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second life  作者:
82/112

受験生

夏休み、愛花はある悩みを抱えていた。

自身のけじめや別れなどでドタバタしていたので、

もっとも大事なことを疎かにしていたのだ。

「お母さん、ちょっといい?」

「どうしたの、悩みごと?」

「というよりお願いごと。塾に行きたいの」

そう、愛花は高校3年生、受験生。

部活やら遊びやらで青春を楽しんでいた分、

夏休みから真面目に勉強しようと決めていたのだ。

「やっとやる気になったのね、

愛花が言ってこなかったらお母さんから言うつもりだったのよ」

「よかった、今まで遅れた分を絶対に取り返すから!」

愛花には小学校の教師になるという目標がある。

そのためには大学に行くのが一番近道だ。

まずは大学へ入ること、これだけを考えて残りの夏休みは勉強に励んだ。


2学期初日、みな実は愛花と廊下を歩いていた。

すると、正面から隼人が歩いてきた。

隣には沙織がいる。

学校内というのに腕を組んでいる。

隼人は気まずそうな顔をしていた。

それに対し、愛花は何事もなかったかのようにすれ違った。

沙織が見ている気配を感じたが、愛花は一切沙織も隼人も見ない。

「みな実、帰りにご飯食べに行こうよ」

「うん…いいけど」

みな実は別れたことを知っている。

本当に大丈夫なのか心配になった。

「よし、みな実とおいしいご飯を食べて、午後から勉強頑張ろ!」

いらない心配だった。

愛花は前しか見ていない。

それがみな実にしっかりと伝わっていた。


受験生の愛花は真面目に勉強していた。

それは仁菜やみな実たちも同じだ。

元々北高は進学校、当然のことだった。

10月の文化祭、第2回ミスコン大会が開かれた。

愛花は去年同様に推薦されたが、今回は辞退した。

去年は自信をつけるために出場したが、自信がついた今となっては出る必要がない。

今年は一般の生徒として見る側で参加した。

そのミスコンは沙織が優勝した。

隼人と沙織は常にベッタリしているので学校中2人が付き合っていることを知っている。

あの隼人はわたしが知っている隼人ではない。

人目を気にせず校内でイチャつく隼人に魅力は一切ない。

沙織と付き合ったことで隼人は変わってしまった。

男子たちが隼人を冷かしていたが、何も思わなかった。

ミスコンが終わって仁菜と歩いていたら、沙織が目の前に現れた。

「今年は参加しなかったんだね、わたしに勝てないと思ったから?」

沙織の性格は相変わらずだった。

むしろ隼人を手に入れたことで、前よりも悪くなっている気がする。

「それでいいよ」

相手にするのもバカらしかったので適当に流した。

「隼人取られて悔しいでしょ、でもわかったんじゃない?

今の隼人、あんたと付き合っていたときよりも幸せそうでしょ」

「アンタね!」

「仁菜、いいから」

怒りかけた仁菜を愛花は止めた。

「何も言えないくらい悔しいんだ。

そうだよね、隼人はミスコン優勝者のわたしと付き合ってるの。

アンタよりよっぽど相応しいでしょ」

何も言い返さないのも癪だ、一言だけいってやろう。

「うん、お似合いだと思うよ。

魅力のなくなった隼人と中身が薄っぺらなあなた」

「薄っぺらってどういう意味!?アンタこそ負け犬のくせに」

一言だけいい返したので愛花は満足だった。

沙織が何かずっと言っていたが、もう耳には入らなかった。

「愛花」

仁菜が呼んだので顔を見たら、ニッとしていたので愛花もニッと返した。

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