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second life  作者:
93/112

成人式

1月2週目の月曜日、この日は成人式の日だ。

愛花は莉奈と一緒に朝早くから美容院へ行き、振袖を着て髪をセットしてもらった。

「なんか恥ずかしいね」

「うん…それに歩きづらい」

着物など着たことがないので、とても不思議な感覚だった。

彰と美智子と一緒に写真屋さんで撮影、莉奈も両親と撮影して、

最後に莉奈と2人で撮影をした。

車で会場まで送ってもらい、外で待っていたら懐かしい同級生たちがたくさんいた。

「愛花!」

「麻衣!久しぶり」

麻衣と会うのは高校1年の夏、花火大会で会って以来だった。

中学の同級生で定期的に遊ぶ友達は、莉奈、みな実、麻理恵の3人しかいなかったので、

本当に懐かしかった。

「ホントだよ、全然連絡くれないんだもん」

「それは麻衣だって同じじゃん、でもこうやって会えて嬉しいな」

懐かしいのは麻衣だけではない。

「裕美、元気だった?」

「もちろん、愛花も元気そうだね。ところで知ってる?隼人のバカ」

「うん…結婚したんでしょ」

「やっぱり知ってたんだ」

「去年の3月に偶然会ってね、もう関係ないけど」

「引きずってないんだ、よかった!ってあんなバカをいつまでも引きずらないか」

隼人の名前を久々に聞いて胸が少し痛んだ。

久々に友達に会うのは嬉しいが、中には会いたくない人物もいる。

その人物が話しかけてきた。

「あ、愛花…久しぶり」

「そうだね…豪」

豪と会うのも高校2年の春に街でバッタリ会って以来だった。

あのときは隼人や春樹、仁菜が一緒だった。

あの頃が懐かしく思える。

「あのときはゴメン…俺がバカだったよ」

「もういいよ、気にしてないし…じゃあね」

愛花は足早に豪の元を去った。

豪に会ってもどうも思わない、ここまで嫌いな人はいないかもしれないと思った。

いや、もっと嫌いな人がいた。

けど会うことは二度とないだろうから気にしない。

そんなことを思っていたら式の時間になったので会場へ入った。

式自体は面白いものではなかった。

見たこともない市長が挨拶をしたり、知らない子が代表で挨拶をしたりしている。

そんな感じで式はあっという間に終わった。

比較的みんな真面目で大人しかったので

ニュースで見るような荒れた成人式にならなかったのでホッとした。

式が終わると友達同士で写真を撮ったりしている。

もちろん愛花もみんなで写真を撮ったりして、一生で一度しかない瞬間を楽しんだ。

「6時からだって」

「着替えて支度したら、あっという間にその時間になっちゃいそうだね」

莉奈と話しているのは同窓会だ。

大きな会場を貸し切って、学年全員でやることになっていた。


家に帰ると、希美が海斗を連れて遊びに来ていた。

「お姉ちゃん、それに海斗もきてたんだ」

「愛花の振り袖姿を見たかったからね」

「えへへ、海斗、わたしの振り袖どう?」

「愛花ちゃんキレイ」

「ありがと、海斗」

海斗は4歳になっていた。

叔母さんとは絶対に呼ばせたくなかったので、愛花ちゃんと呼ばせている。

たまにしか会わないけど、海斗は懐いてくるのでかわいくて仕方なかった。

「それにしても愛花もそんな歳になったんだな」

「どうしたのお父さん、そんなしみじみしちゃって」

「いや、愛花もあと数年したら結婚して出て行くのかななんて思って」

「何言ってるの!結婚なんてまだまだ先だよ」

それでも彰の表情は少し寂しそうだった。

愛花としてこの家に住んで10年、彰も美智子も本当の娘のように育ててくれた。

愛花も本当の両親のように思っている。

まだ結婚なんて先だし、現在は付き合っている人すらいないが、

それまでは精いっぱい親孝行をしようと思った。


名残惜しかったが、いつまでも振袖を着ているわけにはいかない。

私服に着替え、髪もその服に合うようにセットし直すといい時間になっていた。

急いで家を出ると、外で莉奈が「遅い」と言いながら待っていた。

「ごめんごめん」

「さては出会いがあると思って気合い入れてきたな」

「ないない」

「それにしてはバッチリ決めてきたよね」

「最低限の身だしなみだって」

「本当かなぁ」

莉奈はニヤニヤしている。

本当に出会いなど求めていないが、万が一のことは考えていた。

莉奈には見透かされていたようだ。

さすがは親友、隠し事はできないなと思った。

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