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second life  作者:
58/112

キスの次といえば

夏休みも終わり、9月半ばになろうとしていた。

陸が家に帰ると見慣れない女性の靴があった。

リビングからは笑い声が聞こえてくる。

すぐに誰だかわかり、小走りでリビングに向かった。

「お姉ちゃん」

「あら、愛花おかえり」

リビングには他に母親の美智子がいた。

希美のお腹はかなり大きくなっている。

順調に行けばあと1か月ほどで出産となる。

「今日はどうしたの?」

「特に理由はないよ、暇だったから」

そういいながら希美はお腹をさすっている。

「お腹、触ってもいい?」

「もちろん」

陸は優しく希美のお腹に触れた。

もうすぐ自分が叔母になる。

まだ叔母という年齢ではないが、希美の子供がとても楽しみだった。

「男の子だっけ?」

「うん、お父さん喜ぶんじゃないかな。娘が2人で孫まで女の子だったらねぇ」

「確かに!」

美智子も希美も笑っていた。

「じゃあ愛花の顔も見たし、そろそろ帰ろうかな」

「もう帰るの?」

「そろそろ孝之が帰ってくるからご飯の支度しないとね」

そういいながら希美は「よいしょ」と言って立ち上がり、帰り支度をしていた。

「気をつけて帰るのよ」

「はーい」

「来週の日曜にお父さんと行くから」

そんな会話を美智子としながら希美は帰っていった。

「来週行くの?」

「ええ、愛花もくる?」

「その日は約束があるから無理」

そう、隼人とデートをする日だった。

まだ何をするか決めていない。

どこに行こうか考えながら部屋に戻ったら仁菜から電話がかかってきた。

さっきまで学校で一緒だったけど、帰ってからも仁菜とよく話したりする。

たわいもない会話をしながら、どこかいいデートスポットがないか聞いてみた。

「どこかって言われてもねぇ…」

「仁菜は春樹くんと行くとこないときはどうしてる?」

「そういうときは春樹の家に行くかな」

「家かぁ、テレビ見たり?」

「あとはDVD見るか、エッチするか」

「え、もうしたの??」

仁菜と春樹は付き合ってまだ1か月半程度、陸は早いと思った。

「今月のはじめくらいかな、愛花ひょっとしてまだなの?」

「う、うん…」

「もうすぐ5か月なのに?隼人くんピュアなんだね」

それは陸も思っていた。

キスは一か月半前に初めてしたが、そこから先には進んでいない。

といっても場所がないという現実もある。

隼人の家には何度かいっているが、必ずリビング、隼人の両親がいるときだ。

陸は隼人の両親と仲がいいので、それはそれで問題なかった。

そして陸の家も、大抵は彰や美智子がいる。

自分の部屋には行けるが、親がいる家ではさすがに気が引ける。

そんな状況でエッチまではたどり着いていなかった。

それに隼人は無理やり求めてこないというのもある。

しかしそれは、奥手というわけではなく、焦る必要がないと思っているのを陸は知っていた。

豪のときとはまったく違うので、そこの心配はしていない。

それでも、そろそろいいのかなとはずっと考えていた。

しかし、いざそういう状況になった場合、本当に大丈夫なんだろうか?

陸には思い出したくない嫌な過去がある。

最低な男に奪われたバージン、あんな奴じゃなくて隼人に奪われたかった…。

「愛花?聞いてる?」

「あ、う、うん」

「ならさ、愛花から誘ってみれば?」

「えー、そんなの無理だよ!」

「ストレートじゃなくてもそういう雰囲気を作るとか、そうすればあとは隼人くん次第」

「うーん…頑張ってみる」

「頑張れ愛花!あと一つ教えておくけど最初は半端じゃないくらい痛いからね」

「うん、知ってる」

「知ってるって…愛花、処女じゃないの?」

「違うよ…」

忌々しい過去が蘇ってきて憂鬱になってきた。

「そうだったんだ、なかなか先に進まないからてっきり…」

「ごめん、この話はもうやめよう」

「わかった…わたし愛花の過去には興味ないしね」

陸は仁菜のそういうところが好きだった。

仁菜はよほどのことがない限り、他人の過去には触れないようにしている。

こないだの春樹に関しては、仁菜にとって自分の好きな人のことだったので

珍しく追及していたが、陸が訳ありな雰囲気の話は決して聞いてこない。

このあとたわいもない話をしてから電話を切った。

隼人とエッチか…向こうも本当はしたいよね…男だもん。

その夜、陸は意を決して隼人にLINEを送った。

「今度の日曜うちでDVD観ない?」

すると少ししてから返事が来た。

「構わないけど、なんか面白い映画ある?」

「うーん、一緒に借りに行く」

「いいよ、じゃあ日曜はそんな感じで」

これで隼人は日曜うちに来る、そして彰と美智子は希美のところに行くので

家には誰もいない。

舞台は整ったよ、あとは隼人次第だからね。

陸は布団を抱いて眠りについた。


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