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second life  作者:
28/112

2年生になって

「愛花先輩、やっぱりサックス難しいですよ」

「うーん、確かに簡単じゃないけど、もう少し練習してみない?」

2年生になった陸は、1年生の部員、矢島理紗にサックスを教えていたのだが、

理紗はちょっとやっただけで出来ないと弱音を吐いていた。

理紗は元々別の楽器だったけど、愛花のサックスを吹く姿に憧れて

サックスをやりたいと言ってきたのだ。

理紗は陸に懐いているかわいい?後輩だ。

「理紗ちゃん、愛花だってすぐにできるようになったわけじゃないんだからね。

みんな頑張って練習してできるようになったんだよ」

「はーい…」

「さすが部長、しっかりしてるね」

「部長って呼ばないでよ、愛花のバカ」

みな実は吹奏楽部の部長になった。

最初は自信ないから嫌だと否定していたけど、

みんなに押される形で渋々部長になった。

しかし、今では部をしっかりとまとめる頼もしい部長に成長した。

「佐久間も懐かれて大変だな」

「けど嫌ではないかな」

「あはは、佐久間らしいや」

今、陸と会話しているのは、同じ吹奏楽部の2年、半田豪だ。

クラスは違うが、同じ部ということでよく話し、男子の中では一番仲がいい。

「そういえば半田くんテスト勉強してる?」

「嫌なこと思い出させるなよ」

「だって一か月後は期末テストだよ」

「あー憂鬱、俺も佐久間くらい頭がよかったらなぁ」

「だって私、勉強してるもん。半田くんもしないとダメだよ」

「ちぇっ」

2年にもなると、さすがにうる覚えの記憶だけでは授業に

追いつけなくなってきたので、陸は復習の感覚で1から勉強をし直した。

やっていくうちに思い出したりして、

なんとか学年トップクラスをキープしている。

部活が終わり、校門を出た。

隣にはみな実と理紗がいる。

みな実とはいつも一緒に帰っていたが、

理紗が入部してからは自然と3人で帰るようになっていた。

「愛花先輩って半田先輩と仲いいですよね?付き合ってるんですか?」

「理紗ちゃん、愛花に変なこと言わないで」

真面目な顔をしてみな実が怒る。

なんで怒るのか理紗にはわからない。

「ひょっとして…みな実部長は半田先輩が好きなんですか?」

「バカなこと言わないの、そんなはずないでしょ」

「だったら何で怒るんですか?」

みな実は一年前の事件以来、陸に恋愛関係の話は一切しなかった。

それはみな実だけではない、陸の友達みんながそうだった。

確かに豪と仲がいいとは思っていたけど、聞くことはできない。

「残念ながら付き合ってないよ」

陸が笑顔で答えた。

「なーんだ、でも愛花先輩だったら半田先輩よりもっといい人いそうですよね。

だって、半田先輩は普通だけど愛花先輩は可愛いから」

「理紗ちゃん、人を外見で判断したらダメだよ」

「じゃあやっぱり好きなんですか?」

「好きとは言わない…けど、嫌いじゃないかな」

あの事件以来、陸は優しい言葉をかけられてもトキめかなくなった。

豪に関しても、一年半同じ部活をしていて、仲良くなって

やっと普通以上になった。

つまり慎重になったのだ。

「けど多分、半田先輩は愛花先輩のこと好きですよ」

「どうだろうね」

そのことは薄々感づいていたけど、告白されたわけじゃないし、

自分の気持ちもハッキリわからないので濁しておいた。

そして、これ以上この会話をする気がないので別の話題に変えた。


最近は休みの日に麻理恵と遊ぶことが多い。

今日も麻理恵と買い物をしていた。

「ねぇねぇ、高校生?」

大学生くらいの2人組が声をかけてきた。

ナンパである。

陸は麻理恵と遊んでいると、よくナンパされるのでウンザリしていた。

「中学生です」

「またまたぁ、そんな大人っぽいのに?」

「本当に中学生です、いい大人が中学生と遊ぶんですか?」

あまりにも陸が真面目に答えるので男たちは気まずくなって去っていった。

「断ったけどいいよね?」

「もちろん、今は愛花と遊んでるんだから」

麻理恵は性格が変わった。

陸と仲良くなったのと、あの事件があって以来、顔で男を選ばなくなった。

陸と同じように、相手をよく知ってからでないと付き合う気はないし、

気軽に男と遊ぶつもりもない。

おかげで、学校でトッププラスの美貌を持っていながら未だに彼氏はいなかった。

「なんか喉乾いちゃった、なんか飲まない?」

「いいよ」

2人はファーストフードに入ってドリンクを飲みながら話し込んだ。



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