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second life  作者:
48/112

みんなで水族館

もうすぐゴールデンウイーク、まわりはどこに行く?などの話で盛り上がっている。

陸が仁菜と話をしていると、いつも通り隼人と春樹がやってきた。

「みんなゴールデンウイークの話してるね」

「俺たちもどっか行くか」

「賛成!行こうよ」

陸と隼人が話していたのに春樹が賛成している。

毎度のようなパターンで3人は呆れていた。

「バカ春樹、ちょっと黙っていて」

「なんでだよ、遊びに行こうよ!みんなで」

最近、仁菜は春樹と仲がいいような気がする。

ちょっとお似合いなのかな?なんて思ってしまった。

でも仁菜には言わない、絶対に怒るから。

「みんなで…か」

隼人がボソッとつぶやいた。

まるで何かを考えているようだ。

「愛花ちゃん、仁菜ちゃん、いいだろ?」

「あんたってホントにバカだね、愛花と隼人くんの2人で

行かせてあげようとか気を使わないの?」

「私はいいよ、みんなで」

「さっすが愛花ちゃん!」

「いいの、愛花?」

「うん、楽しそうだもん!いいよね、隼人?」

「ああ、4人で遊びに行こう!」

隼人は笑顔だった。

陸と同じで単純に楽しそうだと思ったのだ。

「2人がいいって言うなら行くけど…春樹は少し離れて歩いてね」

「なんで?一緒に歩こうよ」

「嫌、だってうるさいんだもん」

それを聞いて陸と隼人は笑っていた。

ゴールデンウイークが待ち遠しいな。


5月3日、この日は4人で遊びに行く日だ。

今日はちょっとくらい気合いれようかな。

ブラウスを重ね着したようなワンピースを着て行くことにした。

丈は膝より少し上くらい…うん、いい感じだ。

待ち合わせの駅に行くと、やはり隼人が待っていた。

「今日は遅れてないよ」

「だな、5分前だ」

「仁菜とかはまだみたいだね?」

「ああ…それにしても今日の服、かわいいな」

「本当?」

「うん、愛花に似合ってるよ」

ちょっと照れながら言ってくれるところが嬉しい。

女の子は服を褒められると喜ぶ。

豪は絶対に服のことなど言わなかったけどね…隼人が特別なのかな?

でも気合入れてよかった!

そこに仁菜がやってきた。

「時間ピッタリかな」

「うん、ちょうどだね」

仁菜はブラウスにカーディガン、キュロット、いつもとちょっと違う雰囲気。

仁菜も気合いれてきたのかな?

でも、それだと春樹氏ってことに…

そんなことを考えていたら最後に春樹がきた。

「春樹、おせーぞ」

「悪い悪い…って愛花ちゃん!すごく可愛い格好じゃないか、仁菜ちゃんも」

春樹は着くなり服を褒めてくれたが、言い方が軽い。

相変わらずだった。

「さて、行こうか」

4人で電車に乗って向かった先は水族館。

ここで行われているショーが好評らしい。

移動中も春樹はずっとうるさかった。

だが、意外なことに服に関しては隼人より春樹のほうがオシャレだった。

そのオシャレが引き立って、カッコよく見える。

黙っていればモテそうなのに…残念な人だ。

水族館に着くと、まずショーの時間を調べた。

「午前10時と午後の1時からか」

時計を見ると、9時50分。

「10時は間に合わないから、中を見てご飯食べてからショーって感じだね」

陸は子供のころによく釣りに行っていた関係で魚に詳しい、

愛花じゃなく陸のころの知識だ。

「ねぇ隼人、イシダイが泳いでるよ」

「イシダイっていうんだ」

「あ、イワシの群れだ」

「これイワシなんだ」

「わー、シマアジ!」

「シマアジ?」

「カンパチもいるよ!」

「愛花…さっきから食べる魚ばっかりだぞ」

「あ…そうだったかも」

「でも愛花すごいね、見てなんの魚かわかるんだもん」

「そうかな…」

無意識に反応してしまったが、ちょっと失敗したと思っていたら

対抗するかのように春樹が加わってきた。

「俺も知ってるよ、これヒラメだよ」

「カレイだよ」

陸が呆れて言うと隼人も「それは俺もわかった」と言っていた。

「私でもわかるし…やっぱ春樹はバカだね」

「まあまあ、細かいことは気にしない!他にもいろんな魚がいるぜ」

魚を見てはしゃぐ春樹、それを突っ込む仁菜、2人のやり取りを見て笑う陸と隼人、

まるで絵にかいたような青春だった。

このあとペンギンを見たり、深海の生物などを鑑賞してからお昼の時間。

陸は穴子丼、仁菜、春樹、隼人は海鮮丼を頼んだ。

「穴子丼か迷ったんだけどさ、海鮮にしちゃった」

「私もどっちがいいか迷ったんだよね」

「なら少し食べていいよ」

「わーい、隼人も私の食べていいよ」

陸が口をつけた箸で隼人の海鮮丼を食べる。

同じように隼人が口をつけた箸で愛花の穴子丼を食べる。

ごく普通のカップルのようだ。

それを春樹は羨ましそうに見ている。

「あー、愛花ちゃんが口付けた箸で…愛花ちゃん!俺のも食べていいから少しちょうだい」

「はいはい、あんたは私ので我慢しな。あ、私も春樹と同じ海鮮丼だから意味ないね。

はい、終了。黙って自分の食べな」

仁菜は春樹をあしらうのがうまい。

まるで春樹も仁菜に突っ込まれたいから、バカをやっているようにも見える。

「いいよ、同じでいいから交換しようよ」

「意味わかんない、バカ春樹」

いや、やっぱりただのバカかもしれない。


午後は待ちに待ったイルカショー。

可愛いイルカたちが曲芸をやる姿は見ていて大満足!

このときばかりは、みんな夢中でイルカショーを楽しんだ。

「すごいよ隼人!」

「な、イルカって頭いいんだな!」

「春樹より頭いいんじゃない?」

「俺だってあれくらいできるよ」

「やっぱバカだね」

陸はこのやりとりが好きで、ずっと笑っていた。

楽しい時間が過ぎるのは早い。

あっという間に夕方になり、今日は解散した。

そのとき隼人は、別れ際に陸に小声で言った。

「次は2人な」

陸は笑顔で頷いた。


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