32.招かれざる訪問者
郊外の住宅地。ぽつぽつと街灯が並んでいる。
小さな公園の前ある三階建てのコンクリート住宅。薄明りの中、シャッターの閉まった一階ガレージの前に黒塗りのクラウンが路駐していた。中で人影が動いているのが窺える。警視庁警護課の車両。私立高校での拉致未遂事件以来、24時間体制で篠崎邸に警護が付いていた。移送中の新垣が襲撃されたことにより、一時的に警戒レベルが高まったが、結局ここでは何も変化がなかった。
二階のリビング。壁の時計は午後10時を示そうとしている。40畳近い大きな部屋の中央にL字のソファー。大きなダイニングテーブルは隣にあるキッチンのカウンターに寄せられていた。端に大きなテレビが置かれていたが、今は何も映されていない。
「あー、学校行きたい! こんな生活、耐えられない! 香奈に会いたいー!」
それは魂の叫びだった。ここ一週間、ずっと家に軟禁状態となっていた友子。溜まりにたまったフラストレーションは限界に達しようとしていた。部屋着のスウェット姿でソファーに倒れ込み、幼稚園児みたいに地団駄を踏む。
「友ちゃん。来週になったら俺が学校の送り迎えやってやるから、もう少し我慢しなよ」
タンカラーのフリースにタクティカルパンツ。ダイニングテーブルの椅子に腰かけている熊田が言った。事件から毎日顔を出している。同情気味なのは、友子の活発な性格を知っているからだ。気の毒としか思えない。
「――本当?」
敏感に反応する友子。すっぽりと被っていたパーカーのフードを撥ね上げながら、ソファーの背もたれから顔を覗かせた。目を輝かせ、ポニーテールにまとめた髪が揺れる。顔の傷は額に瘡蓋が残る程度に回復していた。
しかし、キッチンにいた直哉が、それを帳消しにする。
「駄目だ、クマ。まだ、OKが出ていない」
「えー、何それ」
口を尖らせた友子。ぶーたれた顔でひっくり返る。熊田は怪訝な表情で返した。
「あれ? だって、結局のところ、友ちゃん関係ないんですよね?」
「ああ、そうだが。表の連中が引き上げないところをみると、迂闊に判断はできんよ。越谷分析官の歯切れも悪い。何かあるような気がする」
「何かって?」
「分からんが、一連の出来事が全て偶然には思えないんだよ……クマは何か掴んでいないのか?」
「……ええ、ちょっとは」
熊田はソファーの方を一瞥しながら、声のトーンを落として答えた。友子は微かな希望を喪失し、ふて寝を再開している。
「……なんだ?」
両手にコーヒーの入ったカップを持ち、キッチンから出て来た直哉。ネルシャツにカーゴパンツという出で立ち。耳を傾けながら、熊田の向かいに座った。片方のカップを差し出す。
受け取った熊田は話を進める。
「どうやら、相手はCIA崩れですね。しかも、大物」
「本当か?」
直哉が驚き表情を険しくする。熊田も神妙な面持ちになる。
「ええ。例の派遣屋ですよ。説明しましたよね」
「裏の人材派遣だったか?」
「そうです。それに詳しい奴の話なんですが、最近やたら金払いの良い客がいるらしいんですよ」
「それが、そうだと?」
「はい」
「で、奴らの目的は?」
「そこまでは……でも、篠崎さんが話してくれた、何かの機密情報でしたっけ? それと、ハッカー野郎が関係していることは確かですね」
「まあ、そうだな――」
《ピンポ~ン!》歯切れのよいチャイムに会話が止まる。
直哉と熊田が顔を見合わせる。友子もひょっこり顔を上げた。どことなく嬉しそうに。
「えっ。もしかして、香奈?」
「そんな訳ないだろ」
根拠の無い憶測を否定する直哉。パブロフの犬よろしく、玄関へダッシュ寸前の友子を遮った。インターホンを確認する。
「……宅配便?」続けて時計を見遣った。「こんな時間に?」
モニターに映る荷物を抱えた男。その背後には小型のトラックが停まっていた。バンボディと呼ばれる箱型の荷台側面には、見慣れた運送会社のロゴマークが窺えた。
「警護課の奴らは?」
熊田の疑問はもっともだ。いつもなら、訪問者は先ずSPが声を掛けた後、必要に応じて代わりに対応するはずである。テーブルの上にあった携帯電話を取り上げた直哉。事前に聞いていたSPの携帯電話へコールする。
《ピンポ~ン!》再びなったチャイム。待ちあぐねる配達員が体をくねらせているのが窺えた。
しかし、SPに電話が繋がらない。直哉はインターホンの通話ボタンを押した。
「――はい」
『あ、京葉急便です。お届け物で~す』
若い男の声に「ちょっと待って下さい」と対応した直哉。SPへコールを続ける。
「ちょっと、見てみます」
熊田はそう言って、玄関側の掃き出し窓を開けてバルコニーに歩み出る。見下ろした一階門扉の前には、荷物を持った配達員とトラック。ガレージの前には警護課のSPが乗っているはずのクラウンがある。頸を傾げる熊田。
その時、背後にうごめく何かがいた。その陰から熊田の後頭部に向けられた四角い筒状の物体。ゆっくりと近付く。その距離30センチ。カシャという機械的なノイズを含んだ小さな破裂音。
バルコニーの床に穴が開いていた。砕けたコンクリートの破片が舞う。振り向きざまの熊田。左手が四角い筒状の物体を握り締めていた。FNP45自動拳銃に装着されたオスプレイサプレッサー。熊田は驚異的な反射をみせ、それを掴んで自分から射線を逸らしたのだ。
背後にいたのはハーネスを付けた完全武装の男。黒っぽい服装で屋上からロープで吊り下がり、掃き出し窓の上の壁に張り付いていた。確実に仕留めようとして近付き過ぎたのが仇となった。殺気丸出しの奴に殺られる熊田ではない。
慌てた男は銃を引き戻そうとするが、がっしりと握られびくともしない。熊田は一瞬怯んだ相手に、間髪入れず打撃を加えた。男の顎に入るグリズリーの右拳。骨が砕ける音がした。
一撃で意識を無くし、だらりと宙吊りになった男からFNP45を奪い取る熊田。見上げると屋上から顔を覗かせる二人の姿があった。躊躇わず引き金を引く。素早い連射が片方の頭を捉えた。激しく倒れる音がした。
頭上を警戒しながら、宙吊り男のマガジンポーチに手を伸ばす熊田。FNP45の弾倉を鷲掴みでまとめて引っこ抜いた。
「上を取られてます!」
直哉に向かって叫んだ熊田だったが、反射的に身を縮める。銃弾が躰を掠めていた。今度は下の道路からの銃撃だった。
先ほどの配達員がSMGを構えていた。サプレッサーを装着したCZスコーピオンEVO3。バルコニーに向けてバーストで連射する。的確に集弾させている。素人の腕ではない。更に、同じSMGを持った完全武装の二人が、門扉をこじ開け階段を上がっていった。タクティカルベストにゴーグル、ヘルメットいう重武装。
警護課のクラウンに動きはない。なぜなら、既に二人のSP隊員は座席で事切れていたからだ。
バルコニー付近が9ミリパラで蜂の巣になる。宙吊り男は巻き添えになっていた。ガラスの破片を浴びながら、部屋の中へ戻った熊田。バルコニーに銃を向けながら天井を見上げる。
下からの銃撃は止んだが、足音がしていた。屋上だ。直哉も見上げる。三階の部屋に侵入し、ここに繋がる階段へと向かっている気配がする。しかも、複数と判断できた。
「くそっ! 抜かったな。隣からか?」
直哉の推測は正しかった。ここ数日留守にしていた隣の家の屋根から乗り移られていたのだ。
次の瞬間、室内が真っ暗になった。今夜は曇り空で星明りは無い。突入時の常套手段である、引き込み線の断絶による電気の供給カット。セオリー通りに攻めてくる。
直哉が声を張り上げる。
「友子! 奥だ、急げ!」
「わ、わかった!」
条件反射で身を伏せていた友子。慌ててはいたが臆する様子はない。修練された動きで、床を這うようにリビングの奥へと進む。ドアの無い小部屋に入る。ウォークインクローゼットだった。友子はハンガーに吊るされた洋服の下に滑り込むと、壁にある小さな蓋を開ける。中には大き目のボタン。迷わず叩く。
洋服で目隠しされていた奥の壁が動いた。現れた開口部は、人が屈んで通れるくらいの大きさ。その中に飛び込む友子。内側にも外と同じボタンがあり、急いで押した。再び動く壁。開口部が塞がれた。そこは、セーフルームだった。
暗闇の中。敵と対峙することになった直哉と熊田。
この家の玄関ドアは特注だ。ショットガン程度では貫けない。ある程度、下の連中を阻む時間は稼げる。警戒すべきはバルコニーと三階からリビングに繋がる階段だった。用意周到な集団の強襲。状況からして、ゴリ押しで来ると予想できた。
既に、友子がセーフルームに常設された携帯電話から、警察と越谷分析官に救援を求めているはずだ。だが、暫くは自力で持ち堪えなければならない。
直哉はキッチンカウンター。熊田は中央のソファー。それぞれの陰に身を潜めて相手の出方を待った。友子の心配をする必要は無くなった。暴れても問題ない。
外からバルコニーに何かが放り込まれる。同時に階段からも同じようなものが転がり落ちてきた。それが何であるか察しは付いた。直哉と熊田は目を閉じて両手で耳を塞いだ。閃光手榴弾が続け様に炸裂する。爆音と閃光が室内を圧倒した。
怒涛の如く駆け下りて来くる足音。完全武装の男達。黒づくめの服装に暗視装置付きのゴーグル。階段からリビングに躍り出でて標的を探している。
耳鳴りに耐えた直哉。タイミングを見計らい壁にあるスイッチを押した。
突如、リビング内に明るさが戻る。一階の物置にある非常用発電機を作動させたのだ。
暗視装置を付けた連中も煌々と照明に照らされた。三階から突入して来たのは二人組。手には他の奴らと同じ、サプレッサー付きのCZスコーピオンEVO3。
電源復帰が予想外だったのか、一瞬立ち尽した男達。丸見えの状態。暗視装置のアドバンテージは無くなった。熊田はそれを見逃さない。ソファーの陰から狙い澄ます。射撃は正確だった。まるで、スティールチャレンジのよう。二発ずつ45ACPをあっという間に二人へ叩き込んだ。仰け反って崩れる男達。
銃の構えを崩さない熊田。動くものは逃がさない鋭い眼差しで警戒する。
直哉は倒れた奴から銃を奪い取った。軽くチャージングハンドルを引き、薬室内の弾を確認する。予備の弾倉も取り上げた。動き易さを重視したのか甘く見ていたのか、そいつらはボディアーマーを装着しておらず絶命していた。直哉は銃のひとつを熊田に放って渡す。
それ以上の動きはなかった。熊田は階段の上を確認する。
「――クリア」
次に銃を構えた直哉がバルコニーを警戒しつつ、廊下に出て玄関の様子を窺う。熊田も同じだが、靴を履いていないので動き辛い。
玄関ドアに異常はなかった。息を吐き、合図を送る。「クリ……」口を開いた時だった。目の前で起こった強烈な爆発。玄関ドアが外枠ごと押し倒された。風圧が直哉を廊下の端まで押し戻す。
炸薬を使ってのドアブリーチング。轟音が町中に響いた。
「篠崎さん!」
リビングで床に伏せた熊田が叫ぶ。
爆風に曝された直哉だったが、破片は食らっていなかった。しかし、朦朧とする中、視界に飛び込んできたのはSMGを構えた男だった。直哉が反射的に引き金を引く。
玄関を挟んでの激しい銃撃戦となった。反撃を受けても、向こうに引く様子はない。熊田が援護に加わった。狭い廊下を9ミリパラが飛び交い、壁が穴だらけとなっていく。
まだ、パトカーのサイレンは聞こえない。
友子はセーフルームの中で、もどかしさに耐えていた。
思えば、この家を建てた時から、今日のような出来事を想定して父と訓練してきた。訓練というのは、ちょっと言い過ぎだが準備してきたことに間違いはない。父いわく、問題を抱えやすい職業であるから、最悪の事態も常に想定しておく必要があるということだった。最悪の事態とは族が家に侵入するということ。それが、今起きている。
この部屋。天井は低いが六畳ほどある。半畳程の個室トイレと二段ベッド。食料など防災用品の備蓄庫でもあり。非常用のバッテリーで電源も取れる。もちろん、空気の換気も万全で暫く住めるくらいだ。
後悔していたのは、躰が素直に反応して一人で飛び込んでしまった事だ。確かに、何かあったら自分が入るという段取りになっていた。だが、それを決めたのは小学生の頃の話。何の役にも立たない子供だったからだ。
今も決められた通り必要なところに救援は求めた。自分の携帯電話もポケットにあったから外との連絡は問題ない。もうすぐ、警察がやって来るに違いない。
歯がゆいのは、それ以上何もできないことだった。確かに、自分が外にいては父とクマちゃんの足を引っ張ることになる。そんなことは理解しているはずなのに、とても辛いのだ。
鋼板と防弾のケブラー繊維で固められた壁をも越えて伝わってくる振動。父とクマちゃんが戦っている音だ。当然、二人の身を案じる気持ちが一番だ。だが、それ以上に躰がうずくのだ。
学校で襲われた時の怒りとは、比較にならないほどの感情の高まり。それが躰に溜まっていく。まるで、対峙した相手の強さに比例して湧き上がってくるみたいだった。
今まで経験したことのない不快感。一緒に戦えたらどんなに楽だろうと思ってしまう。スウェットの胸元をグッと掴む友子。「はぁはぁ」と息が上がる。気持ち悪い。額から汗も落ちた。頭がおかしくなりそうで声を上げる。
「何なのよ! これ!」
学校の裏門で美人さんと顔を合わせた時の理由の付かない涙といい、友子は自分の心と躰に変化が起きていることに気付き始めていた。そして、それに戸惑っている。
メロディのコールがセーフルームに響く。
我に返った友子。少しめまいがする。襟元が汗で濡れていた。外からの音は聞こえなくなっていた。おもむろに自分の携帯電話を取り上げる。液晶を見ると“クマちゃん”とあった。
咄嗟に通話を押して叫ぶ。
「――もしもし!」
『……友ちゃん。もう出て来てもいいよ』
「お、お父さんは!?」
『大丈夫だよ……警察も来たし、事態は収拾した』
熊田のいつもと変わらない声に、友子は胸を撫で下ろす。大きく息を吐いた。さすが、頼もしい二人だと思った。
先ほどの変な感覚も、すっかり無くなっていた。
『……ええと……ああ、そうか。お父さんから聞いた合言葉、言うよ』
ぎこちない様子の熊田が電話の向こうに窺えた。
「えっ。あ、はい」
友子は気付く。父との決め事の続きだった。セーフルームから出るときは、父と自分しか知らない事柄で相手を確認する。第三者のなりすましに騙されない為の対策。過剰なようだが、危機管理に対する決め事は必ず守る、が篠崎家の掟。
耳を傾ける友子。少し興味が湧いた。父は何を合言葉にするのだろうかと。熊田は淡々と言った。
『“ぶっ飛ばした男子の名前は高岳光毅”……って、これ何?』
「――なっ!」
一瞬、先ほどとは違うめまいがした。その名は中学時代の悪夢として封印している。いつもながら、ちょいちょいチラつかせてくる父。こんな時に、人の汚点をいじって楽しむ余裕があるとは大したものではないか。
「あの、クソおやじー!」
扉のボタンを激しく押した友子。勢いよく飛び出してみたが、歩みを止められる。ウォークインクローゼットの出口で熊田が待ち構えていた。両手を広げている。
「友ちゃん。見ない方がいいものが床にあるから。注意して」
ドキッとしたが、それが何であるかは予想が付いた。友子は決意したみたいに身震いしてから頷く。
「大丈夫」
「それから……」
何かを言い掛けた熊田を押し退けるようにしてリビングに出た友子。傍らに死体らしきものが、いくつかあった。既にシートが掛けられている。これなら耐えられると思った矢先だった。
「えっ?」
息を呑み、顔が強張った。
それは、想像以上に部屋がメチャクチャになっているからでも、警察や救急隊でごった返しているからでもない。リビングの中央で治療されている人が目に飛び込んできたからだ。
「お父さん!」
目を丸くした友子。周りの人をかき分け近寄った。脚を立てたストレッチャーに乗せられた直哉の前で立ち尽くす。熊田も後に続いた。直哉は足に弾を食らっていた。
最後の銃撃戦は壮絶を極めた。玄関から踏み込もうとした残党は手強かった。なんとか撃退して、しのぎ切ったという状況だった。代償がこれだ。
点滴を受けている直哉。カーゴパンツは切り裂かれ、右太ももに止血フィルムが張られていた。出血も多かったようで、カーゴパンツが赤黒く染まっている。治療が終わり、これから搬送するところだった。
熊田は現場が落ち着くのを待ってから、友子に連絡を入れていたのだ。
幸いにも、直哉の意識はハッキリしていた。横になったままだが、安堵した表情をみせている。しかし、友子は下を向いたまま、両手の拳を握り締めた。
「クマちゃん……お父さんは大丈夫だって言ったじゃない」
「いや……」
友子が予想より動揺していることに焦る熊田。頭を掻く。気を使ったのだが、逆効果だったか。
「大丈夫だ、友子。腹を撃たれた訳じゃない。これくらい、大したことないよ」
直哉が軽く言ってみせるが、友子は口を真一文字に結んでいる。微かに震えてもいた。
「どうした? ……友子、大丈夫か? 怖かったか?」
ふと視線を直哉に合わせる友子。目元が徐々に潤んでいく。
「……こんな状態なのに……何で私に気を遣うのよ」
直哉は腕を伸ばし友子の頭に手を置いた。
「心配しているのか?」
友子の顔がくしゃくしゃになる。
「……あたり前だよ」
「合言葉。なかなか、いい線いってただろ?」
「バカ……」
友子は直哉の肩に手を当てると屈み込んだ。
父なら大丈夫と高を括っていたことに後悔していた。世の中そんなに甘くない。父はそれを体現して見せてくれているのだと感じた。気が滅入る。先ほどの得体のしれない感覚も更に不安を煽る要素となった。
なんだか、どうしたらいいのか分からなくなる。整理できない感情が膨らむ。堪えきれない気持ちを表すように、ひとすじの涙が頬を伝った。
そんな友子を見上げた直哉。こんなことがあっては当然だと実感した。境遇は少し変わっているけど、まだ高校生の女の子だ。直哉は優しく微笑んだ。
「お前はいつも毅然としているが、無理しなくていい時もあるんだぞ」
「……うん」
瞳からぽろぽろと滴が落ちた。直哉の胸に顔を埋めた友子。堰を切ったように、わんわんと泣き出した。




