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second life  作者:
31/112

迷いながら出た答え

再開したので、短いですけど続きを投稿します。

この日以降、陸はずっと考え込んでいた。

部活中も豪とデートしているときも、頭の中は佳祐のことしかなかった。

「愛花、最近ボーっとしていることが多いけどどうした?」

「何でもないよ、ゴメンゴメン」

「ならいいけどさ」

豪が心配してくれることは嬉しかったが、

佳祐の言葉が頭からこびりついて離れない。

残された者はさよならも言えず苦しい思いをする。


ある日、莉奈たちと話をしていたら、佳祐がじっと陸を見てきた。

「なんか先生が見てるよ…気持ち悪いんだけど」

みな実がそう言い、莉奈が思い切って佳祐に言いにいった。

「先生、じっと見てなんですか!?」

「ああ、すまん…佐久間が俺の親友に似てると思ったから」

この言葉に陸はドキッとした。

まさか佳祐は感づいている?

「先生、それって愛花にすごく失礼ですよ。

だって、先生の親友で男の人でしょ、愛花は女の子ですよ!」

「いや、違うんだ、目がな…目が似てたもんでつい…すまなかった」

そう言って佳祐はいなくなった。

「ひどくない?愛花が男の親友に似てるって!」

「ね、愛花こんなにかわいいのに」

「気にしちゃダメだよ、あいつ変な奴だから」

みんなが陸の味方をして励ましてくれたが、それどころではなかった。

佳祐が陸の面影があることに気づいたことが、余計に苦しませる。

あいつにとって私はかけがえのない親友だったんだ…

じゃなきゃ今の私から面影なんて感じ取れるはずがない。


陸はずっと悩んだ。

このまま黙っていていいのか、けど本当のことを言っても前のような関係には戻れない。

悩んでいたとき、希美の言葉を思い出した。

(もしどうしても、どうしても私が必要になったら連絡して。

すっ飛んで愛花のところに行くから)

陸は電話を取り出し、希美の番号を出して通話を押そうとしてやめた。

違う、この相談はお姉ちゃんじゃない。

リビングに行くと、彰がテレビを見ている。

美智子はお風呂に入っているみたいだ。

ちょうどいいタイミングだ。

「お父さん、相談があるんだけど…」

「俺でいいのか?母さんじゃなくて」

「うん、これはお父さんじゃないとダメ、男の人じゃないと」

いつになく陸が真剣にいうので、彰はテレビを消して姿勢を正した。

「彼氏か?」

「違う、担任の先生」

「先生?まさか先生を好きになったのか?」

「陸のときの親友が…担任なの」

「なんだって!?そんな偶然が…」

陸は佳祐と高校生の頃にバカばかりやっていた話や、赴任してからの話を全部説明した。

「どうしたらいいか、わかんなくて…やっぱり言ったほうがいいのかな?私が陸だって」

「ダメよ!絶対にダメ!!」

突然美智子が部屋に入ってきた。

どうやらお風呂から出て、話を聞いていたらしい。

「いい、愛花はもう愛花なの、陸くんじゃないの。話す必要なんてないわ」

「でも…いまだにあいつは苦しんでいる」

「事故で大切な人を亡くした人はみんなそうよ、

その先生だけが苦しんでいるわけじゃないの」

断固として美智子は反対する。

こうなることが予想されたから美智子には相談したくなかった。

この気持ちは女の人にはわからない、男同士の友情は男にしかわからない。

だから彰を頼ったのだ。

「母さん、黙っててくれ」

「いいえ、愛花がわかってくれるまで」

「美智子!」

彰が怒鳴った。

怒鳴る彰など初めて見たので、陸も驚いてしまった。

「愛花は俺と話しているんだ、美智子は黙っていてくれ」

美智子を黙らせると、彰は陸を見て言った。

「その先生が愛花にとって…いや、陸くんにとって大事な親友なら話しなさい」

「お父さん…」

「あなた!」

彰は陸が家にきてから、一度も陸と呼ばなかった。

その彰が陸と呼んだ、つまり男として男に話しているのだ。

「さっき母さんは、さよならを言えない人はたくさんいると言った。

それはその通りだ、けど陸くんは言えるんだ。

言えるなら言いなさい、ちゃんと16年前のけじめをつけるんだ」

「けど、あなた…」

「きっと母さんにはわからないだろうが、男には男にしかわからない友情がある。

陸くんがここまで悩むんだ、無二の親友だったんだろう」

「ありがとう、お父さん。明日…ケリをつけてくる」

「そうしなさい」

陸は美智子のほうを向いた。

すごく不安そうな顔をしている。

「心配しないで、お母さん。それがキッカケで陸にはならないから。

今の私は愛花、お父さんとお母さんの娘なんだからね」

「愛花…そうよね、愛花のこと信じてるから」

「うん!」


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