くせ者
策士といえばこういう奴もいる。
木之本裕登。きのもとゆうと。左投げのくせに右打ちだ。
大夢が東吾妻中と対戦した際、慎平に似ていたと振り返る。
同じ左腕でフォームもほぼ瓜二つ。しかし、タイプは全くの別物だ。
制球重視で勝負する慎平に対し、裕登は荒れ球を武器に狙い球を絞らせない。
大夢が非常に苦戦した相手でもある。
結局裕登は毎回四球を与え、ランナーを出しながらも無失点に抑えた。
球数も多く3回途中での降板だったが、東吾妻中の多彩で分厚い個性的な投手陣の1人であった。
元々東吾妻町には5つの地区があり、一地区につき一つ中学校がある。
ところが年々問題視される少子高齢化の影響により町内5つの中学を統廃合し、一つに集約したのだ。
各中学には全て野球部が存在し、もちろんエースも存在していた。
原町、太田、東、岩島、坂上。
ちなみに大夢達とは関係ありません。
偶然にも大夢の苗字と同じ坂上地区から来た木之本投手。
スタミナが課題だったがそもそもコールドで決着つくようなチームだったので
7回も投げるというのはほぼ未知の領域である。
誰にも見せない裕登の素顔がある。
それは、重度のオタクだということ。
裕登兄の影響も若干受けているのかもしれない。
お盆と年末のコミケ通いは欠かせない。
裕登は中学生にしては約170センチの高身長なので、
普通に入場しててもばれることはない。
大学生の兄に紹介されてコスプレーヤーと握手をしたり、
気に入った同人誌やCDを買いに行ったりと、
自ら大人に見えるのをうまく利用していたのだ。
いやぁ実に最近の若い者はずる賢いね、まぁ良いんだけど。




