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second life  作者:
74/112

過ぎ行く日々

3学期が始まり、その3学期もあっという間に終わりに近づいていた。

まもなく3年生、やっと陸のときの学年と並び、けじめの日はジワリジワリと迫っていた。

「もうすぐ3年生かぁ、なんか早いよね。進路のことも真剣に考えなきゃいけないし」

「仁菜は大学決めてるの?」

「まだぼんやり…愛花は?」

「とりあえず教育学部があるところ」

「本気で教師になるんだ?」

「もちろん!小学生のときからの目標だから」

小学6年のとき、陸の夢は小学校の先生になることだった。

それは高校生、まもなく3年で大学の進路まで考える時期になると、

夢ではなく現実の目標へと変わってくる。

「仁菜も教師になれば?」

「無理無理、そういう柄じゃないし。

どっちかっていったらマスコミとかそういうのに興味あるかな」

「えー、意外!仁菜からそんな話聞いたことなかった」

「最近思った程度だから、すぐに変わるかもしれない、だから聞き流しておいて」

大学を卒業するまでを計算すれば社会人になるまで

まだ5年近くあるが、将来を見据えなければいけない、

そんな年齢に陸たちは差し掛かっていた。


2年生が終わり、陸は3年生になった。

とうとう仁菜とも違うクラスになってしまったが、

みな実と小陽が同じクラスだったので少しホッとした。

その仁菜は春樹、そして隼人と同じクラスなので正直羨ましと思っていた。

しかし仁菜に会いに行けば隼人にも会える、そう考えればと前向きにとらえるようにした。


チアリーディング部には、5人の新入部員が入った。

仁菜はキャプテンとしてしっかりと部を引っ張っている。

そして意外にも理沙がよく後輩の面倒を見ているので驚いた。

「1年生、もっと身体を柔らかく使わないとダメだよ!」

それを見て陸と仁菜は微笑んでいた。

「理紗ちゃんも自覚が出てきたのかな」

「かもね、理沙ちゃんが頑張ってくれているから、わたしたちは楽だね」

部活をやりながらも進路のことをしっかり考え、目まぐるしく日々は過ぎていく。

そしてあっという間に夏を迎えた。


7月上旬、隼人が所属している野球部の大会が始まった。

隼人は3番としてレギュラーの座を勝ち取った。

試合前日、陸は電話で隼人を激励した。

「明日、スタンドで応援するから絶対に勝ってね」

「当たり前だ、必ず甲子園に行くから、愛花を甲子園へ連れて行くから期待しててくれ」

「うん、約束だよ」

甲子園なんて簡単に行けるはずない。

陸の住んでいる県は約120校が大会に出場している。

甲子園へ行けるのはこの中で1校だけだ。

しかも常連を含む強豪校がたくさんいる。

北高は過去でもベスト16が最高なので、甲子園など夢のまた夢だ。

それでもそこだけを目指して隼人はずっと野球を続けてきた。

1日でも長く野球を続けられるように陸は応援するつもりだ。


そして初戦当日、陸たちチアリーディング部はスタンドで野球部や吹奏楽部たちと

一つになって選手たちを応援した。

そこには、あの日以来大人しかった沙織の姿があった。

陸は無視をするつもりだったが、沙織のほうから話しかけてきた。

「わたし、まだ隼人先輩のこと諦めてないから」

「どうぞご自由に、けど試合が終わるまでは隼人の邪魔しないで」

「それくらいわかってる、わたしの一番の望みは先輩が活躍してくれることだから」

フンと言って沙織は去っていった。

あの雰囲気だと本当に応援する気のようだ。

それなら問題にない、隼人には集中して試合に臨んでもらえる。

みんな野球部の勝利を信じて精いっぱい応援した。

その甲斐があり、8-1で勝つことができた。

隼人は3安打3打点の活躍でチームの勝利に貢献した。

「やったね!隼人」

「ああ、愛花の応援のおかげだ」

試合後に話していると仁菜が突っ込んだ。

「ねえ、応援していたのは愛花だけじゃないんだけど」

「わ、わかってるよ!みんなのおかげだよ」

それを見て、その場にいたみんなが笑っていた。


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