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second life  作者:
85/112

大学生活

今回から大学生になります。

そして、一気に話が進んでいきますが、引き続き楽しんでもらえればと思います。

前を歩いている女の子に飛びついた。

「千夏!」

「わっ!なんだ愛花か…普通に声かけてよ。まったく」

「あはは、だって驚かせたかったんだもん」

愛花は大学生になった。

今は5月中旬、大学生活にも慣れ、友達も出来た。

千夏はそのなかの一人だ。

大学に入ってからは一番仲がいい。

愛花は大学生になってから髪を染めたので、

その影響か幼さが消えて少し大人っぽく見えるようになっていた。

もちろん高校生じゃないのでメイクもしている。

「愛花、今日はバイト?」

「うん、講義終わったらずっとだよ」

「そっか、せっかくおいしいケーキ屋見つけたのに」

「えー、行きたい!」

「だってバイトでしょ」

「うん…明日ならバイトないから行こうよ」

「残念、明日はわたしがバイト」

「なにそれ、じゃあ明後日ね」

愛花は大学生活を満喫していた。

「お疲れ様です」

スタッフの控室へ行き、制服に着替える。

髪をひとつに束ね、鏡でチェックしてから店内へ向かった。

愛花のバイトは人気チェーン店のカフェ。

カウンターに立ち、ひっきりなしに来る客の対応をしている。

「いらっしゃいませ、ご注文はお決まりでしょうか」

大学へ入学したと同時に始めて早一か月半、初めてのバイト、初めての接客業だったが、

今はもう慣れ、楽しくもなっていた。

そして2日後、愛花は約束通り千夏とケーキを食べに行った。

「愛花ってどれくらい彼氏いないんだっけ?」

「去年の夏に別れたからもうすぐ10か月かな、千夏は半年だよね」

「そう、あれからなーんにもないんだよね。

大学に入ったらって期待してたんだけど今のところ何もないし。

あーあ、世の中おかしいよね。だってこんなにいい女2人も放っておくなんて」

「あはは、確かに」

千夏の冗談に愛花は笑った。

それにしても、今のところ本当に何もない。

彼氏を作るために大学に入ったわけではないが、

何か出会いの一つでもあってもいいだろう。

「よし、こうなったら夏までに彼氏を作ろう」

「千夏、もう夏になるよ、そんなに焦らなくてもいいって」

「だって夏休みに彼氏がいないなんて寂しいじゃん」

「それはそうだけど…焦って変な人と付き合うのはもっと嫌だよ」

「えー、愛花って慎重派」

ケーキを口に運びながら過去の苦い思い出を振り返った。

もう失敗はしたくない、3度も嫌な思いをすれば慎重になっても当然だ。

「普通に生活してれば、いい人に巡り合うよ…だってわたしたちっていい女なんでしょ」

そう言って千夏と笑いあった。


ところが何もないまま、大学生最初の夏休みに突入してしまう。

それでも、愛花にとって彼氏がいなくても楽しいことはたくさん待っていた。

「愛花!」

「莉奈、お帰り」

夏休み、莉奈は実家へ帰ってきた。

3か月半ぶりの再会だ。

「元気だった?」

「もちろん、莉奈も元気そうだね」

「それなりにね」

「彼氏ができたから?」

「それもある…かな」

「よし、今日はその話をたっぷりと聞かせてもらわなきゃ」

莉奈は大学に入って1か月で彼氏ができていた。

羨ましい気持ちもあったが、それ以上に莉奈に彼氏ができたことが

自分のことのように嬉しかった。


愛花にとって遊ぶ相手は莉奈だけではない。

その人物はバイト中の閉店間際に現れた。

客もほとんどいなくなり、閉店の準備をしていたらカップルの客がやってきた。

「いらっしゃいませ…って仁菜!それに春樹くんも」

「久しぶり、愛花」

「元気だった?愛花ちゃん」

「元気だよ、2人とも雰囲気変わったね」

仁菜はTシャツにデニムのスキニーといったラフな格好だが、

かきあげたロングヘアーが妙に大人っぽさを出していた。

そして春樹はスーツのズボンに白の半そでのシャツを着ている。

手にはビジネスバッグを持っていて、それだけで社会人というのがわかる。

少し会わない間に2人はだいぶ大人の雰囲気になっていた。

「もうすぐ終わるんでしょ?外で待っているよ」

「うん、終わったらすぐ行く」

後片付けをしていたら、3歳年上でバイトの先輩の井田蒼佑が話しかけてきた。

「友達待ってるんでしょ、あとやっておくからいいよ」

「大丈夫です、もう少しだから」

「いいから、ほら!」

蒼佑は愛花がやっていた後片付けを始めてきた。

「すいません…ありがとうございます」

「楽しんできな」

「はい、お疲れ様でした」

蒼佑はオシャレで爽やかな青年だ。

それでいて優しい。

年上だけあって、今まで感じたことがない大人の魅力もある。

愛花にとって少し気になる存在だ。

蒼佑の言葉に甘えて、愛花は店を出た。

「お待たせ!…車?」

「免許取ったの、ドライブ行こう!」

「仁菜の運転…大丈夫?」

「ちょっと愛花!」

仁菜は少しムッとした顔をしている。

それを見て春樹が笑っていた。

「大丈夫だよ、仁菜の運転は見た目と違って超慎重だから」

「見た目と違うは余計!そんなこと言うなら早く免許取ってよ。

普通は彼氏がドライブに連れて行くもんでしょ」

仁菜と春樹のやり取りは久しぶりに見ても楽しい。

まるで高校生活に戻った気分だった。

3人はあの頃のように笑いあい、ドライブを楽しんだ。


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