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second life  作者:
67/112

決心

家に帰ってもずっと考え込んでいる。

誰かに相談したい…。

その相手は陸が元男だと知っている。

電話をすると、その相手は3分できた。

「きてくれてありがとう、莉奈」

「どうしたの愛花?相談って」

バイト先の先輩と付き合い始めた莉奈は、その人と電話する予定だったのに

それを後回しにしてきてくれた。

そんな莉奈には感謝しかない。

「田辺くんのこと?」

「違う…文化祭でミスコンがあるんだけど、クラスの代表に選ばれちゃって…」

「すごい、愛花なら優勝できるよ!」

「莉奈までそう言う…なんで?わたしかわいくなんてないのに…」

「愛花がそう思う理由…わたしにはわかるよ。

愛花は女の子だって自覚しているのに、

心のどこかで男だったことに負い目を感じてるんでしょ。

だから元男の自分がかわいいはずないって」

陸はコクンと頷いた。

やはり陸が元男と知っている莉奈は理解してくれていた。

「あともう一つあるよ、それは元男ってバレたら困るっていう恐怖」

「!!」

陸は言われて初めて気づいた。

意識していなかったが、心のどこかでずっとそのことに怯えていたのだ。

それこそが自分に自信を持てない一番の理由だった。

「愛花、出場して」

「無理だって…理由を知ってるならわかるでしょ」

「理由を知ってるから出るべきなんだよ。

ハッキリ言う、愛花は誰が見ても普通に女だよ。

愛花が元男って知ってもわたしには愛花は女にしか見えなかったし、今も同じ気持ち。

すごくかわいくて性格も良くて、だからみんな愛花が好きなんだよ」

「仁菜にも…同じこと言われた。そんな特別なことしてないのに…」

「特別なことしてないのにできてるから愛花はすごいんだよ。

元男なんて関係ない、今の愛花はわたしと同じ高校2年生の女の子なの!

誰も疑ったりもしないよ、女のわたしから見ても愛花は理想の女の子なんだから」

「莉奈…」

「そんな愛花と親友っていうのはわたしの誇りなんだよ」

「ありがとう…でもやっぱり」

「問題はそこ、ずっと元男っていうのを気にしているところ。

田辺くんっていう彼氏がいるのに、心のどこかでそれを引きずっている、

それを完全に払拭するのにミスコンは一番の薬だよ。

だってみんなが愛花を評価してくれれば、もう元男だなんて関係なくなるよ。

それって今の愛花しか知らない人たちが愛花を見て、評価するんだから。

そのその評価は素直に自信にしていいと思う。

自分に自信を持てば愛花はもっと素敵になる、そんな愛花になってほしいな」

陸は莉奈の言葉を深く考えた。

元男という負い目、元男ということがばれたらという恐怖、

しかし莉奈は言ってくれた。

自分が元男と知っても女にしか見えなかった、

今は莉奈と同じ高校2年生の女の子、

そして理想の女の子と。

胸を張って本当に自分は女だといえる自信を持ちたい。

その自信は自分自身で掴むしかない。

「莉奈…出てみる、そうすれば何かがかわる気がする…

優勝なんてできなくてもいい、出ることが大事だって思えた」

「うん、これが終われば元男とかばれたらとか、そういう考えは吹っ飛ぶと思うよ」

「ありがとう、やっぱり莉奈に相談して正解だった」

「当たり前でしょ、愛花の親友なんだから。

でもね、どうせ出るなら優勝しかないでしょ!」

「優勝は無理だって…」

「愛花!自信持って」

「うっ…わかった…優勝目指す…そう、優勝してやる!」

莉奈のアドバイスでやっと少しだけ自信を持つことができた。

こうなったら本気で優勝を目指そう、それができれば自分は本当の愛花になれる、

そんな気がしていた。


翌日、陸は学校に行ってみんなに出場することを伝えた。

「そうこなくっちゃ!」「愛花なら絶対に優勝だよ」などと

励ましの声がたくさん聞こえてくる。

そんな中、仁菜がこっそり聞いてきた。

「後押ししてくれたのは隼人くん?それとも莉奈ちゃん?」

仁菜は莉奈のことを知っている。

愛花と一緒に何度か遊んだこともある。

仁菜の心のどこかには、愛花にとって一番の親友は自分じゃなくて莉奈だと気づいていた。

「莉奈…隼人にはまだ言ってないんだ」

「そっか、やっぱり莉奈ちゃんはすごいな…

わたしがいくらいっても決心してくれなかったのに莉奈ちゃんだと一発だもん」

「そんなことない!仁菜がいってくれなかったら迷うこともなかった。

わたしにとって仁菜も莉奈も同じ大事な親友だよ!」

「ありがと、ごめんね変なヤキモチ焼いて。

それよりも愛花、出場するからには優勝だよ」

「もちろん、そのつもりだよ!」

陸がやる気を見せると、クラス中が盛り上がった。

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