装役の関口と打ち合わせをしていた。
「俺、恥ずかしいんだけどマジでorz」
「大丈夫だよ、私も恥ずかしいから(笑)」
「そうか、良かった(笑)」
「何だろう、大夢君妹そっくりというか、抱きたくなるというか」
「うわああああ怖いこと言うなぁ関口さん落ち着いて!」
「冗談だよう(笑)」
「それなら良かった(笑)」
関口莉香子は天然で癒し系キャラだが、
高身長で大人の顔つきなので見た目で色々損しているのが悩みらしい。




